昔の友人が、お互いにママになって
とりあえず、自分の子供のことは置いといて、人様の子供のことをやたら悪く言う。
そんなママ友、いませんか?
奥さんにも、かつて、そういうお友達がいました。
そのお友達とは、いま、お付き合いはありません。
そうです。
茜さんも、こう断言する人です。
「ママ友は友達じゃない!」
今日の記事は、独身時代はとても仲が良かった友人がママになって、環境が変わったことで友達ではなくなったというパターンをみていきます。
悪いのは常に相手の子、かつての友人も例外ではない
それは、独身時代のかつての友人も例外ではありません。
ここでは、その女性のことを暁美さんと呼ぶことにします。
暁美さんは、茜さんと独身時代からの友人でした。
年に一回、会うか会わない程度の友人ですが、会えば日がな1日会ってお話をする。
結婚は、茜さんのほうが早かったのですが、それから数年後に暁美さんも結婚。しかし、2年で離婚。この4年後に再婚しました。ご主人は、おとなしくて優しそうな男性です。
結婚後も、やはり年に一度のペースで会いました。どちらかの家に集まってわたしが料理を作って一緒に食べてお酒を飲んで、他愛もない話で盛り上がる。
お互いになかなか子供のできない夫婦でしたが、デリケートな部分に関しては、お互いに避けているようなところがあり、づけづけ人の心に踏み込んでくることもありません。そういうところも、付き合いやすかったのかもしれません。
そして、わたしたちの娘、音ちゃんとちょうど同じ年に暁美さんも息子さんを出産されたのです。つまり、同級生。
暁美さんは、そこになにか運命的なものを感じたのかもしれません。
「まるで双子のようだね。ずっとずっと兄妹のように育ってそのまま結婚したりして」
「だったらそれでもいいよね。お互いの親のことも家族のこともよくわかってるし」
そんな会話を幾度となく交わしたような記憶があります。
友人の子供同士が、まったく違う環境で育ったら。
暁美さんは、息子さんを溺愛していました。かわいいと思える服を買い与え、絵本という絵本を買ってあげ、仮面ライダーショーやウルトラマンショーがあると知ると、必ず行く。そして、グッズを買う。
「息子の願いはできるだけ叶えてあげたいから」
夫は、ギターやフィギュアや音楽CD、映画のDVDをすべて買って収集するというのが趣味だという人で、暁美さんも少女漫画を集めるのが趣味のような収集癖カップルだったので、子供ができてからというもの、二人の趣味は子供服やヒーロー戦隊もののキャラクターグッズなどなど、ありとあらゆるおもちゃを子供のために買うというのが共通の趣味になりました。
だから、子供がアンパンマンにハマると、テレビを録画するのではなく、DVDを買ってくる。仮面ライダーにハマると歴代の仮面ライダーのDVDボックスを数万円もかけて買ってくる。
それらがリビングの棚にどんどん収集される。リビングは、さながらデパートのおもちゃ売り場の子供の遊び場のようでした。
一方の我が家。
茜さんにもわたしにも元来、収集癖というのもがまったくありません。
基本的に物欲がない。
そもそも二人とも、生まれてこのかた、ものを集めたことがない。
わたしは、読書や映画鑑賞、散歩、自転車、車が趣味なのですが、本や映画のDVDを集めることにはまったく興味がない。自転車も乗ることは好きだけど、何台も欲しいとは思わない。車も運転は大好き(だから、今でもずっとマニュアル車を運転しています)。でも、そこにお金をかける気がない。あくまで道具として好きなだけ。
茜さんの趣味は、読書とお勉強。
読書は病的に好きですが、10年まえに今の家に引っ越したときに、前より狭くなったという理由で、ほとんど処分し、買うのもやめてしまいました。何度も読み返すだろうと思われる本だけを買うと決めて、あとは図書館で借りる。お勉強は、常に何かテーマを決めたらそれを猛烈に勉強するのが好きで、今は、ご存知の通り『冷えとり』。最近では、そこにプラスHTML言語です。
わたしも茜さんも、
映画は、劇場に行くか、テレビで放映されたものを観る。レンタルショップで借りることもしません。理由は、テレビで放映されるものだけを観ても追いつかないくらい、世の中にはたくさんの映画があるし、自分たちの観たいものだけを観ていたら、本当に素晴らしい映画を見逃す可能性があるから。
だから、音ちゃんにおもちゃを買い与えることもほとんどありません。誕生日とクリスマスに本人が欲しいと言うものを買ってあげるくらい。と、いっても、ここ2年は、
「図書券が欲しい!」
なので、親としては、なんか物足りないんですけどね。まあ、この親にしてこの子です。
わたしも茜さんも音ちゃんも、
ものがなくても、世の中には楽しいものであふれている。
そう思っています。
つまり、音ちゃんは、世の中で流行りと言われるおもちゃに触れる機会をほとんど与えられず、(わたしの兄が買ってきた、たまごっちくらいかな)生活しています。
それに対し、暁美さんの息子さんは、ありとあらゆるおもちゃに囲まれて生きてきました。
そんな子供が出会って遊ぶとどうなるか?
親が友人同士でも、子供同士が、まったく気が合わない場合。
赤ちゃんのときは、お互いの住環境の差が出るということはありません。
しかし、1年経ち、2年経つと、その差がどんどん開いてくる。それは、
持つ者と、持たざる者の差です。
久しぶりに暁美さんの家に遊びに行くと、リビングは、子供のおもちゃで足の踏み場がない状態になっていました。大きなテレビの横には、アニメのDVDと、ゲームのソフトが積み上げられ、ソファの上には仮面ライダーのベルトとベルトに着脱するアイテムが散乱しています。そこで、男の子は遊びに夢中です。
「こんにちは〜」
そう言っても男の子はチラリとこちらを見ただけで、何も言わない。おもちゃの世界に没頭中でした。
その光景を目にした音ちゃんは、「わぁ〜!」と、小さな歓声をあげて、おもちゃに突進して行きました。
そして、ベルトのアイテムを一つ手に取った瞬間、男の子がさっと立ち上がり、音ちゃんの手からアイテムを奪い取り、
「ダメ!ぼくの!」
「音ちゃんにも貸〜し〜て〜!」
「ダメ!ぼくのだから!触っちゃあダメ!」
「ママ〜!」
この瞬間から、二人の子供が仲良く遊ぶことは一度たりとて、ありませんでした。
「どうして貸して上げないの?そんな意地悪しないの。たくさんあるんだからひとつくらい貸してあげなさい!」
暁美さんは、そう言います。でも、
「ダメ!これは全部ぼくが使ってんの!ひとつでもないと遊べないの!」
「だったら、前まで使ってたやつがあるでしょう?それを貸してあげて?」
その言葉には素直に応じ、持ってきたのは、ところどころ落書きがしてあったり、割れたりしてアイテムもいくつかなくなっているベルト。電池も切れているから電飾もつかない。当然、
「あっちがいい!あっちで遊びたい!」
音ちゃんはそうなります。
でも、絶対に貸してはくれない。
「おもちゃで遊ぶのはやめて、こっちの部屋で音ちゃんと遊びなさい」
そう言われても、彼はふてくされたような態度で音ちゃんを無視したままでした。
悪いのは常に相手の子の母親はダメ息子製造ママだった
「男の子ってさ〜。こういうおもちゃ、みんな持っているからさ〜。ちゃんと揃えてないと仲間はずれにされるんだよね。わたしもこんなの買い与えるの嫌なんだけどさ〜。男の子ってほんと、お金かかるよ〜。女の子はいいわね。こういうおもちゃ、ないから。だから、音ちゃん。今度うちに来るときは、音ちゃんも自分のおもちゃ持ってきて、うちの息子に見せつけてあげな。あんな、小さい男、本当にいやだよね〜」
(いやいや、おまえだよ!この子をダメな男にしてるのは。どうせ、おまえも、『みんなと一緒じゃないとね〜』とかなんとか言っては、集団行動が苦手なママや個性的なママをいじめてる口だろ)
もちろん、そんなことは口にしません。なんせ、価値観が違うんですから。
そして、みんなでお昼ご飯を食べる時も、男の子だけは、
「食べたくない」
と、言って、テレビを点け、ポケモンのDVDを大音響で流しながら、それを観てもいないのに、おもちゃでずっと遊んでいました。
「もう、なんで、食べないの?お客さんが来てるんだよ!お願いだから、食べて!」
そう、お願いするだけで、テレビを消さない。
「もう、仕方ないな〜。ご飯、そのままにしておくから後から食べなさいよ」
結局、暁美さんは、まんまと息子の奴隷ママになっていました。
「あんな子じゃなかったんだけどな〜」
茜さんは、腑に落ちない感じでそう言いますが、
「人間なんて、簡単に変わるじゃん。茜さんだって、あんなに本を買っていたのに、住環境が変わっただけで買うのをピタってやめたでしょう?人間なんて、ちょっとしたきっかけで、簡単によくも悪くもなれる生き物なんだよ」
「そうだね。音ちゃんがいなかったら、あたし、たぶんあの子にキレてるもん。ずいぶん、わたしも穏やかになったもんだ」
で、暁美さん一家が、やってきた我が家には、とにかく、おもちゃというおもちゃが全くない。あるのは、音ちゃんのために録画したジブリアニメやディズニーアニメのDVDくらい。絵本も漫画じゃないし、ベタなものばかりだから、全部、男の子がすでに持っているようなものばかり。
そして、リビングに通すなり、暁美さんの口から出た一言は、
「ほら。やっぱり何もないじゃん。この家、なにもないからさ〜。よかったね。おもちゃ、持ってきて」
(えっ?持ってきてんの?)
思わず、無言で合図し合うわたしと茜さん。
そう言われた男の子はニッコリ笑い、背負った大きなリュックから、10台以上のミニカーや例のベルト、さらに、アルバム5冊。その中には、びっしりとポケモンカードが整然と並んでいました。
「こんなの持ってきてどうすんの?自慢すんの?」
無意識にそう言っていたわたしの口。
男の子は自慢げに「うん!」と、頷いて、リュックをひっくり返して、リビングにバーンッとぶちまけ、遊び始めたのです。
「あ、そうなんだ?自慢したいんだ?」
「うん!」
「よかったね〜。おもちゃ、持ってきて。ね、これで、大人はゆっくりお話しできるでしょう?」
暁美さんはしてやったりの感じ。しかし、わたしの口は、もう止まりません。
「せっかく来たんだから、おじさんと外に遊びに行こうよ。天気いいんだから、おもちゃでなんかで遊ばなくてさ〜」
「やだっ!」
「おじさんがせっかくそう言ってくれてるんだから、遊んでくれば?」
暁美さんは、息子にお願いします。
「いや!」
「おもちゃ、音ちゃんにも貸〜し〜て〜」
音ちゃんは、前回の経験があるので、前回以上に丁寧にお願いします。
「ダメ!触っちゃダメだよ。これ、全部ぼくのだから」
そこで、わたしは思わず本音を言ってしまいます。
「あのさ〜、ここは君の家じゃないんだよ。ここは、音ちゃんの家。君はお客さん。普通、人の家にお邪魔するときに、こんなにおもちゃを持ってきて、いきなりおもちゃを出して遊ぶのは、とっても失礼なことなの。わかる?音ちゃんの家で、音ちゃんに『おもちゃで遊んでもいい?』ってちゃんと言った?」
「……」
「言ってないでしょう?だから、おもちゃを仕舞いなさい。遊びたいんなら、ちゃんと音ちゃんに『場所貸して?』って言ってから。それで、おもちゃで遊ぶんなら、音ちゃんに貸しなさい。そうじゃないと、おかしいよね?場所は音ちゃんから借りてるのに、おもちゃは貸さないなんて。わかるよね?」
「やだ!」
「だったら、この家でおもちゃで遊ぶのはダメだよ。すぐに仕舞いなさい」
わたしの話しを黙って聞いていた暁美さんは、少し慌てたのか、
「ほら、おじさんのいう通りにしなさい!遊びたかったら音ちゃんに貸してあげなさい!あんたはなんでそんなちっさい男なの?!貸してあげるくらいいいじゃない!」
「やだ!」
やっぱり貸そうとしない。
「ごめんね、音ちゃん。こいつホントダメな男だからさ〜。許してあげてね」
(なんで許さなあかんのだ?親のおまえがそれを許しちゃいかんだろ。そうやって、ダメな男にしてるのはおまえだろ?バージョンアップさせてどうすんだ?ダメな男を許せってなんだ?)
わたしは心で毒づきます。
「よし、じゃあ、外行くぞ!」
そう言って、わたしは彼のおもちゃを勝手にリュックに仕舞い、
「ほら!立て。行くぞ!」
そう言って、サッカーボールを持って公園に行きました。
結果は、言わずもがな。音ちゃんよりも下手。すぐに疲れる。そして、「もう帰りたい」と、愚図る。
そんな態度を無視し、わたしはボールを蹴り続けます。音ちゃんが、初めて勝ち誇った顔をする。
「女の子より先に疲れるのは、さすがにやばいぞ!」
そう言っても、男の子は、ふてくされて立ち上がらない。
「わかった。じゃあ、おじさん、動画を撮るから、かっこいいところを見せてくれ!」
そう言ってガラケーを取り出すと、慌てて立ち上がり、ボールを真剣に追い始める。
男の子は、弱いとか、カッコ悪いという言葉に反応します。しかも、親や友達が見ていなければ、いくらでもサボるけれど、証拠が残ることに弱い。映像にはかっこいいところを残したい。そういうプライドだけは、小さい頃からしっかりあります。
だから、単純で可愛い。
ママが男の子にハマる理由がよくわかる。
「あれ?けっこううまくなったじゃん!」
そう言っておだてると、俄然、調子にのる。
ダメ男を、イケてる男にする方法なんて、小さければ小さいほど、女の子より、全然簡単なんだけどな〜。
まあ、それは、わたしが男だから言えることかもしれませんね。
そして、これも、お決まりなんですが、人見知りの男の子ってのは、帰る頃にようやく慣れて、帰るのを愚図る。
で、次に、会った時には、また、例のダメダメに戻っている。
子供の優劣関係が変わったとたんにママ友の態度が豹変
5歳になっても、6歳になっても、この子のおもちゃに囲まれた生活は何一つ変わりませんでした。音ちゃんと仲良くなることもありません。
ただ、この年になると、力関係は完全に音ちゃんの方が上。女の子のほうが、口が達者だし、まったく物怖じしないのです。
男の子はあいかわらず、おもちゃに囲まれていました。
ポケモンゲーム用のカードは一つの本棚を埋め尽くすほどになり、彼の趣向は完全にゲーム一色に。テレビの前には、任天堂DS、プレイステーション、テニスラケットや卓球の体感ゲーム用のアイテムなど。あいかわず、リビングは子供部屋と化し、大人たちはダイニングでくつろぐという状態でした。
音ちゃんは、いまや、「か〜し〜て〜」とは言わずに、新しいゲームソフトを見つけると、
「やっぱりあった。ここに来るとやりたいゲームが絶対あるんだよね〜」
そう言って、勝手に電源を入れ、やり始めます。それでも、男の子は、
「おい!勝手にやんじゃねえよ。俺のだって言ってんだろ!」
そう言うのは相変わらず。それに対し、音ちゃんは、
「いいじゃん。いっぱいあるんだから。嫌だったら、◯◯ちゃんは他のことして遊んでれば」
そう言うと、男の子は、
「ママ〜!」
そう半べそをかきながら、母親に助けを求めてきます。まあ、数年前からこうなることは想像できてました。すると、暁美さんは、
「音ちゃん。ゲームを借りたいんだったらちゃんと『貸してください』って言わないとダメでしょう?二人で決めたルールでしょう?言わないんだったら貸してあげないよ!」
確かに数年前に、そんな話はしたけれど、音ちゃんが「貸してください」と頼んでも、貸してくれた試しがない。だから、4歳くらいのころだったか、
「喧嘩をしても、二人の問題だから大人は感知しない。放っておこう」
そういう話をしたはずなんだけどな〜。暁美さんの中で、勝手にそういうルールを決めたという話に変わっていました。
音「ごめんなさい。◯◯ちゃん、ゲーム貸して?」
暁美「ほら、貸してあげな!」
男の子「いいよ…」(愚図ったまま)
こういうやり取りが定番になりました。
そして、
「女の子ってなんか、こういうところがずるいよね。だから、あたし、女の子って嫌いなんだ。音ちゃんもちょっとそういうところあるよね〜」
「音ちゃんもけっこう、二人(わたしたちのこと)が見てないところでいろいろやってんだよ。わたしも、いちいち言わないけどさ〜」
「だいたい、ゲームくらい買ってあげたほうがいいと思うんだよね。あんがい、うちの息子のほうが、大きくなったら心が大きくなっていたりするんだよ」
そういうことを、チクチク言うようになってきたのです。
それに対し、茜さんは何も言いません。
「子供の躾に対する価値観は、人によって、まったく違う。ましてや、友達同士だと絶対に喧嘩なるから、わたしは言いたくないの」
それが、茜さんの本心です。だから、
「そうだね〜。そうなの?そういうこともあるかもね〜」
そう言って、なるべくスルーするようにしていました。
そして、二人が年長さんのとき、ふた家族一緒に行ったアスレチック遊び。そして、その後の外食で、茜さんをキレさせる決定的な出来事が起きてしまいました。
続きは、子供の世界に親の友情は別もの【ママ友と子供のいじめ4】をご覧くださいませ。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。