動物と暮らすのは楽しい...
小さいものを育てて慈しんだり、喜怒哀楽を表現したりできるから。私は病気になる前から動物は好きでした。
でも病気になってからのほうが、動物の力は偉大であることがわかりました。自分の死をもって、私に病気を教えてくれたインコのチーやうさぎのうさこ、脳腫瘍の術後の回復を助けてくれた猫のマウ。
今日のお話は、そんな不思議な力を持つペットと一緒に暮らすことをオススメし、2年前に天国へいってしまった猫のマウを偲びたいと思います。
やっぱりあると思う不思議な力
犬が、主人の危険を察知する話はよく聞きます。
脳梗塞や心筋梗塞、心臓麻痺など、突然訪れる異変を事前に察知して吠える。
子供が川で溺れて吠えて周りに知らせるなんてのは、よく知られた話。
でも、猫は、そういうのちっとも聞きません。
これっぽっちも。
でも、実際はどうなんだろう?
わたしの経験からすると、やっぱりあると思います。
でも、猫は、犬ほど、情報をアウトプットすることが得意ではありません。人間的に言うとね。つまり、コミュニケーションツールが少ないというか。
なにか異変を同居人に知らせているつもりでも、人間の方で気づくことができないというか。
そういうことなんじゃないかと思うんです。
マウを飼っていたとき、あれなんだったんだろう?
と、いうのが、二度ほどありました。
ちょっと怖い話です。
ある晩のこと。わたしと奥さんでソファに座ってテレビを見ていました。わたしたちとテレビを線で結んだちょうど真ん中あたりにマウが横たわって、わたしたちをずっと見ていました。
これ、いつもの光景です。
「テレビばっか見てんじゃなくて、オレを見ろオレを」
そういうふてくされた顔をして、じーっとこっちを見ていました。
すると、突然、マウの目がきっと見開かれ、緊張したように耳をピーンと立てたのです。そして、肉食動物が獲物に狙いを定めるようにゆっくり歩いてくる。ロックオンされたのは奥さん。
「マウ?どうした?」
そう問いかけても答えない。鼻筋にシワを寄せて低くヴゥ〜ッと唸りながら、完全に瞳孔の開いた目で、姿勢を少し低くして尻尾を低く伸ばして歩いてくる。
明らかに様子がおかしいのです。
「マウ?マウ?」
まったく反応しない。マウはそのままの姿勢でソファに飛び乗り、奥さんのお腹に乗り、奥さんの目ではなく、奥さんの左肩の少し上あたりをものすごい形相で睨み、唸り続けたのです。あまりの迫力にわたしも奥さんもマウに触ることができませんでした。
「肩になんかいるってことだよね…塩!」
わたしは急いで塩をひとつまみ持ってきて奥さんの左肩にパッパッとかけて、祓いました。すると、マウは、「あれ?」と、いう表情でキョトンとして、周りをキョロキョロ。
あれ?なんで自分、ここにおるの?」
本当に、そんな顔するんです。
「マウ?」
呼びかけると、びっくりしたように大きな声でミャ〜ッ!
そして、リビングだけでなくキッチンやお風呂場や別の部屋をタッタッタッと走り回り、キョロキョロ何かを探すのです。
「どうした?なんかいた?なんかよくないのがいたの?」
ミャ〜!(あいつ、いなくなった。たしかにいたんだよ)
そういう返事でした。
結局、それがなんだったのかわかりませんが、マウにはなにかが見えていたということです。
そして、そういう時、猫が本気になったとき、飼い主が猫と会話することは、可能だということです。
えっ?わたし、ちょっと変なこと言いました?
会話できるとかなんとか。
わたしも、こういうこと、言いたくないんですよ。動物と会話できるなんて。不思議ちゃんじゃないんだから。でも、後から思うと、やっぱり会話できている時ってあるんですよ。
人同士だってあるじゃないですか。心が通い合う瞬間ってのが。
人と動物の間にもあるんですよ。確実に。
音ちゃんの誕生とともに、マウとの悲しいお別れ
2004年12月に音ちゃんの妊娠がわかって、05年7月に生まれるまで、マウは、奥さんからそれこそ、一時も離れませんでした。
もちろん、理由はわかりませんが、これが、犬だったら、
「ママを心配してくれているんだね」とか、
「お腹の赤ちゃんを守ってるんだよ」とか、
素敵な解釈が簡単にできるんでしょうけれど、猫だと、「心配してるから」なのか、「守ってる」のか、正直、よくわかりません。
よくわからないけど、奥さんから離れない。
奥さんが、高いところのものを取ろうと椅子の上に立ったりすると、自分も椅子に上ってミャアミャア鳴きまくる。
「やっぱり心配してくれてるんじゃない?」
「そうだとうれしいけどね」
と、どうしても疑いの気持ちが取れない。
もし、本当に心配してくれていたのなら、本当にマウには、
申し訳ない!
と、謝りたい。
結局、妊娠中、奥さんの体調がすぐれず、お腹の赤ちゃんの状態もよくないということで、最後の2ヶ月くらいはずっと寝たきりだったときも(詳細は、高齢出産妊婦さんの苦悩1〜6をご覧ください)、マウは、それこそ、ずっと奥さんの横で一緒に寝たきりでした。
「マウは、もしかしたら、猫じゃないんじゃない?」
「いや、知られてないだけで、猫って本来こうなんじゃない?すごく家族思いと言うか、同居人思いと言うか」
そんなこんなで音ちゃんが生まれたら、今度は、音ちゃんから一瞬たりとも離れない。ズーッと一緒。それでいて、感心だな〜っというか、すごいな〜って思うのが、
決して、音ちゃんに触れないんです。自分からは。音ちゃんが手を伸ばして毛をむしったり頭を叩いたりしたら、すーっと離れますけど、それ以外は、絶対に近くにいる。
おしっこやウンチをすると教えてくれる。まあ、猫は糞尿の匂いが大嫌いだから、
「くせえよ〜。早く掃除してくれよ〜」
そう訴えていただけかもしれませんが、とにかく、マウは音ちゃんのことをどう思っていたのか…。
それも、今となってはまったくわかりません。
でも、なんとなく、
家の中で、”もっとも大切な生き物”と、思ってくれていたような気はします。
しかし、生後、半年経って、音ちゃんにアトピーと小児ぜん息があることがわかって、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、自然療法医院の診察の結果、
「音ちゃんとマウは一緒に暮らせない」
と、いう結果が出て、マウは奥さんの実家に飼われることになりました。
そういう意味では、わたしは本当にダメな、無責任な飼い主だったと思います。
いま、マウは、マイと名前を変え、幸せに暮らしているので結果オーライではありますが、おそらく私たち夫婦が猫を飼うことは二度とないでしょう。
でも、猫を飼ったことがないというみなさんが、もし、ペットを飼うことを検討されておられるのであれば、是非とも、猫を飼ってください。
もちろん、犬もかわいいですよ。でも、それは、みんな知っているじゃないですか。飼ったことがない人でも犬のかわいさはわかりますよね。
でも、猫は飼わないとわからないんです。
マウよ永遠なれ
猫は、本当に自分勝手
呼んでも来ないし、抱っこしたくてもヒョイと逃げていくし。
かと思うと、仕事をしていたら邪魔するし、
寝てたら起こしに来るし。
かと思うと、仕事をしていたら邪魔するし、
躾なんてできっこないし、
こたつでは決して丸くならないし、
アホなことばっかりするし、
でも、そんなマウが、
そんな猫が、
たまらなく、
好きなのです。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
マウは2016年2月に天国へ旅立ちました。15年楽しい時間をくれて本当にありがとう。