子供を愛するがあまり、いきすぎた行動になってしまうのは、何もママ友だけではありません。パパだって同じことです。育メン男子が増えてきて、これからはますますパパ友の問題も表面化されてくることでしょう。
今日の記事は、子供の卒園の謝恩会の準備で実際に起こったパパ友の揉め事についてお伝えするものです。男性はお酒が入ると歯止めが効かなくなったり、プライドや見栄も強い生き物なので、ママ友以上にお付き合いは気をつけたいものです。
前回までのお話はこちらもご覧ください。
父親が子どもに歌や踊りをみせる
カラオケボックスには、飯山さん以外のパパたち全員が集合していました。
肝心の飯山さんは来ていませんでした。緑子さんのご主人は、楽譜とテープをみんなに配り、
「それぞれのパートを各自練習して、月に一度、カラオケボックスに集まって練習をしましょう」
最初に打ち合わせて、皆で決めたとおりの内容を再度確認しました。すると、一人のパパが、
「わたしたち素人の集まりでこういうことをするのはやはり無理があるのではないでしょうか」
と、言いだしたのです。緑子さんのご主人は、
「完璧にやろうと思ったら、もちろん無理です。だから、下手でもいいから、パパ全員が歌ってハモって踊ったら、子供達は喜ぶし、ママたちもびっくりするだろうし、けっこう盛り上がるよね。ってことでみなさん賛成したわけですよね。だから、できるところまででいいと思いますけど。そもそも、”大人たちが出し物をして子供を喜ばせる”と、いう意見を出したのはみなさんで、それでパパたちだけでなにかをやろうと決めたわけです。あれから、もう半年近く経ってますよ」
その発言に対して、もう一人、別のパパが反論します。
「あのときはノリで賛成しただけで…。でも、よく考えてください。そんな下手なもの見せて子供が喜びますか?そんなもの見せるくらいなら、普通に飲んで話してたほうが楽しくないですか?」
この二人は、例の飯山さんと一緒に、
謝恩会に担任の先生たちを呼ばなくて、自分たちだけで楽しめばいい
と、いう提案をした例の3人(ママ友は友達じゃない!!vol5))
でした。この3人は、休日のたびに家族で出かけるほど仲が良いのです。
「では、他のお父さんはどうですか?今の意見と同じですか?」
「もう楽譜も取り寄せたわけだし、ママに頼んでテープ起こしまでしてもらったんだから、やるだけやるべきです」
一人のお父さんが真っ当な意見を言います。すると、反対派は、
反対派「本音はやりたいんですか?やりたくないんですか?やりたくないんでしょう?だったら緑子さんのご主人にきちんと言ったほうがいいですよ。やりたくないっておっしゃっていたじゃないですか」
賛成派「それは、聞かれたからそう言いましたけど、そういう問題じゃないですよね。やると決めたわけだし」
反対派「だって、余興ですよ。余興なのに楽しくないことはやらないほうがいいでしょう!そんなことやっても無駄でしょう」
賛成派「だったらなぜ、最初にそう言わなかったんですか?今頃言うのはルール違反でしょう!」
反対派二人に対して、賛成派五人の言い合いが始まりました。残りのパパは黙って静観しています。緑子さんのご主人も完全にフリーズしてしまいました。
(なんなんだ、この状況は…。なんで、こんなことになるんだ?)
そこへ、飯山さんが登場しました。
「お疲れお疲れ?どう?もう、始まってる?」
顔は真っ赤で、かなりお酒が入っている状態での登場です。
「いや〜。お酒ひっかけてきちゃったよ。緑子さんのご主人に対抗するにはさ〜、お酒でも飲まないと負けちゃうからさ〜。もう言った?やりたくないって。みなさん、そうでしょう?やりたくないですよね〜こんなの。ぱ〜っと飲んで、ぱ〜っと騒いで、それでいいじゃないですか。ね、ご主人。やめちゃいましょう」
「飯山さんは、やりたくないとおっしゃる一番の理由はなんですか?」
「おれ、歌下手なんですよ。踊れないし。なんでわざわざそんなみっともない格好を最後の最後で子供達に見せなきゃいけないんですか?おれ、ヤですよ。みんなもヤですよね〜。おれの嫁もそんなのやってもおもしろくないって言ってましたよ」
「だったら、なぜ、今まで言ってくれなかったんですか?何度も反対する機会がありましたよね」
「だから〜。楽譜とテープができるまでは適当にやれると思ってたんですよ。でも、無理。やめましょう」
「おまえ帰れ!邪魔だよ。おまえ、ただかき回したいだけだろ。うんざりなんだよ。おまえみたいのがおれは一番嫌いなんだよ。帰れ帰れ!」
突然、一人のお父さんが声を荒げたのです。普段は、ほとんど自分の意見を言わない大人しいお父さんです。もちろん、お酒は入っていません。
「おまえさ〜。いっつもそうやって茶化してばっかりでさ〜。そうやって話の腰を折ることばっかりやってさ〜。何が楽しいわけ?いい加減にしろよ。黙って聞いてりゃ勝手なことばっかり言いやがって。ほんとお前みたいなやつ一番むかつくんだよ」
飯山さんの顔がさっと変わり、
「なんだ。テメエ。やんのか?おれがキレたら怖えぞ。喧嘩売りてえなら買ってやるぞ」
そう言って、立ち上がります。完全にチンピラです。
「喧嘩売ってんのそっちだろう。緑子さんのご主人が一生懸命やってくれてるのに、なんで邪魔ばっかりするんだよ」
「だから〜遠慮して協力してたからこうなっちゃったんだろ〜。だれも 反対意見を言わないから俺が言ってやってんだろが〜!」
「ちょっ、ちょっと、二人とも何言っているんですか…」
緑子さんのご主人がそう言い終わらないうちに飯山さんがそのご主人に向かって飛びかかり、殴打し始めたのです。あまりの突然のことに、一瞬、全員が固まってしまいましたが、一方的に殴り続ける飯山さんを皆で羽交い締めにして止めたのです。やられたパパは口から血を流し、髪の毛が抜け、顔面が腫れ上がっていました。
飯山さんは、
「おれもう邪魔ですよね。すみません。おれはやめさせてもらいます」
そう宣言して、さっさと帰りました。飯山さんと一緒に反対していた二人は黙ったままです。
「緑子さんのご主人。やりましょう。絶対に成功させましょう。みなさんやりましょう。一度、みんなでやるって決めたんですから」
殴られたお父さんが、そう宣言しました。反対していた二人は、渋々といった感じで、コクリとうなずいていました。
パパ友という言葉は基本的には存在しないことになっています。
それは、パパは仕事をしていて、パパ同士が週に何度も顔を合わせる機会がないからです。もし、たまたま主夫がやたら多い幼稚園があって、パパ同士がただ、飲み会やレジャーで会うだけでなく、ママ友のように、子供のために必死になり、自分の居場所を探し、共感しあえる仲間を本気で探さないといけないような環境だったら、
ママ友の世界と同じようなことが起きていたんじゃないでしょうか。
ママ友とパパ友の世界に、本当は違いなどないのではないでしょうか。
そう思えて仕方ないのです。
育メンが増えているように、パパ友の世界もどんどん増えていくでしょう。そうすると、今回のようなトラブルは、いたって普通のことになる。
そんな世界がすぐそこまで、来ている。
そんな気がしてならないのです。
母親が、子供達の思い出を読み聞かせる
ママたちは子供達の思い出をつづった作文のようなものを読み聞かせする事に決まりました。
15人のママたちが自分の子供への思い出を400字詰め原稿用紙1枚分に書いて、それを、かつて舞台女優をしていたという黄見栄さん(仮名)が台本に変えて、朗読調で子供達の前で読み聞かせるというものでした。
そのアイデアを出したのも黄見栄さんです。
「すごいすごい。それやったら絶対感動するよね〜」
「わたしなんか読みながら泣いちゃいうそう。想像しただけで涙が出て来ちゃう」
それはそれは、企画の話し合いの段階では盛り上がったものです。しかし、いざ、期日を決めても誰も作文を仕上げては来ません。半分のママが期日を守らないまま、最初の打ち合わせの日がきました。作文を書いてこなかったママは、
「私はぶっつけ本番でできる」
と言うのです。てか、作文を出さないと台本も出来上がらないというのに…。
案の定、「結局、これってやる意味あります?」「退屈なだけじゃないですか?」
そう言いだすママが現れます。例のパパ3人組のママが反発を強めます。
「自己満足のために貴重な時間を使うってバカらしくないですか?そもそもは、先生たちに感謝を示すためにやるんでしたよね。その先生たちが来れないんだからやる必要ありませんよね」
たしかに、歴代の先生方を招待することはできなくなりましたが、園長先生と現在の担任の先生二人には来ていただくことになっていました。
そう考えると、その3人の先生のためだけに、時間を割くのがいやだという気持ちはわからなくもありません。しかし、それ以外のママたちは全員乗り気でした。作文を出さなくても、練習はしたくなくても、ただどんちゃん騒ぎをするのではなく、感動したい。そう考えるママが多くいます。そこは、やはり女性だなと思います。
生まれてから小学校に入学するまでの6年間。楽しいこと苦しいこと、たくさんあったでしょう。その最後の締めくくりの謝恩会がどんちゃん騒ぎだけで終わりたくない。
「感動したい!」
でも、作文は仕上げてこない。面倒くさいことはやりたくない。責任もとりたくない。決められたことだけをやれる状態にしてほしい。
でも、感動はしたい!
みんながみんなそうではありません。一部のママだけです。でも、
そういうママは、けっこうたくさんいる。と、いうか、
それが、普通なのかもしれませんね。
わたしは、男だし、運良く、そういう不運に巻き込まれたことがないだけで、ママたちの間では、普通に起きている、極めて在り来たりな出来事なのかもしれませんね。
だとしたら、なんと、生きづらい。
なんと、息苦しい。
単純に、仲良く楽しく付き合うことは不可能なのでしょうか?
話し合いは一向に進まず、重苦しい空気が流れていました。その空気を一掃したのが、黄見栄さんだったのです。
「だったら、謝恩会ではなく、卒園式でやりませんか?卒園式には歴代の先生方も観にきています。おじいちゃんおばあちゃんもいます。園長先生にお願いして、お時間をいただいて、みなさんに観ていただくというのはいかがですか?そっちのほうがモチベーションが断然上がると思いませんか?であれば、謝恩会でやる必要もなくなるし。どんちゃん騒ぎしたいママにとってもこっちのほうがよくないですか?」
またここで、一斉に歓声が上がります。ママたちから、
「ぜったいそっちのほうがいいよ。うん。そうしようそうしよう!賛成賛成」
そういう声が上がります。反対していた3人も反論することができません。かろうじて、
「保育園側がなんて言うかな?それも園長先生に反対されると思うけど」
と、言いました。それに対して、
「大丈夫です。園長先生にそれとなく聞いてみたんです。10分くらいの時間であれば空けてくださるそうです」
黄見栄さんは、あらかじめ、許可を取っていたのでした。
「すごいじゃないですか!だったら、みなさんそうしませんか?」
緑子さんも、初めて、ちゃんとした協力者を得た面持ちで提案しました。しかし、反論ママも抵抗を緩めません。
「そうなると、パパの歌や踊りはどうなるんですか?謝恩会でパパとママの見世物をするということでそもそも決まったのに、そうなると、話が全然違ってきませんか?だったら、この話は一旦なかったことにして、最初から決め直したほうがいいと思いますけど」
しかし、黄見栄さんは、毅然(きぜん)と、こう言い放ちます。
「パパたちはそれどころじゃないと思いますよ。歌も踊りも、もうできないでしょう。どうせできないでしょうから、一緒にこっちをやってもらえばいいんです。あんな状態で、できるはずありませんから!」
その言葉を聞いて、キョトンとしているママ、ギョッとした表情で固まっているママがいました。
そうです。黄見栄さんは、飯山さんから殴打されたパパの奥さんだったのです。黄見栄さんはご主人から事情を聞いていました。緑子さんも、その他のママたちもご主人から”暴力事件”のことは聞いていました。キョトンとしているママたちは、揃いも揃って、例の飯山さんの仲良し3人組の奥さんたちでした。
「パパたちができないってどういうことですか?」
3人組の一人が聞きました。
「なんか、うちのパパは、おれは参加しないことになったとは言ってたけど、やらないとは聞いてないですよ」
飯山さんの奥さんが答えます。
「だったら、本人に聞いてみてください。飯山さんはその辺の事情には一番詳しいでしょうから」
黄見栄さんはそう言って、
「じゃあ、もう、そう決めちゃいましょう。パパたちには、そう決まったって言えば大丈夫だと思います。わたしが責任を持って台本を作ります。練習日程やセリフのパートもみなさんの負担にならないようにします。だから、任せてください。今晩、わたしからみなさんに一斉メールをします。そこで、改めてきちんと広報しますのでよろしくお願います」
黄見栄さんの言葉に、3人以外の事情を知るママたちが、なにか恐ろしい者を見るような目で黄見栄さんを盗み見するだけでした。
実は、この数日前、緑子さんと黄見栄さんは綿密に打ち合わせをしていたのです。
と、いうのも、暴力を振るわれたパパの奥さんである黄見栄さんが正常な状態で打ち合わせに来られるはずはないと思った緑子さんが黄見栄さんに事前に連絡を取っていました。
黄見栄さんは、打ち合わせの場で飯山さんのママに抗議をして、「飯山さんを警察に訴える」とまで、言っていたのです。それを緑子さんはなんとかなだめ、お互いに協力しあって、卒園式と謝恩会を成功に導こうと共闘を誓い合っていたのでした。
パパとママの催し物を謝恩会ではなく、卒園式でやるという話も、二人が事前に決めたことでした。暴力を振るった飯山さんにいまさらケチをつけさせない。やる気がなく、ケチばかりつけてくるママを黙らせる。
そのためにはこの方法しかないだろう。
そういう想いで、二人が考えて導き出した最善の結論でした。
その夜、黄見栄さんがパパ、ママの全員に送ったメールがこれです。
「パパとママは合同で子どもの思い出の読み聞かせと歌を卒園式で行う。本当は謝恩会での予定だったのだが、パパたちのある事情でやらなくなったので保護者全員で卒園式で行う。台本、演技指導は◯◯黄見栄が、歌の指導は、◯◯(黄見栄さんのご主人)が行う。詳細は追ってご連絡いたします。みなさん、時間がありません。がんばりましょう!」
なんと、歌の指導は、飯山さんに殴られたご主人が行うというのです。
黄見栄夫婦による、クレーマー家族たちへの宣戦布告です。
それでも黙らないクレーマーモンスターペアレンツたち
「そんなことは聞いていない!」
「謝恩会でやるべきものをなぜ卒園式でやるのか!」
飯山さんは、「参加しない」と、宣言したにもかかわらず、必ず練習場には現れて、黄見栄さんが何も言わないのを良いことに、
「どうせ、おれが傷害事件起こしたからなんでしょ〜。あれ?おれ邪魔か〜」
と、言いだして場の全体を凍りつかせ、それ自体を楽しむような言動を繰り返していました。
いつの間にか謝恩会係であった緑子さんは卒園式催し物係も兼ね、クレーマー家族と黄見栄さん側との仲裁ばかりをするようになっていました。
つまり、クレーマーの攻撃対象は完全に、黄見栄さん夫婦に移行していたのです。
いじめの相手がころころ変わる女子中学生のいじめグループのような感じです。
それに対し、黄見栄さんは、クレーマー家族を決して表に立たないような面倒な役につけたり、露骨なダメ出しをみんなの前でやったり。周りが「やばいやばい」と、固まってしまうような言葉を浴びせるのです。
なごやかな雰囲気はついぞ最後まで訪れませんでした。
まあ、そのおかげで、緑子さんは完全に蚊帳の外。スケジュールや経費の管理だけをしっかりやっていれば大丈夫という立場におさまっていました。
そしてついに卒園式+謝恩会へ突入することとなるのです。
卒園式当日
そしてついに迎えた卒園式当日。
何事もなかったかのように当日を迎え、子どもたちへの催し物をやり遂げました。読みながら涙を流すママ。それを見ている子供たちも泣いていました。先生方ももらい泣きしています。
他の学年のママたちにはどう映ったのか?
ギクシャクしているように見えたのか、結束しているようにみえたのか。
とにかく、すべてをやりとげた。
終了後、クレーマー家族が、
「成功すると思ったんだよね~」
と、大声で自慢げに話していました。飯山さんは、下級生の母親に囲まれて、
「提案者は自分なんですよ。うちの学年はまとまっているから!ぜひ卒園式のときにやるといいですよ。いい思い出になるから!」
と、はしゃぎまくっていました。(これホントですからね)
唯一の救いは子どもたちが自分たちのお父さんやお母さんの活躍を誇らしげに見ていてくれたこと。
続きは、謝恩会の仕事の押し付け合い!面倒なことはやりたくない|ママ友は友達じゃない!!8をご覧くださいませ。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
わたしのセッションで、今の自分の状態を知ってください。どこが冷えているのか?
そして、ぽわ~んと温かくなってください。
心の冷えとりコーチングの詳細はこちらもご覧くださいませ。
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。