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正社員の派遣へのパワハラはなぜ起こる?本音と思惑のコミュニケーション

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今日の記事はご本人の了解を得て、派遣でパワハラを受けていたクライアントの事例をお伝えしていきたいと思います。

派遣で入った仕事先にその有能さが認められて、晴れて社員に採用されるようになった私のクライアントは、それを面白くないと思ったお局さまから信じられない嫌がらせを受けることとなりました。

正社員から派遣へのパワハラに対策はあるのでしょうか?

今日の記事はパワハラ事例をみながら、その対策について考えるものです。

前回までのお話はこちらをどうぞ。

派遣に対するお局のいじめ事例|言葉が全く通じない相手とのコミュニケーション術派遣で入った仕事先にその有能さが認められて、晴れて社員に採用されるようになった私のクライアントは、それを面白くないと思ったお局さまから信じられない嫌がらせを受けることとなりました。 その嫌がらせとは、正規採用阻止するための嘘の給与金額提示、履歴書開封など信じられないものばかり...。そんなことをしても会社はそのお局になんのおとがめもなし。 こんなことが許されるのでしょうか?...

正社員から派遣へのパワハラはこんなふうに起きている

突然の次長の剣幕でした。それに対して佐江照さんは、

「すみません。部長さんから伺っていると思ってました」

「・・・だとしても、僕にお礼を言うべきじゃないのか!」

「・・・・先日、次長は『社員採用できないかもしれないからあまり期待しないでね』と仰っいました。『バイトでもやれば』と言われたのでわたしの採用には反対されているとばかり思っていたので・・・・すみません」

「でも、採用が決まったらわたしに報告をするのが筋でしょう!?」

「だって、次長は『バイトでもすれば』って仰ったんですよ。わたしもすっかり諦めていたし、次長は私の採用を快く思ってないと感じていたので・・・」

「快く思わないはずないでしょう!?」

「でも、『バイトでもやれば』って言われれば、『採用してもらえないんだな』って思います。じゃあ、次長はどういうおつもりであんなことを仰ったんですか?あんなことを言われて、わたしが喜ぶとでも思ったんですか?」

「・・・・・・まあ・・・『バイトをすれば』と言ったのは僕の言葉のあやで・・・。でも、良かったじゃん。採用されて」

「・・・はい。ありがとうございます」

「とにかく、採用が決まったら、君には僕の下で色々とやってもらおうと思っていたんだ。よろしく頼むよ」

「・・・・はい」

「まあ、僕の秘書的な仕事とでも言うのかな。僕は一人でたくさん仕事を抱えてるから大変なんだよ。だから、僕の仕事を中心にやってもらうから」

「秘書?そうなんですか?」

「そうだよ。あれ?聞いてない?」

「部長さんからですか?」

「人事から」

「聞いてません」

「あれ〜?言っておいたんだけどな〜。まあ、いいや。部長は人事には関係ないから」

「それは決定なんですか?」

「うん。そうだよ」

「そうですか・・・・。わかりました」

佐江照さんは、いくら社員に採用されたとはいえ、あまり信用できない次長の秘書的な立場になるということに少なからずショックを受けました。

とはいえ、会社が決める人事です。従わないわけにはいきません。

しかし、その二日後、根田見さんがまた血相を変えて佐江照さんのところにやってきて、こうまくし立てたのです。

「あなた、なに勝手に次長の秘書になっちゃってんの?そんなこと誰が決めたの?」

「一昨日、次長さんに言われましたけど」

「それは内示なの?内示って言ってた?」

「内示とは言ってなかったです」

「次長はあなたに頼まれたって言ってるわよ」

「え?わたし、頼んでません」

「次長はすっかりその気だし、部長さんはとても驚いてたわよ。『それは困ったな〜。どうしてそんなことになったんだ?』って。あなた誰のおかげで社員になれると思ってるの?部長さんのおかげでしょう?」

「ちょっと待ってください。わたし、本当に次長に秘書にしてくださいなんてお願いしてません。根田見さんも今までの経緯を見ていたらわかりますよね。わたしが次長にお願いするはずないじゃないですか!できれば部長さんの下で企画の仕事をさせていただきたいって思ってます。だから次長に突然言われて困ってたんです」

「なるほど〜。大したものね。そうやって、あることないこと派遣会社に告げ口するわ、次長と部長さんの下でどちらにもいい顔をするわ、本当に恐ろしいわ」

「・・・・・・」

「でも、いいわ。それも女が会社員として生きるために必要なことかもしれないわよね。わたしはそういうの嫌いだけど」

「ちょっと酷くないですか?本気で仰ってるんですか?」

「あのね。わたしにとってはそれが嘘でも本当でも、どっちでもいいことなの。あなたが部長さんの下で働こうが、次長の下で働こうが」

「じゃあ、なぜそんな意地悪を言うんですか?」

「意地悪?そうか・・・・あなたにとってはこれは意地悪なのか。だから、あまちゃんなんだよね」

「なんですかそれ?」

「この際、はっきり言わせてもらうけど、いつまでも甘えてんじゃないってこと」

「わたし、甘えてるつもりはありません」

正社員であるお局から聞かされた社員の覚悟

「いい?あなたは派遣から会社員になるのよ。上司から見れば、あなたは今までは言いづらかった派遣から、なんでも言えちゃう部下になるの。社員になるということは別に偉くなるわけじゃないの。派遣よりもっともっとつらいことが増えるわけ。その覚悟があなたにはないの。そこにムカつくわけ。派遣のあなたにとって、わたしはただの職場が同じおばさんだったかもしれないけど、社員になればわたしはあなたの先輩。もう派遣会社はあなたを守ってはくれないの。わかる?立場をわきまえろってこと」

「・・・・・・」

「社員になるってことはそういうことでもあるの。あなた、ずっと社員って何か、わかってないまま生きてきたんじゃない?」

「・・・・・・」

「あなたがそういう甘えた考えで、いつまでも覚悟がない態度を取り続けるから次長に付け入れられるの。派遣は言われた仕事をやればいいのかもしれないけれど、社員はそういうわけにはいかないの。言いたくはないけど、派遣が長いとそうなっちゃうの。次長から言われれば『はいはい』。部長さんに言われれば『はいはい』。それが混乱を招くことになっても『自分には責任ないから』?。社員になってもそれじゃあダメなの。わかる?」

「・・・・・・」

「まあいいわ。じゃあわたしから次長には言っておくわよ。佐江照さんは部長さんの下で働くことになりますって」

「え?」

「わたし、次長、嫌いなのよ。たいした能力もないくせに偉そうに。あの部長さんの下にいるからいい思いしてるだけなのに。それにあなた、部長さんのお気に入りだしね。仕方ないわよね、今度から同僚になるんだし。でも、勘違いしないで。わたし、あなたのこと許してないし、これからも絶対に許さないから。で、わたしはあなたの先輩だから!」

佐江照さんは、根田見さんの本音が全くわかりませんでした。

(もしかしたら悪い人じゃないのかもしれない)

そう感じる瞬間もありました。でも、

(わたしのことは許さないし、これからも許してくれないんだよな)

はっきりと「絶対に許さない」。そう言われたのです。

(でも、部長さんの下で働けるようにしてくれるらしい。それは嬉しい。本当はいい人なのかな?)

正社員の本音と派遣の思惑の違いからパワハラが起きている

根田見さんの本音はなんなのでしょう?

佐江照さんに、果たしてわかるのでしょうか?

根田見さんは佐江照さんを許すのでしょうか?許さないのでしょうか?

根田見さんは本当はいい人なのでしょうか?それとも・・・。

全て、答えを出すには難問過ぎます。

答えはおそらく出ないでしょう。

それ以前に、どうでしょう。

それらの疑問に答えを出す必要が本当にあるのでしょうか?

相手が自分のことをどう思っているのか?

と、いう質問の答えを自分の価値観の中だけで見つけようとしても、答えは見つからない気がします。

相手の価値観を理解しないとその答えは見えてこない。

それ以前に、

新しく一員になろうとしているその組織のことが分からなければ、何も答えは見つからないのだと思うのです。

例えば、

佐江照さんは、根田見さんのプライベートのことを何も知りません。

会社の中で事務職のトップに長年君臨する彼女のことしか知りません。

もっと正確に言えば、

派遣から見た根田見さんの事しか知らないのです。

佐江照さんが社員になれば、根田見さんの態度も全く変わるかもしれない。今までの根田見さんの態度を見ていると、その可能性もあり得るのだということがわかります。

でも、佐江照さんにはそのことがまだわかりません。

当然のことですが、

一点の方向からしか見なければ、同じ景色しか見えません。

でも、

角度を変えれば、景色は変わります。

人もそれと同じです。

立場や環境が変われば、昨日と今日で、全くの別人になることもあり得るのです。

派遣と社員という立場はそれくらいの差を生むのです。

実は、佐江照さんは前の職場でも派遣から社員になりました。

派遣の時は社員との関係はとても良好で、皆から好かれ、皆から求められて社員になったのに、社員になった途端、同僚や上司との関係がうまくいかなくなり、

「パワハラを受け、精神的なダメージを受けた」

と、いう理由で彼女は退職したのです。

今回も前回のパターンと非常によく似ています。

ただ、今回は、派遣の状態で既にパワハラを受け、それでも辞めずに今回は社員になる決意をしたのです。

だから、前の経験は、もしかしたら全く役に立たないかもしれません。

パワハラは十人十色で正社員でも派遣でも起こりうる

同じパワハラでも、十人十色です。職場環境が変われば全く違うパワハラが存在するし、相手が変われば全く違うパワハラを受けます。

前の経験がパワハラを跳ね返すパワーになる人もいれば、トラウマとなって2度と会社員として働くことができなくなる人もいます。

組織として、パワハラ対策をしている企業は増えてきました。

社内に「パワハラ相談室」なるスペースを設けているところもあります。

ちなみに、佐江照さんの会社にも名前こそ違いますが、同じような機能を有する部署があり、外部からカウンセラーを呼んで、社員の相談に応えられるようにしています。

パワハラに対する懲罰も厳しくなっています。

だから、そういった会社では、表立ったパワハラ件数は年々減ってきています。

でも、果たして本当に減っているのでしょうか?

実際にパワハラが起きている現場は、

個 対 個

です。

今、そこにあるパワハラ問題は、常に新しいパワハラ問題であって、過去の事例に照らし合わせて解決できる問題など、ほとんどないのです。

わたしも何度かパワハラ相談を受け、一緒に解決の道を探る作業をしてきましたが、新しい問題を相談されるたびに、

「全く新しいパターンですね」

と、感じることばかりです。

「わたしと同じようなパターンの方はいましたか?」

そう聞かれれば、

「パワハラは似て非なるものがほとんどです。同じようなパターンの方はいましたが、前の解決法があなたに合っているとは限りません。状況が似ていても、原因は違うかもしれない。だから、一つ一つじっくり探っていきましょう」

そう言うのです。

そして、

パワハラ問題に限らず、コミュニケーションコーチングで必ずお伝えすること。

それが、

人と会って話をする時は、どんな時でも、常に、

初対面の時の緊張感を持って、

初対面の時の礼儀をわきまえて、

初対面の時のトキメキを抱いて。

家族や親友など、本当に心底、心を許し合えている相手にわざわざ初対面の時の気持ちでいる必要はありません。

でも、ビジネスの世界では、同僚だろうが、部下だろうが、長年良好関係にある取引相手であろうが、

”初対面の時のような”

この意識や気持ちがとても大切である。

わたしはそう思っていますし、ほんの少しだけでいいから、

「そのことを意識されてみてはどうでしょうか?」

と、提案をさせていただいているのです。

『礼に始まり、礼に終わる』

と、いう言葉があるように、ビジネス世界だけでなく、人間関係の基本です。

取引相手にだけ心がけていれば良いものではありません。

社内でも同じなのです。

社員は家族ではないし、親友ではありません。

しっかり礼をわきまえないと、誤解を生む場合があります。

社員は家族ではないし、親友ではないけれど、家族や親友のように礼を尽くすことを忘れてはいけません。

正社員であっても派遣であってもパワハラをしない、させない、されない。

パワハラをしない。させない。されない。ためには、

”初対面の時のような”意識を持ち、

どんな相手であれ、

「礼に始まり礼に終わる」

その意識をもつ。

それだけです。

尊敬できない相手であっても、卑劣なことをしてくる相手であっても、そんなあなたの態度は、一貫性をもち、それが毅然とした態度に現れてきます。

必ず!

(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)

続きはこちらです。

いつもパワハラされる人の原因とコミュニケーション職業差別は絶対にあってはならないものです。 しかし、この社会には、職業差別は歴然とあり、その差別をなくすことなど決してできません。なぜなら、世の中は、決して平等ではなく、全ての人が力の強弱を利用して生きているからです。 パワハラで悩む派遣から社員になった人がますますパワハラの標的にされるのはなぜかについて考えてみたいと思います。...

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風宏(Kaze Hiroshi)
この記事を書いている人

風 宏(Kaze Hiroshi)

 風宏

心の冷えとりコーチ

冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。