ステロイドは本当は使いたくなかったけれど、使ったら驚くほどよくなったアトピー。
肌の炎症はおさまりましたが、次に出て来たのは喘息の症状でした。
アレルギー→アトピー→喘息というループにお悩みの方に向けて書いた記事です。
アトピー性皮膚炎治療における光明
2015年4月21日、慶応大学病院医学部が、「皮膚の炎症を引き起こす原因を解明した」と発表しました。
これまでアトピーは、ぜん息や食物アレルギーを併発することから、アレルギー性の疾患であることは知られていましたが、そもそもなぜ、アトピーは皮膚炎を起こすのか、そのメカニズムは知られていませんでした。
だから、これという治療法も決まっておらず、アトピーを持つ人やその家族をずっと悩ませてきたわけですが、慶応大学病院は、その原因を、
ブドウ球菌などの異常細菌巣が引き起こしている。
と、したのです。これにより、
ステロイドによる炎症抑制ばかりに頼っていた治療法を大きく変える可能性が出てきたのです。
つまり、ようやくいま、
なぜ、アトピー性皮膚炎が起こるのか、原因が特定されようとしている。
そういう段階に到達したのです。
言い換えると、それほど、アトピーには謎が多い。それだけ、やっかいな疾患だということです。
アトピーとの本当の闘い
9ヶ月のときに音ちゃんに発症したアトピーはステロイドのおかげでみるみる消えていきました。
保育園の同じクラスには8人中、音ちゃんを入れて3人アトピーの子がいました。あとの二人は男の子です。
音ちゃんは頬だけが真っ赤に腫れ上がるタイプ。男の子の一人は顔全体が真っ赤になるタイプだったので髪の毛は短く、いつも坊主頭でした。もう一人の男の子は顔はとてもきれいなのですが、両腕が真っ赤に腫れ上がるタイプでした。
坊主頭の男の子は、いつも顔や頭をかいていて、とてもつらそうです。それに比べ、音ちゃんは起きているときはまったくかかないのです。かくのはもっぱら眠っているときだけ。だから、本人にかゆいという自覚はほとんどないようでした。
その子に比べ、音ちゃんはまだマシか…。そう思えたのが救いでしたが、
そうやって、比較して、(うちはマシだ)と、思ってしまう自分の感覚が、ものすごく嫌でした。
坊主頭の男の子は、すでにフルメタ(非常に強い)からデルモベート(最強レベル)のステロイドを使用していました。
ステロイドを使用しても症状がひどくなるばかりなので、どんどん薬を強くしていったのです。
そのうち、その子の肌はかさかさになり、全身にアトピーが広がり、かきむしっていつも血がにじんだような肌をしていました。
その子のお母さんは、奥さんに、
「どうして風さんのところは同じアトピーなのに肌がきれいなの!!!ずるい」
思わずそう口走ってしまうほど、余裕がなくなっていました。
音ちゃんは、乳酸菌、ホメオパシー、ステロイドを併用して使っていました。幸いなことにステロイドの中でも一番弱いキンダベートで炎症が治まっていたので、音ちゃんのケースは、その男の子の参考にはなりません。
火事を起こしている状態に乳酸菌やホメオパシーを使っても即効性はないからです。乳酸菌やホメオパシーは長期計画で体質を改善していくものです。もちろん、男の子にも長い目で見れば効果は出てくるかもしれません。しかし、人に勧められるだけの自信が、まだわたしたちにはないのです。
「もうこれ以上強いステロイドはないのに、どうしたらいいんだろう」
その子のお母さんはいつも頭を抱えていました。
男の子本人はもちろんかわいそうですが、お母さんもとてもかわいそうでした。
考えてもみてください。
ステロイドは、誰も使いたくないんです。
将来、どういった副作用が出てくるのか、わからないのです。
でも、火事を消すために仕方なく使っているんです。
それでも、アトピーが治らなかったら…。どうすればいいのでしょうか?
そんなこと、医者にすらわからないのだから、誰にもわかりません。
わたしの友人には、
「子供のころ、ひどいアトピーだったけど、東京から田舎に引っ越したらすぐに治った。水が良かったんだと思う」
と、いう人や、
「わたしはお腹いっぱい食べてしまうと翌日にアトピーが出てくるので、常に腹八分になるように心がけています。でも、お酒を飲むとどうしても翌日は痒くてひどくなるんです」
と、いう人もいて、皆、独自に対処法を模索して、解決に導くために必死です。
子供のころからずっとアトピーと共に生きてきて、いまだに治療法を模索しているのです。
実際に完治した人もたくさんいます。でも、そんな人は一握りです。
医者を頼る=ステロイドを使う
この公式は現状では変えることはできません。
あとは、親の力です。
アトピーと闘う方法を見つけ出すのは、親しかいません。
医者は、ステロイドを処方します。
できるだけ、アレルゲンを除去してください。
常に保湿をしてください。
化学繊維の衣類は避けてください。
必ず、そう言います。それくらいしか、対処法がないからです。
だから、
いつも一緒にいて、子供のちょっとした変化を感じ取ることができる親しか、わからないのです。
この子は、どういった環境だとストレスを抑えられるのだろう?
どんな食べ物を食べたときに肌の調子はよくなるだろう?
汗をかいたときにはどこに皮膚炎が出るだろう?
親が探してあげなくては。
親が決めてあげるんです。
アトピーと闘うためには、これしかないと思います。
親がしっかりしなくては!
わたしたちもいつも不安に襲われます。
音ちゃんもいつかあの男の子のようになるのだろうか?
不安がよぎります。
ホメオパシーや乳酸菌が、本当に効いているのかどうか?
わたしたちにはわかりませんでした。
音ちゃんは、
2歳くらいまでは、皮膚科医の指示に従って、ステロイドは一番低いレベルのものを使用し、かゆみが引けば使用量を減らしていました。
ただ、ザジデン(抗アレルギー剤)は毎日のように飲ませ続けていました。
でもどう考えてもこんな小さい子どもが予防のために毎日薬を飲む生活は異常だと思うのです。
ぜん息への移行
見た目にはほとんどアトピーとわからなくなってきた4歳くらいのころから、夜になると突然咳が出て、一度出ると止まらなくなるという症状を引き起こすようになりました。
風邪の症状から咳に変わることが多くなったのもこの頃です。
音ちゃんのアトピーの不思議な特徴の一つとして、
皮膚炎が突然治ったら、その2、3日後に必ず発熱をするか、風邪を引き起こす。
と、いうのがありました。
ひどい頰の腫れが、突然スーッと消えてなくなるのです。
「ほっぺたかゆいのなくなったね〜。よかったね〜」
その2日後あたりになると、必ず高熱を出すのです。そして、その間、皮膚炎は一切出てきません。そのうち、熱が引いてくると咳が出始めて、一晩中咳が止まらなくなるという状態が10日間ほど続くのです。やはり、この間も皮膚炎は出てきません。
ようやく咳がおさまると、皮膚炎がポツポツと現れ始めるのです。
アレルギー専門医のところにいくと、背中に貼る拡張テープ(器官を広げるテープ)と喘息の吸入器を処方されました。吸入するのは、もちろんステロイドです。
しかし、咳は止まりません。
夜中から明け方にかけて咳がひどい状況が続くと親の方も寝不足で体力が持たず、イライラするようになりました。
ぜん息のはじまりです。(皮膚科で聞いたアトピーと喘息と花粉症は兄弟の関係 闘うアトピーvol1)
低気圧が近づくと、湿気が増えます。湿気が増えると、肌が保湿しやすくなり炎症が治まります。気圧が下がりますから器官が狭くなります。気道がしっかり確保できなくなるから咳を始めます。
夏から秋にかけて、台風がよく来る頃になると、咳がよく出るようになります。
その時間は、決まって夜中の0時から2時までと4時から6時まで。
その間、咳は永遠に収まらないのではないか…と、不安になるくらい続きます。
その間、わたしたちは交代で、音ちゃんの背中をさすり続けます。
そんな状態が1日では終わらず、10日間くらい続きます。
わたしたちは2時間くらいしか眠れず、体力も衰えます。
本当につらい日々でした。
この苦しみから逃れたいために、少しでも咳が始まると、吸入器を用いてしまいます。
音ちゃんを苦しみから解放してあげるためなのか? それとも、わたしたちが安眠するためなのか?
そう考え始めると、自責の念に襲われ、自分の精神も参ってしまします。
やがてその予防の吸入器も効かなくなってきて、喘息の薬を噴射してミストで吸わせるということもやりました。
いくら医者が「大丈夫だ」と言ったからといって、本当に使い続けても大丈夫なのでしょうか?
将来、なんらかの副作用や後遺症が出た時に、医者は責任を取ってくれるのでしょうか?
もはや症状が出る前と出た後に重複して薬を使用してしまっているのです。
私たちの中で、
薬を使い続けてるのは、やっぱりよくないのではないか…。
ステロイドを使わない方法は本当にないのだろうか…。
もっと、きちんと長期的に治療できる方法を見つけなくてはいけない…。
そういう疑問が生まれ始めまていました。
続きは、子供がアトピーになった!闘うアトピー5冷えとり健康法で改善をご覧ください。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)