住居・ご近所問題

一人暮らしの女性を襲う”不動産トラブル”4 〜完結〜

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じらして、スカして、ホッとさせて、意表を突く急襲

 

「3ヶ月くらい完全に無視をしましょう。ほっときましょう。電話に一切、出る必要はありません。折り返しする必要もありません。完全に無視です。その間に、Fさんが準備できることはしておきましょう」

それから、オーナーから2週間の間に5度も電話がありました。Fさんはすべて無視。留守電話には、どれも、

「日割り金額は決まりました。クリーニング代は300,000円よりオーバーしましたが、請求はしません。契約終了書にサイン捺印をしていただきたいので、早急に自宅にお越しください。この電話を聞きましたら必ず折り返しください」

と、いう同じメッセージが吹き込まれていて、主張は最初からなにも変わりません。Fさんは、その度に、わたしに聞いてきます。

「折り返し、電話をしなくていいのでしょうか?」

「しなくていいですよ」

「でも、かなりイライラしているみたいで…」

「そういう作戦ですから大丈夫です。折り返し電話をかけてFさんはなにを話すつもりですか?」

「て、いうか、電話をしないと、ますますお金を返してくれなくなりませんか?」

「向こうは、最初から返すつもりはないし、早くFさんのサインが欲しいのです。それさえあれば、すべてが終わると思っていますから。向こうも必死なんです。Fさんはサインをするつもりですか?折れるんですか?」

「ぜったいに折れません。でも…電話がかかってくるのが怖いし…」

「そうやって、恐怖心をあおって、考える時間を与えないようにするのが向こうのやり方なんです。その結果、たくさんの女性が泣き寝入りをしてきたんです。女性にとっては怖いです。その恐怖心から解放されたいですから。でもね、向こうだってFさんのことがものすごく怖いんですよ。こうやって戦う女性に出会ったのは初めてなんですから。だから、Fさんが、この沈黙が、向こうに恐怖心を与えているんです。怖いのは向こうなんです。なんの心配もいりません。一ヶ月もすれば、一切電話がかかってこなくなりますから」

まったくその通りになりました。

オーナーから一切、電話がかかってこなくなりました。日割り家賃は返納されないままでしたが、催促はなくなりました。

(オレは逃げてないということを示せたし、同時に、あれだけ恐怖心を植えつけることができた。もうあきらめたんだろう。よしよし)

さぞかし、そう思っていることでしょう。

一ヶ月も経てば、人間、いやなことは、忘れます。なかったことにしようと脳が勝手に判断し始めます。そして、自分の中で、完全に終わったことになります。

 そう考えたほうが、楽ですから。逃げ果せたと。なんだチョロいと。だから、犯人は、同じ犯罪を繰り返すのです。常習犯はそうやって生まれます。

 

 だったら、そう思わせてあげるのです。Fさんとのトラブルは、完全に過去のこと。そう思わせることが大事なのです。

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  主導権は、常にこちらが握っている。

それからあとは、簡単でした。

Fさんは、まず、最初に、30分無料で弁護士さんに相談できる区民相談室に行って、状況を説明します。

そこで、個人で、内容証明郵便を送って現金の返却を請求する方法と、裁判の少額訴訟制度の存在を知ります。

次に、Fさんは、不動産業務に従事する友人に相談をします。

そして、友人から、

法務局で家の登記簿謄本を取得すること。

区の環境課へ行って、家の取り壊し届けと建設リサイクル法届けがいつ、オーナーから出されてたのかを知るために、その二つの届けの公開請求を行うこと。

を、教えられます。

その結果、次のことがわかりました。

◯オーナーがFさんらに退去を依頼してから2週間後に家の取り壊し届けを提出していること。これはFさんが退去する9日前のこと。

◯Fさんが退去してから、わずか1ヶ月後に家を取り壊していること。

 

このことから、

Fさんが退去する前に、家の取り壊し届けを出した本人が、壁の補修とクリーニングをするはずがない。結果、していない。

と、いうことがわかります。

 

Fさんは、書類のまとめにかかります。

これまで、オーナーからかかってきた電話の通話記録と、わたしとオーナーの通話記録を原稿にまとめ、登記簿謄本や取り壊し届けの書類、賃貸契約書など必要書類をまとめ、

一連の詳細を、時系列に原稿にまとめました。

素人さんにはかなり手こずる作業ですが、時間はいくらかかってもかまいません。

Fさんは時間の余裕があるときに、時間をかけてしっかり作業をすすめました。

気がつけば、退去してから半年の月日が経っていました。結局、それ以降、オーナーからは一度も連絡はありません。Fさんが住んでいた家にはすでに新しい家が建っています。

 

年が明けました。

オーナーにとっては、すでに、遠い過去のこと。Fさんのことすら忘れてしまったかもしれません。

Fさんは、満を持してオーナーに電話をします。

「日割り家賃と、クリーニング代の返却の件です。ずっとオーナーさんからのご連絡をお待ちしていたんですが、いつになったら返していただけるんでしょうか?」

「電話に出なかったのはあなたでしょう!」

「そうなんですか?」

「まあ、それはいい。日割り家賃は取りに来ていただいて、契約終了書にサイン捺印していただいたら返しますよ」

「クリーニング代は返していただけるんですよね?」

「クリーニングはしたので返せません」

「じゃあ、領収証のコピーをいただけますか?」

「見せることはできますが、お渡しすることはできません」

「クリーニングはやったんですね」

「やりましたよ」

「間違いないんですね」

「間違いありません」

「わかりました。じゃあ、また改めてご連絡します」

Fさんとしては、やはり、事を大きくはしたくありませんでした。だから、もう一度、オーナーの意思を確認しておきたかったのです。オーナーはなに一つ、変わっていませんでした。

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内容証明郵便を送付

 

Fさんは、内容証明郵便の作成に取り掛かりました。

内容証明郵便とは、文字通り、

郵便局が、書かれている内容を証明してくれる郵便物のことです。

相手に、借金の返済を求めたり、今回のような重要な内容の書類を郵送で送ったとき、あとになって、相手が、「そういうことは書いてなかった」と、言われないようにするために、郵便局が、同じものをコピーして保管し、「その内容で間違いありません」と、証明してくれる郵便物ということです。

Fさんは、友人の不動産屋さんの指導を受けながら、内容証明を自分で作成しました。

その中身ですが、

オーナーが行っている行為が詐欺行為である証拠を示し、期日までに所定の口座に300,000円が振り込まれていなければ、刑事告訴する。

という、内容でした。

オーナーは、内容証明を手にした瞬間から、期日までに、お金を振り込むか、振り込まない場合は、その理由をきちんとFさんに明示しなければなりません。

内容証明には、そういう力があるのです。

そして、内容証明が確かにオーナーのもとに届いたという「配達証明」がFさんのもとに届いたその日、口座を確認してみると、300,000円と、家賃日割り返納分が振り込まれていました。

オーナーのもとに、内容証明が届いたその日に、振り込んだのです。

おそらく、慌てふためいて、銀行に駆け込んだのでしょう。震える手で口座番号を打ち込んで。ただただ、

(どうぞFさんが刑事告訴しませんように…)

と、懇願しながら。

その後、

「契約終了証にサイン捺印してください」

と、何度も言っていたオーナーからの連絡はいっさいなく、未だに契約終了証にサイン捺印はしていません。そんなもの、本当は存在してなかったのかもしれませんね。

(相手は小娘だから、直接、会って恫喝(どうかつ)すれば、簡単に黙るだろう)

そう思っていたんだろうし、そうしてきたのでしょう。

 

でも、もう、そうは思わないでしょう。

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行動するか、しないか。ただ、それだけの違い

 

どうでしたか?

Fさんは、特別な女性でしたか?

Fさんは、他の女性に比べて勇気がありましたか? ものすごく機転の利く女性でしたか?普通の女性に比べて行動力がありましたか?

ぜんぜんそんなことはありません。

彼女は、自分が正しいと思っても、恫喝されたら怖くなってシュンとする女の子でした。

負けたくないと思っても、その手段がまったくわからず、右往左往するだけの女の子でした。

行動力が特別勝っているわけでもありませんでした。

ただ、

 ”諦めなかった”

そして、

 ”人に相談する”

と、いう行為を繰り返し、

 ”自分の頭で、考え続けた”

その結果、彼女は、

 ”行動してみると、案外、簡単なんだ”

と、いうことに気がつくことができた。

Fさんは、言います。

「ものすごくきつくて、本当につらかったんです。でも、やり方さえわかったら、ものすごく楽でした。やっぱり、どうすればいいのかわからない。どうやればいいのかわからないってことがきついんです。でも、わからなければ、聞けばいいし、わかったらとりあえずやってみればいい。やったらどうにかなるってことに気づくことができました。いまは、ものすごく自信がつきました。わたしたちがわからなくて困っていることって、世の中にたくさんあるけれど、その中のひとつでも、解決につながる方法がわかったら、それはすべてに通じるんだろうなって、いまは思えるんです。それが、ものすごい大きな自信につながりました」

「じゃあ、この件は完全に終わりだね。よかったね」

「でも、まだ、謝罪がひとこともないんですよね。まあ、予想はしてましたけど。そこは、ちょっと納得してませんけど、いいです。許してあげます」

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