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小学生の子供の数々のいじめ3後悔しない対処法

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小学二年生から始まった子供のいじめは、やがてどんどん巧妙化していきました。

嘘を隠すために嘘を重ねるパターンや、自分を正当化したいために先生に言いつけるパターン。

こういう人は大人になってもいますね。

うちの子供も数々のいじめにあってきましたが、親が必ず守るという態度を見せてこれたので、乗り越えることができました。

小学生時代の子供の数々のいじめに思うことをつづります。

仕掛けられた小学生のいじめの罠

小学2年生の2学期の初め、音ちゃんは、ある日、同級生のとし子ちゃんとひろ子ちゃん、そして、めぐみちゃん(全員仮名)の四人で休日に遊ぶ約束をしました。

とし子ちゃんとひろ子ちゃんとは小学校入学時から、この1ヶ月ほど前まで、音ちゃんは一緒に学校に通っていました。しかし、二人から無視をされ、いじわるをされることにほとほと疲れた音ちゃんは、「もう一緒に行きたくない」と二人に宣言しました。以来、彼女は一人で学校に通っていました。それから、1ヶ月後に、音ちゃんは二人から「日曜日に一緒に遊ぼう」と誘われたのでした。

二人が誘ったのは音ちゃんだけでした。その会話をたまたまそばで聞いていためぐみちゃんが、「わたしも混ぜて〜」と、言ってきたので、結果、四人で遊ぶことになったのです。

わたしたち夫婦は、とし子ちゃんとひろ子ちゃんが音ちゃんを貶(おとし)めるために、何かを企んでいるのだろう…。そう思いました。確信していたと言っても過言ではありません。

根拠は、奥さんの言う、”女の勘と経験”というやつでした

「女は、子供でも女だから、根に持つよ。二人はいつも音ちゃんをいじめていたわけでしょ。つまり、音ちゃんを自分たちより下に見ていたわけ。その子から『一緒に行かない」って一方的に宣言されたんだよ。それは、二人にとってはプライドを傷つけられたことだし、とっても都合の悪いことなの。3人のバランスが崩れたから。そうなると二人のバランスもおかしくなる。だから、わたしは絶対二人がなにかを企んでいると思う。わざと仲間外れにするとかね。それが女の子だから。音ちゃんにはかわいそうだけど、それは、女の子なら誰もが経験する通過点だから。帰ってきたらウンと慰めてあげよう」

当日の朝10時、音ちゃんは、駅前に向かいました。4人は、駅前で待ち合わせをし、その後、とし子ちゃんの家に行って遊ぶことになっていました。

午前11時。わたしが自宅にいると、ピンポーンと玄関の呼び鈴がなりました。玄関を開けると、そこには、音ちゃんとめぐみちゃんの二人が立っていました。

「どうしたの?」

「とし子ちゃんとひろ子ちゃんが来ないんだよ。だから、めぐみちゃんと二人でとし子ちゃんの家に行ってピンポンしたんだけど誰も出て来ないの。だから、帰って来ちゃった」

音ちゃんは、ケロリとしてますが、その横に立つめぐみちゃんは明らかに怒っていました。

めぐみ「約束を破るなんてひどいと思う。信じられない!ぜったい許さない!」

音「でもさ〜。約束を破るはずないしさ〜。なにかあったのかもしれないよ。ひろ子ちゃんのお母さんも言ってたし」

音ちゃんが、呑気にめぐみちゃんを諭(さと)しています。

わたし「ひろ子ちゃんのお母さんに会ったの?」

音「たまたまね。買い物してたみたいで駅前で会ったんだよ。ひろ子ちゃんは来ないんですか?って聞いたら、『今日は、おじいちゃんとおばあちゃんの家に遊びに行くから遊べないの』だって」

めぐみ「最初から来る気なくてウソをついたんだ。ひどいと思う。最低!」

わたし「どういうこと?」

音「よくわからない。まあ、用事があって来れなくなったってことだよ」

めぐみ「そんなの絶対にウソだよ。最初から来る気なかったんだよ」

音「じゃあ、なんでそんなウソつくの?」

めぐみ「わからないけど」

わたし「とし子ちゃんもいなかったんでしょう?」

音「うん。だれもいないんだよ。わけわかんない」

それから、わたしと音ちゃん、めぐみちゃんの3人で、もう一度、とし子ちゃんの家に向かいました。そして、呼び鈴を押しても、なんの反応もありませんでした。

 

わたし「とし子ちゃんの家でお昼ご飯やおやつを作ってみんなで食べる約束をしてたんだよね」

めぐみ「そうだよ。それなのに、ひどい。わたしは絶対に許さない!」

結局、二人は我が家で遊ぶことになりました。めぐみちゃんは怒りが収まらず、終始不機嫌でしたが、音ちゃんはめぐみちゃんとの1対1という状況にそれなりに満足したみたいで楽しげに遊んでいました。とし子ちゃんとひろ子ちゃんによる音ちゃんに対する見事なまでの連携嫌がらせ

にもかかわらず、音ちゃんは、まったく気にしていない。と、いうか、気付いてない。

この感じが、とし子ちゃんとひろ子ちゃんをイラつかせるんだろうな〜と、思いつつも、

わたし「ひろ子ちゃんは急に自宅の用事ができて、とし子ちゃんも、ご家庭に不幸があったとか、そういうことかもしれないね」

と、すっかり巻き込まれてしまっためぐみちゃんを慰めるためにそう言うと、

「そうだね。きっとそうだよめぐみちゃん!」

音ちゃんは、めぐみちゃんの肩をポンポンと叩きながら言うのです。

「仮にそうだとしても、二人ともわたしと音ちゃんの携帯電話の番号を知っているんだから『ごめんね』の電話をしてくるのが普通だと思う。だから、最初からわたしたちを騙(だま)したにちがいない」

めぐみちゃん、あなたは正しい。ただ、もっと、正確に言うと、二人が騙そうとしたのは、音ちゃん。あなたは巻き込まれただけ。

結局、その後もなんの連絡もありませんでした。

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仕掛けられた数々の小学生のいじめトラップ

翌日、学校から帰ってきた音ちゃんは、開口一番こう言いました。

「なんかね〜。昨日、とし子ちゃん、ずっと家でわたしたちが来るの待ってたんだって。『なんで来なかったの?ずっと待ってたのにひどい!』って怒られちゃった」

「パパも一緒に行ったけど誰もいなかったじゃん。それウソだよ」

「だよね〜。駅前で待ち合わせのときも、とし子ちゃん、反対車線でずっと待ってたんだって。でも、誰も来ないから家に帰って待ってたって言うんだよ」

「なんだそれ。無茶苦茶だな〜。で、ひろ子ちゃんは?」

「ひろ子ちゃんは、急にママの実家に帰ることになったから、行けないって、朝、とし子ちゃんに言ったって」

「そのウソは上手だね」

「それもウソなの?」

「ウソでしょ」

「なんで?」

「……。音ちゃんをいじめるためのウソだと思うよ」

「そうか〜……。ひどいな〜。わかった。明日、もう一回聞いてみる」

そして、翌日の午後でした。

学校からわたしの携帯電話に連絡が入ります。担任の先生からでした。

「実は、さきほど、音ちゃんととし子ちゃん、ひろ子ちゃんの3人に、トラブルがありました。3人から事情を聞いたのですが、3人とも泣いてしまって、どうも要領を得なくて…。音ちゃんのお父様でしたら事情をご存知じゃないかと思いまして電話をかけさせていただきました」

担任の先生が聞いた話は、こうでした。

昼休み、とし子ちゃんとひろ子ちゃんが二人で、先生のところにやってきました。ちなみに二人は別のクラスですから、わざわざ音ちゃんの担任の先生のもとにやってきたということです。そして、

「最近、わたしたちは音ちゃんからいじめられています。音ちゃんはすぐにウソをつくし、悪口も言う。それでも、わたしたちは朝、一緒に学校に行ってあげていたのに、『一緒には行かない』って、一方的に言われた。親同士が約束して一緒に行くって決めたのに…。その約束を守らないとわたしたちが親から怒られる。音ちゃんはなんでも自分勝手で、昨日も一緒に遊ぶ約束を破られた。音ちゃんは本当にひどいんです。先生から、わたしたちにきちんと謝るように言ってください」

二人とも号泣しながら、切々と先生に、音ちゃんの非道ぶりを訴えたと言うのです。

わたしは、ポカ〜ンです。

先生は、音ちゃんを呼んで、二人の訴えを伝えたそうです。

音ちゃんの反応は…、わたしと同じ、ポカ〜ンだったそうです。その反応を見て、先生は、すぐに二人がウソをついていると感じたそうです。そして、予想通り、音ちゃんは先生にこう言いました。

「先生、それ全部ウソです。いつもウソをつくのは二人だし、悪口を言っていたのもわたしじゃありません。親同士約束もしていません。朝一緒にいっても意地悪されたり無視をされるのが嫌だから、今度から一人で行くからって言ったんです。一昨日も、ウソをつかれたのはわたしとめぐみちゃんです」

それを、聞いた先生は、両方の言い分がまったくの正反対で、昨日の事情というのもよくわからない。なので、昼間、家でプラプラしていて、電話が通じるわたしにとりあえず、事情を聞いてみようと思ったのでしょう。

わたしは、音が、二人と一緒に学校に行かなくなった事情について。そして、一昨日の出来事について説明しました。そして、わたしなりの見解を申し伝えました。

「音は今日、二人に『一昨日のウソ」を問いただしたはずです。そこで、おそらく二人はけっこう追い詰められたのでしょう。今まで、音は、二人にとって、都合のいい相手でした。ウソをつかれてもなんでも信じてしまうし、「音が悪い』と言われれば、悪くなくてもすぐに謝ってしまう。そんな子でした。それが、『花子ちゃんの死ね事件』もちろん先生もこの事件のことはよく知っています)の解決で覚醒しました。なにも言い返せなかった子が、言い返すようになったんです。そして、『朝一緒に学校に行かない』と、言われたとし子ちゃんとひろ子ちゃんは焦った。元の関係性を取り戻すために、わざわざあんなことをして音を混乱させて騙して、謝られて元の関係を取り戻そうとした。そのために、音が一方的に悪いというストーリーを作り出した。今までだったら、ただ謝るだけの音が、それを問い詰めるようなことを言ってきた。そこで、二人は次の手を考えた。ウソが自分の親や学校にバレると思ったのかもしれません。だから、新たなウソをこしらえて先手を打った。音が一番、信頼する先生に音の悪事を言って、音を追い詰めようとした。そういうことだと思います」

「わたしもそういうことだと思います。その説明だと、3人の言い分がすべて腑に落ちます。わかりました。それを、ふまえて今から3人を同時に呼んで、事情を聴きます」

それから、1時間後、再び、先生から電話がありました。

「3人に事情を聞きました。音ちゃんのお父さんから事情を聴いたことを3人に伝えました。『この話は本当?』そう二人に聞きました。ひろ子ちゃんはすぐに『とし子ちゃんに頼まれてウソをついていました。音ちゃんごめんなさい』と、謝りましたが、とし子ちゃんは『音ちゃんに保育園のときに意地悪されたから仕返ししたかった。だから、そのことを音ちゃんが謝らないとわたしも謝らない』そう言って、保育園のときの出来事を話していましたけど、わたしはそんなにひどいことだと思いませんでした。音ちゃんも全然覚えていないようでしたが、『とし子ちゃんごめんね』と、すぐに謝っていました。それでも、とし子ちゃんは謝りませんでしたね。でも、音ちゃんは『先生、もういい。音も悪かったんだからもういいです」って。そのあと、とし子ちゃんを一人だけ呼んで、なぜ、謝らないのか聞きました。すると、とし子ちゃんは、「ひろ子ちゃんが決めたことなのに、わたしに頼まれたってウソをついたから。でも、それを言うと、あとでひろ子ちゃんにつねられるから…』そう言っていました。どうやら、とし子ちゃんとひろ子ちゃんの関係も微妙なようです。とにかく、今後、われわれもしっかり3人の様子を観察しますが、お父さんもなにか気づいたことがあったらすぐに学校に知らせてください」

とし子ちゃんはとし子ちゃんで、「ひろ子ちゃんからいじめられている」という主張でした。ここまできたら、もうどこまでがウソで真実なのか、わかりません。

ただ仮に、それらの話のどこかの部分がウソでどこかの部分が真実だとしても、

子供は、

ウソをついていても、言ったことが、口にしたことが、「真実だ」と、思い込んでしまう生き物です。「真実じゃないから、ウソだ」と、断罪することが、その子にとって正しいことだとも限りません。

 大事なのは、音ちゃんが、今回の件で、きちんとケリをつけられたのか、どうかです。

 

音ちゃんは、

「先生が自分の話を信じてくれた」

と、いうことが、とてもうれしかったようで、

「やっぱり、本当のことをきちんと言うことが大切だね。黙ってたらダメなんだね」

音ちゃんなりに自分の中で総括できているようでした。

子供の成長は本当に早い。

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小学生のいじめで親が介入!奥さん降臨

 

とりあえず、一件落着です。

 

と、安心したのもつかの間、もう一人、やっっかいな人間がいることを忘れていました。奥さんです。

帰宅した奥さんに、

「冷静に聞いてね」

と、前置きした上で、やんわりと今日起きた出来事の一部始終を話すと、瞬時に鬼の形相に変わり、家を飛び出して行ったのです。

「まっ待って〜!行かないで〜!」

わたしの声も彼女には届きませんでした。それから、15分後、帰宅した奥さん。興奮しています。目がつり上がっています。見えないはずの角が見えます。湯気も立っています。彼女の周りに真っ赤な炎が見えます。オーラかしら。

「さっき、とし子ちゃんのお母さんが道端で他のお母さんと立ち話してたのよ。行ってみたら、まだいたから、全部ぶちまけてやった。『なんですかそれ?』みたいな感じできょとんとしちゃってさー。なにを言っても『わたし事情がわからないのでごめんなさい』ばっかり。あれ、とんだ狸だよ。『こんど音になにかしたら、ぜったい許さないから』って言ってきちゃった」

自分の血の気がどんどん引いてくるのがわかりました。最悪だ〜。

自分の気持ちをすっきりさせたい。ただの自己満足。それが、根本的な解決になってない。

と、いうことなど、奥さんには関係ないのです。

「音ちゃん。ママ、言ってきたよ。音にひどいことをしたらぜったいに許さないって。大事な音をひどい目に合わせたやつは絶対に許さないから!」

「ママ〜。ありがとう!」

ただ、奥さんの音ちゃんを想う気持ちは全部、しっかりと音ちゃんに通じたようです。

それはそれで、いいことだとは思いますが…。

わたしは、すぐに学校に電話をいれ、担任の先生を呼んでもらいました。そして、とし子ちゃんとひろ子ちゃんの親に今日のことを話したのかどうかを聞きました。電話はしたが、不在だったので、まだ話してはいないということでした。とし子ちゃんのお母さんのキョトンも納得です。わたしは、奥さんの錯乱ぶりを先生に話し、わたしがこれからとし子ちゃんの家に行って話し合いをしてくるので、それまで電話は待っていてくださいとお願いしました。

わたしは、すぐにとし子ちゃんの家に向かいました。すぐにとし子ちゃんのママが出てきました。

場所をカフェに移動し、今回の件をすべてわかりやすく話しました。彼女の最初の反応は、

「風さんのお話はものすごくよくわかります。奥さんはなにを仰っておられるのかさっぱりわからなかったのですが、風さんはさすが文章を書かれるお仕事をされてる方ですね。ものすごく話がわかりやすいです。まるで、目に見えるようです。やっぱり文章を書かれる方ってすごいですね」

目をキラキラさせながらそんなことを言います。

(ああ、この人もやっぱりどっかズレている人なのかもしれないな〜)

「それで、どうなんでしょう?真実はどこにあるのでしょう?」

わたしはそう尋ねました。すると、

「音ちゃんの言っていることが全て真実です。残念ながらとし子が言っていることは全部ウソです。日曜日、わたしたちは早朝から家族で出かける用事があって、それは前から決まっていました。とし子もそのことは知っていました。音ちゃんと遊ぶなんて一言も言ってませんでした。ただ、当日の朝、『今日はお友達と約束したから遊びたい』って急に言いだしたので、気まぐれで出かけるのが嫌になったんだろうと思ってたくらいで。だから、悪いのは全部とし子です」

「そうですか。わかりました。じゃあ、もうこの件はこれで終わりにしましょう」

「ちょっと待ってください。ただ、音ちゃんにわかってもらいたいのは、とし子は音ちゃんのことが嫌いでそういうことをやったのではありません。音ちゃんのことが好きだからやったんです。だから、とし子のことを嫌いにならないで欲しいんです」

「でも、それは無理だと思いますよ。やられた側の気持ちになってみてください」

「今から音ちゃんに謝りにいきますから、音ちゃんと話をさせてください」

「もう、学校でそういうのがあって、それでも謝らなかったんだから、とし子ちゃんも謝りたくないんでしょう。無理矢理謝らせても意味ないですから、大丈夫ですよ」

「いえ、わたしに謝らせてください」

「えっ?お母さんが?」

「はい。そういう子にしてしまったのは、わたしです。だから、わたしに音ちゃんに謝らせてください。そして、とし子のことを嫌いにならないでくださいとお願いをさせてください」

「……。それに、なにか意味があります?」

「意味があるとかないとかじゃなくて。わたしが親として謝りたいんです」

「でも、音にとっても、とし子ちゃんにとっても、なんの意味もありませんよね。音が混乱するだけなので止めてください」

「お願いです。謝らせてください」

そう言って、彼女は、土下座せんばかりの勢いで頭を下げ続けました。

結局、その勢いに押し切られた形で、彼女はその足で、わたしの家に一緒に来て、玄関先で音に何度も謝り、

「お願いだから、とし子のことを嫌いにならないでね。おばさん、それが一番つらいから」

そう、何度も懇願するのでした。

わたしも、奥さんも、そして、音も、ただ、黙って聞いているだけでした。彼女が帰ったあと、最初に音が言ったひとことは、

「結局、とし子ちゃんのお母さんは、何しにうちに来たの?」

でした。

奥さんも、

「結局、あのひとはとし子ちゃんのことより自分のことしか考えてないんだね。なんだか、とし子ちゃんがかわいそうになってきちゃった」

 

翌日、とし子ちゃんは、学校で、周りに誰もいないところで音に話しかけてきたそうです。

「わたし、ウソついてないからね。本当に駅前の反対車線で待ってたし、家でずーっと音ちゃんが来るの待ってたんだから。ウソをついてるのは音ちゃんだからね。ウソつきは音ちゃんだからね」

それに対して、音は、

「だったら、ずっとそう思ってれば」

そう返したそうです。

 

わたしたち親が、子供を持って経験した小学生のいじめの数々から思うこと

 

音ちゃんが3年生のとき、学童保育から連絡が入ります。音が、4年生の男の子に顔面を殴られて左目の周りが腫れあがったのです。

音は、毎日、学童保育の自習室で宿題をやっていました。周りに誰もいなくなると、上級生の男の子がやってきて、『空手の練習』と称して、音の背中を蹴ったり拳で叩いたりしていたそうです。

そのことも、音はずっと、我々には黙っていました。どうやら、

「誰にも言うなよ」

と、口止めされていたようなのです。学童保育での調査によると、その男の子は4年生の間でずっといじめられっこだったそうです。そこで、両親が、強い子になるようにと、最近、空手を始めたのです。そのことを知ったいじめっこたちは、今度は、その子に「空手の練習」と称して、殴る蹴るを始めました。その子は歯向かうことができません。それで、周りに人がいないときに、下級生の女の子を見つけては、パンチをしたり蹴りを入れたりしていたそうなのです。

その連絡がきたのは、わたしがいないときで、奥さんが聞きました。奥さんは音を迎えに行きます。もう、その場には男の子はいませんでした。学童がその子の親に連絡を入れ、親が先に迎えに来て連れて帰っていました。

その夜、学童から再び電話がきて、両親がお詫びをしたいので住所を教えてほしいと言ってきているが、どうしますか?と、いうものでした。奥さんは、

「なぜ、両親なんですか?なぜ、男の子本人じゃないんですか?」

そう聞くと、

「本人は、その場で音ちゃんに謝らせましたから、許してあげてください。その代わり親御さんがお詫びしたいということなので、受け入れてもらえませんか?」

そう、学童の担当者は言います。奥さんは、

「けっこうです。親がやるべきことはそういうことではないと思います。そんな時間があったら自分の子供をしっかりしつけてください。今後、いっさい謝罪は受け入れないし、会うつもりもありません。ご心配しないでください。根に持つようなこともありません。ただ、もし、また、その子が音を叩くようなことがあったら、わたしはどんな手段を使っても仕返しをします。覚悟しておいてください。そう親御さんにお伝えください。必ず、伝えてください。そして、伝えたらなんと仰っていたか、また、ご連絡してください。お待ちしています」

そう言って電話を切りました。その横で音ちゃんも奥さんの会話を聞いていました。彼女がそれを聞いてどう思ったか。直接は、聞いていませんが、さぞかし、

「ママ怖え〜」

と、思ったことでしょう。その30分後、電話が来ました。

「確かに、相手の親御さんにそのままお伝えしました。わかりました。と、仰っていました」

 

それを最後に、音ちゃんがいじめられているという話は聞かなくなりました。いまのところということですけど…。

 

いじめはなくなりません。未来永劫に。

避けて通ろうと思っても、無理です。

母親一人で解決しようと思っても、かなり難しいでしょう

そのまま、放置していても、いつのまにか解決している。結果的にそうなっているケースも多いでしょう。

大げさにする必要はない。そう考えている父親もとても多いと思います。

 

でも、わたしは、それは、父親の逃げだと思います。

結果的に解決しても、子供の心に負った傷が、どれくらいかなんて、そのときにはわかりません。

あとになって、なにかの拍子で出てくる。チックの症状と同じです。そのときに、しっかり考えずに放置していると、あとになって症状が出てきても、原因を追求することはできません。

大げさにはしたくない。

大げさにすることが、かえって子供にとって大事(おおごと)になってしまって、よくない。

そう考えたくなる気持ちもわかりますが、それは、やはり、大人の逃げなのです。

解決はできないかもしれない。

結果、間違ったアプローチで事(こと)を大きくしてしまうかもしれない。

でも、

 お父さんもお母さんもしっかり本気で考えている。

 一緒に苦しもう。

 一緒に、元気になる方法を考えよう。

 絶対に、命をかけて守ってあげる。

 

 それを、”行動で見せる”

 

ことが、大切なのです。

 

口で、「守ってやる」と、言うだけではダメです。行動で見せるのです。それが、結果、間違っていても、いいんです。行動で見せれば、子供は、

 ”自分は守られている”

 

と、いうことに気づきます。

 

今だから書きますが、奥さんが、とし子ちゃんのお母さんに怒鳴り込んだ日。

わたしは、その直後、取材の仕事がありましたが、依頼主には黙って知人に交代を頼んで、仕事を休んでしまいました。

とし子ちゃんのお母さんとカフェで話し合いをしている間、奥さんと音ちゃんを二人だけにはしたくなかったので、知人の女性に頼んで、自宅に来てもらいました。

そして、「申し訳ない。奥さんの愚痴を聞いてあげてくれる?」と、お願いしました。その理由は、ひろ子ちゃんの家にも怒鳴り込む可能性があったからです。

 

わたしは、音ちゃんのいじめについては、そのとき、その瞬間、思いついたことをすべて、手を抜かずにやっています。

それは、

 

 あのとき、なぜ、きちんとやらなかったのだろう…。

 

そう思いたくないからです。

 

わたしの大事な大事な友人の娘さんは、引きこもりです。中学2年生のときにいじめられて、いま、二十歳。高校を中退し、そのままずっと引きこもっています。そのとき、友人はずっと単身赴任していました。

わたしは、友人に、「娘のために会社を辞めろ!あとで後悔しても遅いぞ!」そう何度も訴えましたが、無理でした。そりゃそうです。人にはそれぞれ生活がありますから。いま、友人は家族と一緒に住んで娘さんのためにできることをやろうとしています。

 

娘さんは、ずっと、そばにいなかった父親のことをいま、どう思っているのでしょう?

(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)

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風宏(Kaze Hiroshi)
この記事を書いている人

風 宏(Kaze Hiroshi)

 風宏

心の冷えとりコーチ

冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。