こんにちは。
冷えとりコーディネーターの風茜(instagram kazeakane)です。
子供に漫画を読ませるのはNGと思って禁止しているお母さんが多いのでは?
うちは私が漫画が大好きなので禁止していません。
今日は、漫画で、性教育や歴史的事実がとても勉強になった里中満智子さんの『天上の虹』について、中学生の子供が読んだ感想を織り交ぜながら、お話しいたします。
漫画を禁止せずに読ませるのはこんな効果があるからです。
漫画を読ませてあげてくださいという私からのお願いです。
『天上の虹』とは
里中満智子さんの『天上の虹』とは、持統天皇の生涯を描いたものです。
持統天皇ってどの時代の天皇かというと、飛鳥時代の人です。
天智天皇の娘さんなんです。
天智天皇とはあの中大兄皇子のことで、大化の改新で中大兄皇子は中臣鎌足らと謀り、皇極天皇の御前で蘇我入鹿を暗殺するクーデターを起こした人。
歴史的には、蘇我氏から実権を取り戻したヒーローとして認識されています。
子供も中学受験の史実として勉強した際には、逆賊を成敗したすごい天皇と認識していました。
その天智天皇の娘が持統天皇なんです。
飛鳥時代の天皇家の婚姻関係は複雑
まず、この漫画を子供が読んで感じた感想は、
と、現代的な感想をもらしました。
これは漫画の中でも、持統天皇が父である天智天皇に好きだった人(有間皇子)を死に追いやられ、父の弟(持統天皇にとっては叔父)にあたる人に嫁がされて、奥さんには自分の姉もいて、ほかにも何名も奥さんがいたことからそう感じたようです。
天智天皇って、どうなの?
そう、歴史的には高い評価を得られている天智天皇ですが、里中満智子さんの漫画の中では結構な独裁者です。天智天皇に恨みを持たない人はいないくらいな相当な悪者として描かれています。
持統天皇は小さい頃から、有馬皇子が好きだったのですが、頭のいい有馬皇子を警戒した天智天皇が罠を仕掛けて殺してしまいます。(しかも有間皇子のお母さんは天智天皇の妹の間人皇女であり、その妹と天智天皇はできています。)
有間皇子と殺してしまうと、持統天皇を自分の弟に嫁がせるという....
女子は政治の道具にしか思っていないということを持統天皇が感じるのも無理はないでしょう。
そして、その弟が有能なことを恐れながら、あらゆる策略を持って、自分の息子を皇位継承させたのですが、その天智天皇がなくなると、皇位を巡って、ついに壬申の乱が起きます。
天智天皇の息子(大友皇子)VS 天智天皇の弟(天武天皇)
その結果、自分の夫(天武天皇)が皇位を得た結果、持統天皇は皇后となるのですが、その夫にも妻というよりはむしろ戦友として思われ、女としての幸せを願う持統天皇は、いろいろな女性の所に行ってしまう天武天皇に激しく嫉妬する苦しい毎日を送っている様子が描かれていました。
とどめの持統天皇のお話の悲しさ
10巻まで読みすすんだところ、子供はこんな感想をもらしました。
なぜならば、自分の夫が死んだ後に自分の息子(草壁皇子)を無理に即位させようとした結果、優秀で次の天皇候補だった大津皇子(自分の姉の子で夫は同じ)の謀反が発覚して、大津皇子を処刑します。
そのことに罪の意識を感じた草壁皇子は狂人になってしまい、自害してしまうのです。しかも死に切れず、自分の奥さんに自殺幇助をしてもらうのです。
それでも続く、持統天皇政治
死ぬほど悲しいことがあったのに、次の天皇(孫)がまだ幼いために持統天皇は必死で政治をしなければなりません。
気がついたら、あんなに嫌った父の天智天皇と同じようなことをしている自分の罪の意識に苛まれます。
漫画の中には、持統天皇の恋愛はもう出てきませんが、次の天皇の座を巡って、自分の娘を有力な候補に嫁がせたために、不倫が発覚して、そのために右腕だった高市王子が巻き込まれ、毒殺。
持統天皇は必死で自分を奮い立たせるために、霊薬(辰砂という水銀を含む鉱物が吉野の池で湧き出ていた)を不老の薬と信じて飲んでいました。
霊薬を飲んでなんとか頑張ろうとしている持統天皇にまだまだ災難が降りかかります。自分の孫の軽(珂瑠)皇子(のちの文武天皇)の妻の紀皇女が弓削皇子と不義密通していていることがわかり、心痛でした。
持統天皇の頃には、天皇の後見争いがとても多く、そのための処刑に悩まされることが多かった時代ですが、天智天皇(父方)と天武天皇(母方)の二人の血を引く葛野王が、後継者争いを避けるために、
長子が相続する
ということを提案し、持統天皇がそれを採用したのも大きな功績かもしれません。
持統天皇の功績
長子が相続するということを決めたのも持統天皇でしたが、その他にもいろいろな功績がありました。
持統天皇ははじめて上皇になったり、火葬をした人でもありました。
一番の功績は夫を支え、子供を失っても、孫を支えるために上皇になり、大宝律令を作り上げたことではないかと思います。
これによって、王を中心とした国づくりができるようになり、ほぼ日本を支配できるようになったという意味ではここで王政が確立したと言える大きな功績だと言えると思います。
こうして今までまったく知らなかった奈良時代の女帝の話を知ることができた長編の『天上の虹』は、親子共々ためになりました。
漫画から歴史に興味を持つという点では、お子さんにおすすめですし、ドロドロした恋愛を知り、自然と性教育にもなったようです。
(執筆者:冷えとりコーディネーター 風茜)
里中満智子さんの『天上の虹』は23巻あります。(文庫版は11巻)1983ー2015年までmimiで連載された長編大作です。途中、遺跡が発掘されて新事実もわかったようです。TUTAYAで借りようとしましたが、取り扱いがありませんでした、東京23区であれば図書館に所蔵されているので借りるのもいいですね。