嫁姑問題

心の冷えとり あって当然。嫁姑問題11 ママが一緒に帰省しないと起こる問題

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膀胱炎のトラウマ

 

奥さんがインフルエンザで座敷牢に閉じ込められていた間に、音ちゃんは、じいじとばあばの過保護政策によって、脳みそはテレビと漫画、身体はジャンクフードとお菓子で作られてしまいました。

でも、子供は、本来、外でのびのび遊びたい。

相手が年寄りだろうと、一緒に遊びたいのです。

奥さんの容態も落ち着いたので、じいじとばあば、音ちゃんの3人で初めての遠出です。

しかし、夕方戻ってきた音ちゃんはなぜかグズり顏です。奥さんがどうしたの?と、聞くと、

「おしっこしたいのに、行かせてくれなかったから、お股が変なの〜」

「え〜!?」

5歳の音ちゃんの説明によるとこうです。

朝、公園に向かう移動中、おしっこがしたくなったのでオシッコがしたいと訴えました。しかし、じいじは、

「もうすぐしたら着くけ、そこまで我慢せい」

そう言います。

「コンビニにおトイレあるからコンビニがあったら止まって」(わたしと奥さんは、いつも音がトイレと言うと、そうしていました。)

そう言っても、

「コンビニにトイレなんかないよ」

なぜか、そう言って止まってくれなかったというのです。

「あるよ。そうじゃないと、漏れちゃうよ〜」

「あっても貸してくれんぞ。だから、もうちょっと我慢せい」

そして、公園についてようやくオシッコを出すことはできたのですが、そこから、オシッコがしたいという感覚が止まらないというのです。

「お股も痛いの〜。オシッコしてもすぐにオシッコしたくなるし〜。おトイレにいっても全然出ないのにしたいの〜」

完全に膀胱炎でした。

「かわいそうに。辛かったね」

「もう東京に帰りたい」

「帰りたいね。ママも帰りたいよ。早く治して帰ろうね」

 

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半身浴の攻防

 

とはいえ、インフルの場合は簡単には治癒となりません。奥さんの場合は特に症状が重く、熱もなかなかひいてはくれませんでした。

まあ、精神的な部分も大きかったんでしょうね。

座敷牢は相変わらず暗くて寒い。乾燥している。

タミフルを飲み終わってからは、

「お風呂に入っても大丈夫」と、耳鼻科の先生からのお墨付きが出たにもかかわらず、母は、頑なに拒否。決してお風呂にはいれさせませんでした。

「お義母さん、お願いですから、半身浴をさせてください。耳鼻科の先生が入ってもいいって仰っているんだからお願いします」

「そう言ってもね〜。耳鼻科は信用できんけね〜。お父さんの心臓の先生に聞いたら、完全に熱が下がるまではダメって言うとるし。そもそも最初にお風呂に入ってしもたからひどくなったんやし。お願いだから茜さん。一度くらい、こっちの言うことも聞いて」

「だったらせめて、頭くらい洗わせてください。もう痒くて」

「でも、頭濡らすのよくないしね〜」

「わかりました。では、けっこうです?」

 

(もういい。言い争うだけ無駄だ。わたしは、二度とこの家には来ない。)

 

703c2b7f278c4570cc0e8631667c0f3e_s喧嘩したらダメだ。ガマンガマン。

 

そして、決別宣言

 

 

それから、彼女は歩いて出歩けるようになると、耳鼻科に行き、現在の自分の立場。嫁姑問題を女医さんに訴えました。まるで、人生相談に行くように。

実は、女医さんも東京の方で、結婚してこちらに来たのだということでした。

そもそも、そういう会話をするようになったのは、あの”置き去り事件”があったからでした。

2回目の診療の時に、女医さんに、

「お風呂に入りたいんですけど」

と、いう奥さんの訴えに対して、

「熱が微熱まで下がったら大丈夫だけど、いまはまだやめておいたほうがいいですよ。ずいぶん汗をかいたと思うけれど、ちゃんとシーツ変えてもらっている?」

そう問いかけてきたので、

「一度も変えてもらっていません」

「えっ? 一度も?」

「はい」

「あのご両親だからちょっと気になって聞いてみたんだけど、やっぱり…。それはちょっと考えられないわね。だって気持ち悪いでしょう?言ったほうがいいわよ」

「言っても、変えてくれないと思うので」

「そういうの、ある、ある」

「それ、あるあるなんですか?」

「あるわよ。よく聞くもん、そういう話。わたしのときもそうだったわよ。嫁にそこまでする必要ない!みたいな感じの」

「そうなんですね。あるんですね」

「でも、インフルで置き去りにされたのは、風さんが初めてかもしれないわね」

「ですよね〜」

「でも、同じような経験をした人はたくさんいると思うよ」

この女医さんとの会話に奥さんはかなり救われたそうです。

ただ、東京に戻る時期に関しては、

「完治していない患者さんを飛行機に乗せるわけにはいかないので、まだダメですよ。わたしがいいって言ってからですからね」

「わかりました」

そして、ようやく、OKの出た日、奥さんは、

「もう二度と九州には来ないので、こちらのお世話になることはないと思います。本当にありがとうございました」

「そうね。二度と来ない方がいいわね。お元気で」

fc8da1dd8c28ebae1ee53194c61f13c1_s女医さんは頼りになる!と、感じられる瞬間。

 

そして、羽田空港で二週間ぶりに再会したときの奥さんの表情は、戦地から戻った兵士のような最高の笑みを讃えていたのでした。

「わたし、一生、あの家には行かないから。もう、頼んでも無駄だから」

「うん。わかった」

逆に、その横で浮かない表情の音ちゃん。

「飛行機の中で、何回も何回もトイレに行っちゃって。膀胱炎がつらいみたい」

「そうか。音ちゃん、普通の生活に戻って、普通の食事をして、久しぶりにお友達と遊んで、そうしたらすぐによくなるよ。いまは気持ち悪いかもしれないけど、大丈夫だからさ」

「うん……」

このとき、音ちゃん5歳。以来、彼女の人生にとって、”乗り物とトイレ”というキーワードがワンセットになってつきまといます。そう、トラウマとなって。

 

ばあばと孫問題 余計な一言

 

当然のことですが、子供も小学生に上がる頃には、じいじとばあばの、ただの”オモチャ”ではなくなります。

いままでだったら、言われたとおり、なんでも「は〜い!」と、言うことを聞くだけだった幼児が、

「なんか、いま、ばあばが言ったことおかしくない?」(ばあばには言わない)「じいじ、それ間違ってるよ!」(じいじには、はっきり言う)

と、気づき、考えるようになったのです。

 

2011年3月を最後に、奥さんは宣言通り、九州には行かなくなりました。

実家に戻るときは、わたしと音ちゃん二人きりです。父と母にも、

「奥さんは一緒に戻ってこないから」

そう言うと、

母「うん。そのほうがええ。ね、お父さん」

父「そうやの。それがええかもしれんの」

母「音ちゃん、だんだんいろんなことがわかってくるもんね。今回のような感じは音ちゃんには見せたくないもんね〜」

わたし(いや、あんたが一番心配なんだけどね)

二人ともすんなり納得。と、いうか、ホッと一安心したような、そんな感じでした。

 

わたしと音ちゃんは、2011年夏から、夏休みだけ、一週間の予定で九州に戻ることがパターンになったのです。

音ちゃんにとって、ママのいない初めての一週間。

少しでも飽きさせないようにわたしの友人宅へ遊びに行き、同世代の子供たちと海に行って、また別の友達家族にうちに泊まりに来てもらったりして、とにかく音ちゃんを飽きさせないように、

「ママに会いたい」

と、言わせないように工夫をします。音ちゃんも本当に楽しくてママのことを忘れているのか、それとも、なんとなく気を使っているのか、全然、「ママ」というフレーズを口にしません。それなりに楽しく毎日を過ごしています。

ただ、どこに行くにも、じいじとばあばと音ちゃん3人だけで車に乗ることは、断固として拒否します。理由はもちろん、膀胱炎のトラウマです。

でも、子供って本当にえらいもので、決して理由は言わないんです。それを言うと、じいじとばあばが傷つくからって気を使っているのですから。まあ、仮に言ったとしても、彼らは傷つきませんけど。

「あんた、まだそんなこと気にしとるんね。忘れり、忘れり」

そう言われるのがオチです。

まあ、いずれにしても、そこを除けば、大方楽しく過ごしている。

だからといって、本当にママのことを忘れているとは思えない。でも、ばあばにママの代わりは勤まりません。音ちゃんは、大震災帰省以来、じいじのことは大好きなので、家の中での相手はもっぱらじいじでした。わたしが夜、飲み会でいないときもお風呂に入るのも、一緒に寝るのもじいじです。

 

だからといって、やっぱりママのことを忘れているとは思えません。一応、母には、

「ママの話題はしないでね。ホームシックにかかったら面倒臭いから」

そう言ってありました。

「ああ、そりゃせんせん。大丈夫、大丈夫」

そう言っても、そうならないのがわたしの母です。

「音ちゃん音ちゃん。ねえねえ。あんた、ここ好きね?」

「好きだよ」

「そうね。東京とどっちが好きね?」

「どっちも好きだよ」

「ねえねえ音ちゃん。うちの子にならんね。もう東京には帰らんで、うちの子になりなさい。じいじとばあばとパパと音ちゃん4人で暮らそうや」

「ママは?」

「そりゃそうよね〜。ママもおったほうがええね〜。宏、ママもおったほうがええって」

「おまえ、ええ加減にせえ。余計なこと聞くな!」

父がたしなめますが、後の祭です。

いくらたしなめても、こういう話を1日に一回は必ず聞くのです。

本人は、いたって無邪気でまったく悪気がない。

無邪気なだけに学習しない。悪気がないだけにタチが悪い。

 

それでも、音ちゃんはママの話を決して自分からはしませんでした。

一度だけ、「ママ…」って、寝言で言ったことはありましたけど。

 

2013年、温泉の非情

 

yjimage別府杉の井ホテル

わたしもいろいろ考えまして、2013年年夏からは、一週間の滞在中、一泊二日だけ旅行に出かけることにしました。親孝行もできるし、音ちゃんも退屈しません。旅行という空間は、孫とじいじ、ばあばの距離を近づける格好のアイテムです。

コンセプトは、お年寄りがのんびりできて、子供が退屈しない旅行。

となると、北部九州ではここしかありません。

別府杉の井ホテルです。2000室を誇る九州随一と言っても過言ではないスーパーリゾートホテルです。

ここに泊まるのは、わたしの子供の頃からの憧れのようなホテルでした。正直、わたしが一番泊まりたかったんですよね。音ちゃんも大興奮。呼吸をするのを忘れるほどの楽しみがこのホテルには詰まっています。

じいじとばあばにとっても、ゆったり過ごすには持ってこいです。

部屋は4人一室ですが(でも、オールスイートなので和室とベッドの洋室がある)、行動はすべて、じいじとばあばが疲れてしまっても、お年寄りにはお年寄りの楽しみ方、子供には子供の楽しみ方ができるのがこのホテルなので、お互いに気を使う必要もない。

ただ、一つの場合を除いては……。

それは、温泉です。

そうです。温泉では、ペアは、わたしとじいじ。音ちゃんとばあば。こうなります。しかし、ばあばは、

「ばあば、もう温泉に入ったよ。気持ち良かった〜。音ちゃん、もう一人で入れるよね」

プールから戻ってきたわたしたちに、ばあばは、こう言ったのです。

「え〜?ウチ(この当時、自分のことを『うち』と呼んでました)、一人で入れないよ〜。怖いよ〜」

このとき小学2年生。確かに入れないことはないかもしれない。でも、2000室もある巨大なホテルの温泉です。外風呂もとてつもなくデカイ。普通は、子供は家族やグループで入ります。2年生の女の子が一人で入るようなお風呂ではありません。

 

DSC033441屋上にある水着を来て入る温泉プール

「じゃあ、部屋のお風呂に入ればええよ」

しれ〜っとそう言う。

「やだ〜。ウチだって外の温泉に入りたいよ〜」

「じゃあ、パパとじいじと男風呂に入ればええよ。そうしなさい」

「そんなの無理だよ。小学生の男の子だってたくさんいるんだよ。ばあばいっしょに入ってよ〜!」

「わたし、お風呂には一人で入りたいけね〜。せっかく温泉に来たんやもん。一人でのんびり入らせてよ〜」

 

この言葉には、わたしやじいじだけでなく、音ちゃんも絶句してしまいました。

「ほんとに入ってくれないの?」

「大丈夫、大丈夫、音ちゃん。一人で入っておいで。気持ちええよ〜」

ホントにホントに絶句して、ただ、ただ呆然とするわたしと音ちゃん。父のほうを見ると、

「こいつが、こう言い出したらダメやけ。わけわからんけ」

「わけわからんて…」

「なんね。あんたたち。ええやないね。もう小学生なんやから。はよ入っておいで」

ニコニコ笑いながら泣きそうな顔の音ちゃんにそう言っている。

それにしても、ばあば、つまり、わたしの母は、いったい、どういう、人間なのでしょう?

やっぱり、

変人だと思います。言いたくないけど。親だし。そう思いたくないけど。やっぱ、

変人ですよ。どう考えても。

 

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結局、音ちゃんと二人で外風呂の入り口まで行き、脱衣所の整理をしている仲居さんを呼んで、

「2年生なんですけど、一人きりで入るので、一応、注意しておいていただけますか?」

そうお願いし、音ちゃんには、

「わからないことがあったら、お姉さんやおばさんにいろいろ聞いていいからね。冷たい人は誰もいないから大丈夫だよ。じゃあ、40分後にここで待ち合わせをしよう。パパ、ここで待っているから」

そう言って、一人で温泉に入れているわたしも男風呂に浸かりながら気が気じゃない。

40分後と言いつつも30分後には女湯の前で待っていました。

結局、50分後に出てきた音ちゃんは、

「親切な若い女の人がいて髪も乾かしてくれたよ。でも、最初はすごく怖かった。そしたら、その女の人がお母さんは?って、声かけてくれたよ。一人なんですって言ったらびっくりしてた」

「じゃあ、今度から一人でも大丈夫?」

「いやだよ! せっかく大きなお風呂に入れるのに一人なんてやだよ!」

「でも、ばあば、入ってくれないよ」

「なんで入ってくれないんだろう?」

 

膀胱炎の件は、未だに音ちゃんに大きなトラウマを残しています。それと、同じことがまた、起きようとしていました。

そして、その1年後、音ちゃんとばあばの関係を決定づけることが起こるのです。

 

2014年、温泉の非情

 

1年後の2014年。

またまたやってきました別府杉の井ホテル。

 

yjimage-3室内プール。アクアガーデン

でも、チェックインのとき、わたしがフロントで、

わたし「家族風呂は予約できますか?」

そう聞いていると、横から母が、

母「は? なんで家族風呂予約するん? 誰が入るん?」

わたし「おれと音ちゃんだけど」

母「え? あんたち二人だけで家族風呂に入るん? なんで?」

わたし「なんでって……、おふくろが音ちゃんと入ってくれんから、一緒に入るためだよ」

母「じゃあ、わたしも入りた〜い家族風呂。あんたたちが入ったあと、あたしも入るよ」

わたし「おやじと?」

母「違うわね。わたし一人でよ!」

わたし「あっそう。じゃあ3人です」

フロントの方「わかりました。では、3名様で◯◯円になります」

母「え〜っ?お金取られるんね。そりゃもったいない。ええよ、そんなんとらんで。お金を無駄に使うのは止めて!」

わたし「おれが払うんだから、ええよ」

母「あんた、お金を粗末にする人なんやね〜。そういうお金の使い方はよくないよ〜」

わたし「はあ?おふくろが音ちゃんと一緒に入ってくれないから、仕方なく取ってんだよ。音ちゃんまだ一人だったら入れないっていうし。それはかわいそうやろ。温泉に来て、一人は・・・・」

母「わかった、わかった。わたしが一緒に入るから」

わたし「そう言いつつ、平気でドタキャンするやんか。できん約束はせんでいいから。もう嫌な気持ちになりたくないし、おふくろも一人で入りたいやろ。気を使わんでいいから」

母「そんなに一人で入るのが嫌なんやったら、言ってくれたら、いくらでも入るわね。入る、入る。音ちゃん一緒に入るよ。約束する。だから、家族風呂なんてとらんでええ」

わたし「ドタキャン、絶対になしだよ! 約束だよ。おれとの約束じゃないよ。音ちゃんとの約束だからね!」

母「わかったわかった」

 

結果、どうなったか。

 

母は、約束を破りました。

 

502185d681d73d0be1ce19cfbf879eff_s猿だってみんなで入るのに…。

 

(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)