食の細い子供に悩むお母さんはたくさんいると思いますが、うちの子供は小さい頃から食べることが大好きでした。食事ができるようになると、ピザを平気で1枚平らげ、まるでフードファイターのようにどんどん食べました。そのくせちっとも太らない。全部、便となって出てしまうのです。1日に5〜6回は排便があったように記憶しています。
ただ食べることが好きで大食漢であったらよかったのですが、食い意地がはっていて、とても卑しかったのも悩みのタネでした。
ところがあるとき、大食いが治る出来事が起こりました。
今日の記事は、子供の大食いに悩むお母さんに向けてお届けするものです。
子供の大食いというクセ
小さい頃の音の最大の問題点は、
- 異常なまでの食欲
- マンガの本を読み出したら止まらない
この二つでした。
この二つをどうすればよいのか?
特に、異常な食欲に関しては、本当に悩みました。わたしも奥さんも食が細いので、たくさん食べる人間の食事の量を減らす方法がわからなかったのです。
だからと言って、食べさせないようにすると、その時は、我慢しても、大きくなったときの反動が怖い。
大人になって、大食いがやめられないという人の子供のころのエピソードを聞くと、
「子供の頃にケーキを食べさせてもらえなかったから、一人暮らしをするようになってからドカ食いするようになった」
とか、
「子供の頃から一晩中、お菓子を食べながらゲームをするのが夢だった。やりだすと止まらなくなった」
なんて、話をよく聞きます。
だから、本人が食べたいものを、食べさせないというのもどうかな?と…。
音をとめる。そのことを躊躇させた理由がもう一つありました。
それは、
いくら食べても、太らない。
健康診断では、常に、「痩せすぎ」
保育園の担当医にいくら食べている量を言っても信じてもらえない。
では、なぜ太らないのか?
食べたらすぐに全部出てしまうから。
全部、出てしまうんです。しかも、立派な健康的な便として。
こうなったら、ほとんどギャル曽根です。
だから、幸せそうな顔をして食べる音ちゃんに、
「もうこれで終わり」
とは、言えなかったのです。
でも、やめられるきっかけはちゃんと訪れるものです。
このたった一度の出来事で、音のバカ食いは、簡単に治ったのです。
大食いの子の食べ物は飲み物
音は、食い意地の張った子どもです。
それは、生まれたときからズーッとです。
「あなたの前世飢えて死んだ人なのね〜」
奥さんがしみじみとそうつぶやくくらい、音ちゃんは食べ物に目がない。
ママの乳首からはおっぱいを全然飲まないのに、哺乳瓶に移すと猛烈に飲み始める。最初は、なぜ、そうなのかわかりませんでした。
成長に従ってわかってきたことは、
食い意地が異常に張っている。と、いうことでした。
だから、楽をしてすぐにお腹いっぱいになりたい。
離乳食になると、普通の幼児は、食べ物で遊んで、手足顔じゅうをベトベトにしてスプーンをスコップに、まるで雪かきのようにポイッポイッとそこらへんに食べ物を放り投げるから、毎食の格闘でヘトヘトになります。
でも、音は、ネコ真っしぐらよろしく、わき目も振らず、スプーンを口の中に掻き込みます。しかも、どうもまったく噛んでない。離乳食は、半分液体だから、ゴクゴク飲み込むわけです。
カレーは食べ物か飲み物か?
と、いう議論が人気ですが、音の場合は、
離乳食は食べ物か飲み物か?
「飲み物でちゅ❤』
「モグモグモグ。ほら、こうやってゆっくり噛むんだよ。モグモグモグ」
ゴックンッと飲み込んでからモグモグモグ…。
「ちがうちがう!お口に入れたらモグモグモグ。そしてゴックンッ」
ゴックンッと飲み込んでからモグモグモグ…、そして、ゴックンッのふり。
「……。いや、だから〜」
結局、保育園でも、いくら保育士さんが指導しても治らず、お友達が残したおかずまで平らげる。たまにおやつが出てくると、叱られるとわかっていても、真っ先に手を伸ばし口に入るだけ入れてしまう。リスのように。いや、サルのように。
離乳食も終わり、いろいろな料理に挑戦する歳になると、彼女はまさに大食漢の呼び名にふさわしい、大食い幼児となっていたのです。
3歳当時の音ちゃんの大食漢エピソード
たとえば、デリバリーのピザを一人で一枚平らげます。ただし、それは、サルバトーレの『D.O.Cドック』というチェリートマトと水牛のモッツァレラを使ったマルゲリータピザのみ。これ、おいしいけど、めっちゃ高い!他のメニューや他店のデリバリーだと一切食べない。匂いを嗅いだだけで食べない。
初めてこのピザを食べた時、奥さんの実家から親や妹夫婦が来たので、奮発して注文してしまったんです。それが、運のつきでした。以来、音は、ピザというと、これしか食べない。しかも、一人で1枚3歳児!
「みんなで分けるから一人で食べるのはダメ!」
と、言っても絶対に譲らない。
「そこまで言うなら全部食べてみな」
そういうと、ペロリと全部食べてしまう。
ラーメン屋さんでの普通の1杯も一人で平らげます。で、シンプルな醤油ラーメンしか食べない。
もちろんチャーハンも。シンプルな普通のチャーハンのみ。エビやカニも大好きなのに、エビチャーハンやカニチャーハンだとまったく食べない。
ハンバーグは必ず、フレッシュネスバーガーのチーズハンバーグとポテトのセットで決まり。で、足りないから、食後のドーナツ。マックに行って同じものを頼んでも、一口だけ食べてあとはまったく食べない。
「パンもハンバーグもポテトもくさい。お肉の味がしないし、ポテトの味がしない」
そう言って、絶対に食べようとしない。
自宅での食事でも、大好きなエビと野菜の入った炒め物がでてくると、エビだけを全部自分のお皿に盛って、自分の分を確保してから野菜を食べます。
「音ちゃん、ママと半分ずつね」
「は〜い」
そう口で言うだけで、絶対にあげない。
「それ、全部食べられるの?」
「うん」
で、全部食べてしまう。
それで、まったく太らないし、血液検査でも肉体的になんの問題もないから、止める理由もない。
ただ、やっぱり、
卑しい。
食べ方が汚いというわけではないけれど、見ていて、
品がない。
それは、女の子としてどうなんだろう?
「もうそろそろ、食べ過ぎや卑しい食べかたは良くないということをきちんと教えないとね」
ラーメン屋に1時間半いる子供
そう思い始めていた音4歳のとき、近所のラーメン屋さんに3人で入りました。
音はワンパターンの醤油ラーメンを頼みます。
奥さんはみそラーメン。音は、みそにはまったく興味がない。
わたしはチャーハン。すると、例のごとく、
「パパ、音ちゃんにもチャーハンちょうだい」
「あげるあげる」
最初に来たのはチャーハン。音は当たり前のように自分のところに引き寄せ、スプーンを持って食べ始めます。
「音ちゃん、ラーメンとチャーハン、パパと半分半分にしよう」
「いいよ」
そう言ってチャーハンをパクパク食べてます。続いてやってきたのが、ラーメン。
当たり前のようにラーメンを自分のもとに引き寄せ、食べ始めます。
左手に箸を持ってラーメンをすすり、右手でガッチリ、チャーハンのお皿を掴んでいます。
「音ちゃん、どっちかパパにちょうだい」
「どっちも美味しいから、音ちゃんが全部食べる〜」
「それは、無理だからチャーハンちょうだい」
「全部食べる!」
「……無理だから…」
「大丈夫!食べるもん!」
「……よし、わかった。じゃあ食べなさい。音ちゃん、それ、”約束”だから、食べれられなかったら”嘘”ついたことになるよ。いいね」
わたしは覚悟を決めました。
と、いうか、キレちゃったんです。
プチンッと音がして、感情の線が遮断されたのが自分でもわかったくらいです。止められませんでした。
泣こうが吐こうが、全部食べさせることに決めました。
奥さんもわたしの空気に気づいたようです。なにも言いません。
当然、さすがの音でも全部は食べきれません。でも、ピンと張り詰めた空気に、「食べれない」と、言えない音は、泣きながらスプーンと箸を動かします。
前前回、書きました。そう、わたしは、子供に対し威圧的な態度に出て、いくら本人が”約束”したとはいえ、できもしないことを強要したのです。
「ゆっくりでいいから。休み休みでいいからね」
奥さんがそう言って、音はウンウンとうなづいて…。
ラーメン屋さんにしてみれば、さぞかし、理解不能な光景だったことでしょう。
それから、泣きながら食べ終わるまで1時間半かかりました。
もちろん、スープは残しましたけど、音は立ち上がるのも辛そうでした。そりゃそうです。これもう、ほとんど虐待ですから。
「お腹一杯になってどうだった?うれしい?」
「全然うれしくない。きつい」
「人の分まで自分一人で食べて楽しかった?」
「全然楽しくない。もうこんなのいやだ」
「でも、音ちゃんが全部食べるって言ったんだよ。自分で言った言葉の責任を取ったんだよ。それはすごいと思うよ。根性あるよ(力づくでそうさせたんですけどね。いちおうフォロー)」
「もう二度とあんなこと言わない。あんなこと言わなきゃよかった」
「そうだね。全部食べられるのか食べられないか、ちょっと考えればわかるのにね。考えてから言えばよかったね」
「もういやだ。二度と全部食べるなんて言わない」
このときの経験がよほど堪えたのでしょう。音は、いまだに思い出したように言います。
「あのときのパパ、本当に怖かったんだよね。全部食べないと殺されると思ったもん。殺されるくらいだったらきつくても全部食べたほうがいいやって思って死ぬ気で食べたもん」
いま音の食べる量は、普通よりちょっと多いくらいです。
現在、身長158センチ、体重44キロ。
わたしがキレて音にやらせたこの方法は、絶対にやってはいけない。親として、最低だったと反省しています。こんなこと書かないほうがいいかな?とも、思いましたが、自分自身の戒めのためにも皆さんに知ってもらおうと思いました。
皆さんは、どう感じられたでしょうか?
『仏の顔も三度まで』
どんなに温厚な人でも三度目には怒り出すという意味です。
音が、同じ約束を二度破っても、同じ嘘を二度ついても、怒りません。
ただし、
「三度目はないよ。わかった?」
そう忠告をしても、同じことで約束を破ったら、三度目には、わたしは実行に移します。
それは大きな雷を落とすことではありません。
破った約束を果たさせるのです。
姑息な手段を覚えるのが子供
音は、本を読むのが大好き。特に、漫画。
奥さんは、活字フェチでしたので、
「漫画から得られるものは大きい」
と、いうことで、特に制限はしていませんでした。
しかし、6歳のころから急激に視力が落ちてきたのです。
原因はやはり、本の読みすぎ。特に、漫画。
眼科医の先生からも、
「まだ近視にはなっていません。いまはまだ、仮性近視という段階なので、ゲームや漫画は最大でも1日30分と時間を決めて、それ以上は読まないように。少しでも進行を遅らせましょう」
と、いうことになりました。
しかし、我が家は共働き夫婦です。常に音を監視し続けることはできません。放課後の学童保育にも大量の漫画本があります。さすがにそこまでは無理。自主性に任せるしかない。
自宅でも、一人で家にいる時間があります。
だから、
音ちゃんに”読書時間ノート”なるものを渡して、読み始めの時間を自分で記録して、そこから30分後の時間を書いて、目の前に目覚まし時計を置いて本を読む。
そういうルールにしたのです。
たとえば、夕方4時から読み始めるとなると、ノートには、
『4時 → 4時30分」
そして、目の前に置いた目覚まし時計を4時30分にあわせる。音が鳴ったらおしまい。
それだけです。
「マンガの本を読むときは必ず、この記録をつけるように。わかった?」
「はい。わかりました」
わたしも奥さんも、基本的には、
自己管理のできる人になってほしい。
と、思っていますので、一度ルールを決めると、そのあとは静観します。
しかし、やはり子供なので、嫌いなルールを守り続けることはできません。
気がつくと、ノートを書かなくなっているなんてことが一度、二度とありました。
ただ、ルールを守ってほしい。と、いうのとは、今回は、ちと違います。
視力の低下を防ぐために、本の読みすぎをしないためのルールです。
だから、わたしも厳しくいきました。
「音ちゃん、3度目はないからね。今度、忘れたら、本読むの禁止だよ!」
「はい。わかりりました」
それからしばらく経って、音は毎日、きちんとノートをつけていました。でも、あるとき、ふと違和感を感じたのです。
「30分なのに、ずいぶん本を読んでいる時間が長くないか?」
そう思ったわたしは、音に聞きました。
「音ちゃん、ノートつけてるよね?」
「ちゃんとつけてるよ」
「ちゃんと30分で止めてる?」
「うん。止めてるよ」
「だよねー。じゃあ、パパの勘違いか…」
翌日、帰宅して本を読み始める音。ちらりと確認するとちゃんとノートに書いて目覚ましをセットしている。わたしも時計を見る。
それから、目覚ましがなったのが40分後。
その晩、ノートを覗くと最初から10分後の時間を書いている。
なるほど……。そういうことか。やつもずる賢くなったな〜………、いやいや、感心してる場合ではない。やつは、こんな姑息な手段を身につけてやがったのです。
それでも、わたしは静観していました。しかし、その後も10分遅れは続き、そのうちまた、ノートすら書かなくなりました。そして、ノートを書かなくなって3日後、漫画を読んでいる音に抜き打ち開始。
「音ちゃん、ノート書いてる?」
「うん。書いてるよ」
「そうか。じゃあ持ってきて」
「えっ?」
「チェックするから持ってきて」
「うん…わかった…」
わたしは彼女の部屋の外で待ちます。あえて視界に入らない場所で。ドアは開いたまま。ゴソゴソと部屋でなにやら良からぬ音がします。おもしろいもので、良からぬことをしているときって、ちゃんと良からぬ音がするんですよね。
コソッと覗きます。音は、ノートを手に右往左往。さて、どうするかな?
どうしたと思います?
彼女は、ノートを本棚と壁のすき間に手を伸ばして奥深くに隠そうとしていたのです。
なるほど〜。悪くない……、いやいや、悪いやないか〜い!!
わたしはリビングに戻り、大きな声で、
「ノートまだあ〜」
音は、走ってきて、
「おかしいな〜。ちゃんとつけているんだけど、ノートが見つからないの〜」
ふ〜ん、なるほどね〜。子供なりに考えるんだね〜。
「ないの?そうかあ、じゃあ、本棚の後ろの壁見てごらん。あるから」
「えっ?」
「持っておいで」
「……はい」
すぐに持ってきました。ものすごく怯えた顔をして。
「いつから書いてないの?」
「3日くらい前から」
「時間をずらして書き始めたのはいつ?」
「……ずっと前から」
「そうか。じゃあ、漫画の本全部持ってきて」
彼女が持ってきたのは、小学舘の小学1年生4、5冊。これだけは毎月買ってあげていました。それ以外の漫画は図書館で借りてくるのです。
わたしは、それをゴミ袋に入れ、
「じゃあ、捨ててくるね」
「はい」
「これから3ヶ月間、すべての読書禁止ね。もちろん漫画以外の本もだよ。学童保育には電話をしておくから、コソッと読んでもバレるよ」
「…はい」
「音ちゃん、いい?約束を破ったら、相手を傷つけた分、必ず自分に返ってくる。嘘も必ずバレる。嘘をついて人を傷つけた分が自分に返ってくる。約束を破ったり嘘をついたやつが、そのまま得をするようなことは決してない。音ちゃんは、自分の目を傷つけたし、裏切ったんだよ。自分の目が見えなくなるだけなんだよ。それでもいい?」
「いやだ」
「約束を破って、嘘をついて、人を傷つけて、結局最後に傷つくのは自分だよ。いやじゃない?そんなの」
「いやだ」
「だよね。だったら、もうこんなことやめよう」
と、いくら言っても、小学校にあがると、子供はそう簡単には言うことを聞きません。
どんなに素直にまっすぐに成長してくれても、親の思い通りにいかないのが、子供です。
声を荒げて、力づくで言うことをきかせれば事は簡単ですが、その反動は必ず、返ってきます。
しつこいですが、
かならず自分に返ってくるのです。
子育ての続きは、子育てにスポーツがいい理由|心の冷えとりコーチの子育て論8をご覧くださいませ。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
風宏の心の冷えとりコーチングはこちらもご覧くださいませ。
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。