付き合いの長かった友人と同じ時期に子供を授かったことで、今度は子供とともに友情を育もうと考えた奥さんでしたが、子供の育て方の違いにより、合わなくなってきていることに気がつきました。
そうです。ママ友の世界は子供のことが中心だから。どうしても自分の子が一番と思うママ友の世界では友情は育まれないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。ママ友のお付き合いで失敗した奥さんにも、少ないママ友ができたのです。
今日の記事は、ママ友のグループに入れずにお悩みのお母さんに向けて、つるむことのなかった奥さんのことを例にお話しいたします。
前回までのお話はこちらもご覧ください。
仲が良かったママ友からフェイドアウト
子供が生まれる前まで、本当に仲の良かった茜さんと暁美さんでしたが、子供が生まれてから、子供の成長とともに、子育てにおける考え方の違いから、どんどん距離が広がっていきました。
そして、ついに決別。
茜さんは、
「もう暁美には会わない」
心に決めます。だからと言って、
「あなたとはもう会わない」
「二度と連絡しないで」
などと、宣言はしません。フェイドアウトです。
日帰り旅行のあと、ギクシャクした後味の悪い感じが残っていたので、暁美さんからもしばらくは連絡がありませんでした。
でも、年賀状は普通に届きます。息子の写真で埋め尽くされた年賀状。それに対し、茜さんも普通に年賀状を出しました。しかし、昨年まで音ちゃんの写真つきだったのが、今年は、普通に「賀正」と印刷されたもの。
「もう、付き合う気がないんだったら、軽いジャブで意思表示をしてもいいんじゃない?暁美さん、音のことが気に要らないんでしょう?そんな人に音の写真を送る必要はないよね」
わたしがそう言って、茜さんは同意。
しかし、年が明け、年賀状のやり取りをしたということで暁美さんの中で禊が終わったと解釈したのか、それとも、単にさっぱりした性格なのか、
「今度の休みにみんなでバーベキューに行かない?」
と、いうお誘いのメールが来ました。しかし、茜さんは、
「ごめんね。その日は用事があって行けない」
とだけ、返事を返しました。
「そっか。じゃあ、仕方ないね。じゃあ、またね」
暁美さんも文字少なめ。今までであれば、ここから最近の出来事や家族のことについて5、6回メールのやりとりをするのですが、向こうからそれ以上の送信はありません。
「なんとなくわかるんだな。わたしがまだ怒っているということ」
「本当にもう、会わないの?」
「うん。会わない。結局、会うときは子供も付いてくるし、そうなると、毎回、同じことになるでしょう。今度会ったら完全に修復不可能になると思うんだ」
「修復不可能にはなりたくないんだ?でも、会わない?」
「そう。そういう時期があるんだよね、女友達って。結婚した時もそうだった。今まで仲良くしていた子が、夫の話ばかりするようになって、なんだかという感じになって、離れたり・・・・。だから、子供がある程度大きくなって、お互いに子供の話題をしない年齢になったら、また昔のように話せるかもしれないでしょう。でも、暁美とは、そうなるまでにかなり時間がかかると思う。あれだけ子供に依存しているんだもん。だから、暁美が子供から独立できるようになるまでは会わない。時間が経って、お互いに会いたくなったら、会うだろうし、そのとき、もう会いたいって思わなかったら、その程度の関係だったってことでしょう」
暁美さんからのメールの送信はその後もありましたが、茜さんはメールは普通にやりとりします。しかし、誘いはすべて断り続け、そのうち、メールの頻度は減り、今では年賀状のやりとりだけになりました。
あいかわらず、暁美さんからの年賀状には男の子の写真がいっぱい。茜さんの年賀状は、「賀正」の印刷に短い言葉を添えて。
ママ友が子供の話題を抜きにして、友達関係を続けるのは、本当に難しいと思います。
茜さんは、
ママ友が子供の話題を抜きにして、友達関係を続けるのは、無理!
と、考えています。
そして、
子供の話題が中心になる限り、本当の友達にはなれない。ママ友はママ友。
そう、考えています。
ママ友が、友達になれるのは、
子供抜きで1対1で会える関係であること。
会ったときに、「子供のこと、忘れられるからいいよね〜」と、言い合える関係であること。
家族同士、子供を交えて会っても、お互いが一定の距離を保てる関係であること。
この三つの条件が揃って、初めて、友達と言えると思います。
子供がいじめの天敵になるのはすぐ謝るから
次のママ友だった方々の話です。
その方を仮にヒロ子さんとします。ヒロ子さんの娘、ヒロ美ちゃんは、音ちゃんと同級生です。保育園のころからずっと。小学校に入っても同じ。
でも、ヒロ美ちゃんと音ちゃんは、ずっと仲がよくない。
てか、ずっと音ちゃんはヒロ美ちゃんから嫌われている。音ちゃん本人には、その自覚がまったくない。その自覚がまったくないから嫌われるんだろうな〜と、嫌う側の立場に立ってみると、なんとなくわかる。
つまり、音ちゃんからみると、ヒロ美ちゃんは、おそらくたくさんいるクラスメートの一人に過ぎない。音のヒロ美ちゃんに対する関係はずっとその程度。だから、”お友達”ではない。
以前にも書きましたが、それは、音が、同時に二人三人の子供と遊ぶことが苦手という性格にあります。人が大勢集まると、どうしてもその輪からはみ出てしまうのです。本人曰く、
「一緒に遊ぶ子が二人、三人って増えていくと、誰と遊んだらいいのかわからなくなる。だから、本当のお友達は一人でいいの」
それは、小さいころからずっと変わっていなくて、今でも、集団で遊ぶのは苦手。だから、たくさんいる同級生のほとんどはクラスメートであって、お友達だけど、本当のお友達ではない。
これは、音の心の中だけで完結している考え方なので、周りの子には理解できないのかもしれない。
だから、仮にヒロ美ちゃんが、ずっと音のことを小さいころからのお友達だと思ってくれていても、音はそうは思ってないから、熱量の違いでミスコミュニケーションが生まれる。
そういうことだと思うのです。
(ん、この二人の関係、ちょっとおかしいな〜)
そう思い始めたのは、まだ5歳のころ。
当時、音はアレルギーで、卵や牛乳、生クリームなどの乳製品を食べることができませんでした。だから、保育園でのおやつの時間に生クリームを使ったお菓子が出るときは、音だけ別に卵の入ってないクッキーだったり飴玉だったり。当然、本人はケーキが食べたい。でも、我慢するしかなかったのです。
クリスマスイブの日も、当然、おやつには生クリームたっぷりのケーキが出ました。前日、保育園の先生から、
「クリスマスはいつもより豪華なケーキを出します。生クリームを食べないように気をつけるので、音ちゃんにも形だけでも出してあげてもいいですか?」
と、いうありがたい申し出をいただいたので、
「もちろんです。明日は特別なので、少しくらいだったら生クリームを食べさせてあげてください」
そう答えました。
そして、当日、夕方、音を迎えに行くと、普段であれば、わたしに近づいてくることもなければ、挨拶をしても無視をするヒロ美ちゃんがニコニコ笑いながら近づいてきました。
「こんにちは。今日のクリスマス、どうだった?楽しかった?」
わたしは、そう聞きました。それに対しヒロ美ちゃんは、
「あのね〜。今日、音ちゃん汚かったんだよ〜。せっかくのケーキをね〜。グチャグチャにしたんだよ〜」
ちょうど、そのタイミングで、わたしを見つけた音が近づいてきました。いるはずのないヒロ美ちゃんの姿を見て、急に不安そうな顔つきになります。
「どういうこと?」
「生クリームだけ食べないでお皿の横につけるの。すごい、汚なかった。全部食べなきゃいけないのに一人だけお皿が汚いんだよ。あんなことしたらいけないのに」
ヒロ美ちゃんは、音の方を見て笑いながら言っている。その表情を見て、
(女の子って、こんな小さな歳でも、こういう表情をするんだ…)
と、ものすごく驚いたのを、今でもはっきりと覚えています。それに対し、わたしは、ヒロ美ちゃんに、
「ヒロ美ちゃん、音ちゃんは生クリーム食べたいけれど食べられないんだよ。生クリームを食べられない体なの。わかるかな? だから、パパも先生も知っているよ。でも、それは汚い食べ方をしているんじゃなくて、音ちゃんもそういうことしたくないけれど、仕方なくやっているんだよ。わかってあげて?」
しかし、彼女は、悪いことをした音のことを伝えただけなのに、なんでこんなことを自分が言われるのか、どうも納得してないようでした。
何も答えず、プイッと後ろを向いて行ってしまいました。
しかし、ヒロ美ちゃんは、どうしてわたしにそういうことを言おうと思ったのでしょう?
この話をすると、わたしが音を叱ると思ったのでしょうか?
それとも、
「音のいけないことを教えてくれてありがとう」
と、お礼を言われると思ったのでしょうか?
「音はいけない子だね。ヒロ美ちゃん、ごめんね」
と、わたしに謝ってほしかったのでしょうか?
事実、この時期の女の子で、同じようなことを言ってくる子が何人かいたのです。
もう一人の子は、
「みんなジャングルジムに登れるのに、音ちゃんだけ登れないんだよ。音ちゃんって運動神経悪いよね〜。ブランコもこげないし」
「あのね。さっき、音ちゃん、先生に怒られてたよ。そのあと、泣いてた。昨日も泣いてたよ。音ちゃんすぐ泣くんだよ。泣いてばっかり。自分が悪いのに」
ことあるごとにこういうことばかり言ってくる。
なぜだろう?こういうことを告げ口したくなるお年頃なのでしょうか?
いいえ。そうではありませんでした。
ヒロ美ちゃんとのやりとりを音本人から事情聴取をすると、大方の理由が判明しました。
それは、
言われたことに全部、謝るから。
だから、狙われて、的にされていたのです。
謝るからいじめたくなる。それは、ママ友世界も同じ。
告げ口の内容は、概ね間違っていません。
ただ、どれも、音は何一つ悪いことはしてない。みんなが当たり前にできることが、できない。そこを、指摘されると、
「ごめんなさい…」
と、謝る。そういうことを、繰り返してきた結果、音がなにか他の子より劣っている部分を見つけると、音に指摘する。また、謝る。だから、子供は、
音ちゃんが謝ったから音ちゃんが悪い。
と、なります。
だから、
「音ちゃんのパパやママに言ってもいいんだ。悪いことをしたんだから、ちゃんと言わなきゃ!」
そういう、正義感から出てきた行動だった。
そのように、考えた時期もありました。
なぜなら、
子供は清い存在だから。
5歳くらいの子供には悪意はなく、常に自分が正しいと信じる行動をするのが子供だから。
そう思っていたからです。
だから、音にこう言うしかない。
「謝らなくてもいいんだよ。悪いことをしたわけじゃない。迷惑もかけてない。できないだけなんだから。できないことは全然悪くない。だから、もう謝るのはやめな」
「でも、なんか悪いみたいに言われちゃうから謝っちゃうんだよ。謝らないとずっと言われるから…」
「でも、謝るから、またすぐに言われるんだよ。音ちゃんが謝るのがおもしろくて」
「そうなの?」
「そうだと思うよ」
「でも、なんでそんなことして面白いの? 意地悪なの?」
「意地悪なのか、ただおもしろくてそういうことを言うのかわからないけど、音ちゃんが謝るから言うんだよ」
「なんかそれ、全然わからない」
このやりとりをそのまま、ママ友のいじめに当てはめてみたらどうでしょう?
大人の世界に当てはめてみたら、いかがでしょう?
そのまま、当てはまるのではないでしょうか?
ママ友のグループにうまく入れない。入ったはいいが、なにかと「ちょっと違うんだよね〜」みたいなことを言われる。それは、自分でもうすうす感じてはいる。でも、仲間外れにはされたくないから、ついつい言われた通りにしてしまう。それなのに、「子育てについて責められる」。気が付いたら、いつのまにか、ママ友たちから仲間外れにされている。
もし、そういう立場に、立たされているのだとしたら、今、思い返してみると、
「そういえば、なぜか、いつも自分ばかり謝らされていたかも…」
そんなことはありませんか?
そして、その先にある不安は、
「自分がそういう扱いを受けているから、もし、ママ友グループから抜けると、子供も同じようにいじめられるかもしれない…。だから、もうグループから抜けてしまいたけれど、抜けられない」
でも、そういった、いじめる、意地悪をするママ友側のつながりって、あなたが思っているほど盤石なのでしょうか?
ママ友は、 なぜそんなに集まりたがる?
ヒロ美ちゃんは、保育園の頃からずっと仲のよい女の子がいました。カズ子ちゃんとナツ子ちゃんの二人です。三人は毎週末のようにカズ子ちゃんの家に集まっていました。もちろん、ママ達も一緒です。
保育園ですから、ママ達も全員働いています。だから、集まるのはいつも日曜日。そこに、音ちゃんや茜さんは決して誘われません。
と、いうか、かつて何度かヒロ美ちゃんとカズ子ちゃんに誘われたのですが、誘われた日時に行ってみると家には誰もいない。要するに、ウソなのです。
ナツ子ちゃんは、音ちゃんに「死ね」と言った子です。
茜さんは、かつてはこの3人とも共通にたまに会ってお茶をする程度にはお付き合いをしていましたが、こういうことがあって、完全に関係を絶っていました。(そのお話は次号で)。
「3人は小学生になってもずっと仲がいいんだね〜。茜さんとはうまくいかなかったのに、ママ達もよくもまあ、毎週毎週集まって飽きないよね」
そう思っていました。
しかし、実際はそんなシンプルな関係ではなく、実に複雑にこの3人3組の関係が絡み合っていたのです。
ヒロ美ちゃんとカズ子ちゃんは毎朝、待ち合わせをして一緒に学校に行く仲です。
カズ子ちゃんとナツ子ちゃんは一緒に塾に行く仲。
ヒロ美ちゃんとナツ子ちゃんは本当は仲が悪く、二人ともカズ子ちゃんにお互いの悪口を言っているそうです。
カズ子ちゃんはカズ子ちゃんで、音にこそっと、「本当はヒロ美ちゃんと学校に行きたくない」と、言い、理由を聞くと、「言うことを聞かないとツネられるから」だそうです。
しかも、ヒロ美ちゃんとカズ子ちゃんは、勉強嫌いのナツ子ちゃんのことをものすごくバカにしている。
親同士も仲が良いものだとばかり思っていましたが、
ヒロ美ちゃんママが来たのは最初の2回くらいで、あとは、「ヒロ美のこと、よろしくね〜」と、預けて、遊びに行ってしまうそうです。実は、子供を人任せにできる口実ができたくらいにしか思ってないのです。
ナツ子ちゃんママは、暇つぶしにカズ子ちゃんちに仕方なく行っているだけで、本当は仲良くもなんともない。
カズ子ちゃんママもナツ子ちゃんママをウザく思っていて、本当は、「子供だけが来ればいいのに。ずっと毎週、来続けるのかしら?」と、不安に思っている。でも、今さら「来てほしくない」なんて言えない。
親子関係にしてもそう。
ヒロ美ちゃんの両親は、仕事がものすごく忙しく、両親はほとんど家にはいません。だから、平日の週4は夜8時過ぎまで習い事の毎日。たまたま彼女の自宅マンション前を通ったとき、エントランスでランドセルを背負ったまま座り込んで眠っている姿を2回くらい見たこともあるし、2年生の時には7時くらいに一人で繁華街の交差点にぼ〜っと立っている姿を見たこともありました。
「どうしたの?」
と、声をかけると、
「ママと待ち合わせなんだけど来ないの」
と、言う。危ないので、一緒に待っていると、20分も遅れてやってきて、
「あら、こんばんは。どうしたんですか?」
一緒にいた私の姿を見て、「娘のそばで何をしているの?」と、言わんばかりのまるで他人事のような態度に呆れたことを思い出します。そんなヒロ美ちゃんが楽しそうに笑っている顔をとんと見たことはありません。
月一授業参観の日に、わたしは音に一度、こんなことを言われたことがあります。
「パパ、今日は来なくていいから」
「どうして?」
「ヒロ美ちゃんと同じ班なんだけど、パパが来て音ちゃんと仲良くするとさ〜、あとで意地悪されるからさ〜」
「ああ〜。わかった。じゃあ、行かないね」
「ごめんね」
ヒロ美ちゃんのパパは学校行事にほとんど参加したことがないのです。だから、ヒロ美ちゃんが音に意地悪をするのは、決まってわたしと楽しそうに話している姿を見た後だということに音は気づきました。
ちなみに、カズちゃんのパパが学校行事に参加している姿を見たこともありません。
ナツ子ちゃんママはとても愛想の良い方なんですが、子供にはとてもキレやすく、二人が一緒に歩いている時に、突然、ママがナツ子ちゃんの頭を叩いたり、蹴ったりする姿をわたしは何度も見たことがありました。
その頃のナツ子ちゃんは本当に荒れていました。でも、最近は、音によると、
「ものすごくおとなしくて、まったく意地悪しなくなったよ。別人みたい」
もう、叩かれることもなくなったのかもしれませんね。
どうですか?
ママ友グループに入れなくて悩んでいるお母さん。
それでも、ママ友のグループに入りたいですか?
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。