仕事上、若い女性とたくさん出会います。
とても美人でさぞかしモテると思われる女性に限って、結婚感が変わっている気がします。
おじさんになった私は、「恋せよ乙女」と思うのですが、一つのことにこだわりすぎるとなんでも停滞してしまうと思うんです。
時には、何も考えずに進め!
だって人を好きなることはコントロールできないことだからって思いませんか?
今日の記事は、外見はとても素敵な女性なのに結婚できない理由について、例をあげながら考えてみたいと思います。
たった一つのことが我慢できない
35歳の理子(仮名)さんは、8年近く彼氏がいませんでした。10年前、5年近く付き合っていた彼と結婚間近で別れてしまってから、
「結局、性格やタイプに一つでも不満があると、そこにストレスが溜まってうまくいかなくなる」
と、感じた理子さんは、以来、ずっと、
「理想の男性が現れるまで待ち続ける」
と、宣言して彼氏いない歴8年が経過していました。
友人が、
「前の彼と別れた原因は何だったの?」
そう聞くと、
「彼は母子家庭だったの」
「たったそれだけ?なぜそれがいけないの?」
「だって、母子家庭に育った男の人ってマザコンでしょう?」
「そうなの?」
「そうだよ」
「彼がそうだったの?」
「付き合っているとき、彼がお母さんと二人きりのところを見たわけじゃないからわからなかったけど、絶対そうだと思う。だから、気持ち悪くて」
「……でも、彼はそういう風に見えなかったんでしょう?」
「絶対、そうだから。それにね、母子家庭の母親と嫁姑関係になることを考えたらね。そう考えるとね、わたしには無理だった」
「それ、ただの偏見だよ!」
「でも、絶対にそうだから。仕方ないじゃない。わたしはそれが嫌だったんだから」
「それくらい我慢できなかったの?」
「どうして?どうして我慢しなくちゃいけないの?結婚相手だよ。一生を共にするんだよ。それなのに、最初から我慢しなくちゃいけないなんて、わたしには無理」
そうです。彼女は”たった一つの条件でも揃っていないと我慢できない女”だったのです。
あれから、8年経って、ようやく「付き合ってもいいかな」。そう思える男性が現れました。見た目も仕事も収入も、相手の家庭の条件も。結婚するには申し分なし。彼は、理子さんの条件をすべて満たしてくれているし、なんでも理子さんのやりたいようにしてくれる優しい友人でした。夫になることを想像しても、理想の男性でした。
そして、今年。そんな彼に交際を申し込まれたのです。
しかし、彼女は散々悩んだあげく、その申し出を断ります。その理由は、
「ごめんなさい。やっぱり歳下の男性とは付き合えない」
だったのです。
「えっ?それだけ?」
友人は、素っ頓狂な声をあげました。わたしだってあげます。
「歳下の人は弟にしか見えないもの」
「でも、それ以外の条件はすべて整っているんでしょう?」
「うん。全部大好き。だから、ずっと歳下ってことは忘れよう忘れようと頑張ってきたんだけど、やっぱり無理だったみたい」
「でも、好きなんだから、付き合ってみればどう?」
「だって、次に付き合う人とは結婚するって決めてるから」
「……」
聞いていると理子さんが無茶苦茶な話ばかりしているように聞こえますが、実は、こういう、たった一つの条件にこだわるばかりに、”付き合えない女”がいま、急増しているのです。ちなみに理子さんは両親と同居しています。家族の仲はとても良く、経済的にも恵まれています。
高級官僚が絶対条件の女
わたしの知人にもいました。
友人ではありませんでしたが、数年前まで知り合いの女性の職場にアルバイトとして働いていた女性です。
年齢は、当時、27歳。
社内では、ちょっとした有名人。として、知られていました。その知人曰く、
「びっくりするくらい、ものすごい美人なのよ。でも、彼氏いない歴27年。絶対、嘘だろ!て、ツッコミたくなるほどの美人だよ」
「そんな美人になぜ、彼氏ができないの?ちょっと変なの?」
「そう。ちょっと変。てか、ものすごく変。今まで、わたしが知っているだけで10人以上の男性が、告白してフられたんじゃないかな〜。どんなイケメンでも、どんなに性格がよくても絶対無理。付き合うどころか、1回のデートすらできない女」
その理由は、
「子供の頃から、結婚相手と決めた男性としか付き合わない。生涯でたった一人の男性のために尽くしたいんだって。で、その男性のタイプが、”高級官僚”らしいよ」
「高級官僚って、タイプじゃないじゃん。職業じゃん」
「彼女はお父さんが公務員で、ものすごく尊敬しているんだって。で、お父さんのような公務員の男性と結婚するって子供の頃に決心して、以来、公務員男性以外にはまったく興味なし」
「じゃあ、まだ親と同居?」
「ものすごく優しい両親と同居」
「やっぱり。でも、別に高級官僚じゃなくてもよくない?学校の先生とか、市役所の職員とか。それでも、今の時代、かなり恵まれてるよ」
「今までずっと探し続けてきたけど、好きな男は現れず、『せっかくこの歳まで貫いてきたんだから、今までの空白を取り戻すためには高級官僚じゃないと納得できない』が、彼女のたてまえ。まあ、『自分の美貌だったら最低でも高級官僚クラス』っていうのが、仲のいい友達に話す本音らしいけど」
「本当にそんな女性いるんだね」
「まあ、実際会ってみて、風くんだとどういう印象を持つんだろう?と、思ってね」
そして、わたしがその会社のオフィスに足を踏み入れたとき、わたしが探すより先に、こちらを見ていたのが例の彼女だとすぐにわかりました。彼女は、値踏みするような視線をわたしに向け、近づいてきます。
「お約束でしょうか?」
「はい。◯◯さんと」
「では、こちらへどうぞ」
わたしの先を歩き、応接室に案内してくれます。
「こちらでお待ちください」
そう言って、わたしを部屋へ招き入れ、すれ違いざまにもう一度、瞬時に全身をガン見されて部屋を出て行ったのです。
わたしは50過ぎの親父で貧乏ライターなのに、一応、男として見てもらえてるのかしら?
知人がすぐに入ってきて、
「どう?すごい美人だったでしょ?」
そう言うのです。
「あっ、そうか。そういう話だったね」
「あんまり?思わなかった?」
「人を値踏みするような視線に、『うわっ!この人露骨だな〜っ』て。だから、顔見れなかったよ」
「彼女、無意識なんだよねー。飢えてはいると思うんだ〜」
「でも、そういうんじゃないんだよね〜。フェロモン全然感じなかったし。確かにキレイはキレイだけど、なんていうのかな…、よく思い出せないな〜。キレイ過ぎると忘れちゃうのかな〜?」
それから、オフィスに移動して、打ち合わせをする間、一応、彼女を意識して探すけれど、どうもよくわからない。すぐに視界から外れてしまうというか、景色に紛れてしまうというか。よ〜く観察すると、確かに顔立ちはキレイなんだけど……、それ以上の感想がまったく浮かんでこない。結局、最終的な印象は、
「キレイなんだけど、まったく印象に残らない。その辺に飾ってあるきれいな花を観たような感じかな。生きているんだけど、生命力を感じないし、顔やファッションや雰囲気からどういう人なのかも、まったくわからない。言葉を交わしてもときめく感じがしない。顔はものすごくきれいなんだけど、なんであんな子が10人以上の男性から告白されたのかも理解できない。一言でいうと、CMに出てくるきれいな女性ほどではない顔立ちのきれいな女性。視線を釘付けにするほどじゃない。そんな印象かな。それ以上の感想も浮かんでこない」
「それ、風さんのタイプじゃないってだけじゃない?」
「そうかもしれない。でも、それだけじゃないと思う。なんだろう。あの惹きつけられない感じ…」
そして、1日、2日経つと、彼女の顔すら思い出せませんでした。
へ〜。こういう女性もいるんだ〜。ある意味、一番の驚きかもしれません。
しかし、人生とは、本当に面白いものです。それから、2週間後、彼女と偶然再会したのです。
子供は見破る
娘(当時4歳)と行った映画館で偶然出くわしたのです。
彼女は、誰かと待ち合わせをしている様子で、立っていました。わたしは、「こんにちは」と、声をかけ、彼女もすぐにわたしを思い出したようで、「あ、こんにちは」と、挨拶。
「お嬢さんですか?こんにちは」
そう娘に話しかけてくれたのです。でも、その笑顔や言葉の使いかたが、会社の受付嬢のような取って付けたようにわたしは感じました。つまり、「大人の常識のある女性として振舞っているだけ。慇懃無礼(言葉遣いや態度が丁寧すぎて、かえって心がこもっていないように見えること)だなあ」と。
娘は、「こんにちは」と、挨拶すると、じーっと彼女の顔を見上げたまま無言。彼女も「んっ?なに?」と、いう表情で娘を見ます。そして、娘は無言のまま、自分の肩掛けカバンに手を突っ込み、持っていたアメ玉の入った袋を取り出して、
「あげる」
と、言ったのです。彼女は、一瞬眉間にしわを寄せ、困ったような顔をして、わたしのほうを見るので、
「どうぞ。もらってあげてください」
そう言うと、
「じゃあ、ひとつだけもらうね」
袋から一つだけ取り出し、「ありがとう」。無言でその様子をじーっと見ていた娘は、
「食べないの?」
「あ、うん。あとでいただくね」彼女はニコッと笑い、娘から視線を外し、待ち人を探すような仕草をしました。その様子をじーっと見ていた娘は、こう言ったのです。
「お姉さんはとってもきれいなんだから〜、もっと笑ったほうがいいと思う」
「え〜?(苦笑い)そ〜お〜?」
「そうだよ。アメをなめたら甘くておいしいよ。いっぱい笑顔になるよ」
「うん。わかった。じゃあ、いただくね」
わたしが、「なんかすみません」そう言ったとき、ちょうど待ち合わせの女性が現れたので、わたしと娘はその場を辞去しました。
「音ちゃんだめじゃん。あんなこと言っちゃあ」
「だって、あのお姉さん、ぜんぜん笑わないんだもん。笑うともっときれいなのに〜」
「笑ってたじゃん」
「笑ってないじゃん!ぜんぜん笑ってなかったじゃん!」
自分しか見ていない目
子供は、瞬時に見抜きます。特に、言葉をまだ上手に使えない小さな子供は感覚でものを見て、感覚で話します。
娘には、彼女がまったく笑っていないように感じられたようです。
普通、小さな女の子に話しかけられたら大抵の大人は微笑みます。特に女性は。そのことを子供は感覚でわかっているから、自分に本当の笑顔を見せなかった彼女に違和感を感じたのでしょう。だから、お菓子でなんとか笑顔を引き出そうとしたのです。
それでも、「お姉さんは笑わなかった」と、娘は主張します。
少なくともわたしには、彼女は娘に笑みを見せていたのように見えたのですが…。
なんでだろう?
考えたときに、初めて会ったときの彼女の様子を思い出しました。彼女は、わたしを値踏みするようにじーっと見ていた。そう思っていましたが、あれは、わたしが彼女をどう見るか、観察する視線だったのではないか?と。
「この男は、キレイなわたしを見たとき、どんな表情をするだろう。どうやってわたしを盗み見するだろう」
そういう視線だったのではないか。つまり、彼女は、わたしを見ていたのではなくて、
彼女の目はわたしを通して、自分だけを見ていたのではないか?
だから、わたしは彼女から何も読み取れず、何も感じることができなかったのではないか?
彼女の人生の一番の目標は、「官僚と結婚すること」です。だから、わたしを値踏みしても仕方ないし、わたしに興味を抱くはずがないのです。だから、彼女はわたしの視線を通して、今日の自分を見つめていたのです。
だから、わたしは彼女になにも感じなかった。
娘にもまったく興味がなかったのでしょう。だから、取って付けたような笑みになってしまった。
だから、娘は、「笑ってない」ように見えたのでしょう。
取って付けたような笑顔に魅力はありません。美しい女性を前にすると、大人の男はそれを見抜けませんが、子供はそれを簡単に見抜きます。
自分しか見てない目には美しい光は宿りません。
だから、わたしは、彼女が飾られた花のように美しくても、彼女から何も感じ取れなかったのかもしれません。
彼女は、常に自分しか見ていません。自分が男性からどう見られているか。つまり、外見がどう見られているか?
彼女の目は男性が自分に放つ光だけを見ているので、つまり、光を吸収することだけが目的なので、彼女の目は光を放っていないのかもしれません。
たとえば、路上で、キレイな女性が歩いていたとします。
「あの人、キレイだな〜」
そう思って見惚れていたとき、その女性が大きなガラス張りのビルの前に差し掛かった時、その女性の美しさが一瞬で失われる瞬間があります。どんなときかわかりますか?
ガラスに映る自分の姿をチラ見するような仕草をした瞬間です。
その瞬間、女性の目からは光が失われ、無防備でむき出しの本性が見えるからです。
この仕草が好きな男はいません。男は、その瞬間を目の当たりにしたとたん、確実にテンションが下がり、その女性の評価を1、2段階下げます。
シャツの上からも、「この人は体を鍛えてるな〜」と、思える男性が魅力的だと感じる女性はたくさんいます。スポーツマンは男性から見てもカッコイイ。でも、その人が、ガラス張りのビルの前でピチピチのタンクトップを着て力こぶを作って悦に入っている姿を見て、カッコイイと思いますか?
ビルのガラスで、前髪を丁寧に整えている男子を見てカッコイイですか?
大半の女性は気持ち悪いと感じると思います。それと同じ。
彼女の目は、そういう目でした。
魅力ってなに?
だからといって、彼女に魅力がないわけではありません。
少なくとも、容姿は自他男女共に認めるほど美しいのです。
ただ、そこに固執すると若いときはいいけれど、やっぱり、ある程度年齢を重ねると、メッキは剥がれ落ちてきます。中身がむき出しになったときに空っぽだったら、どうあがいても魅力を引き出すことはできません。
結婚の前には、必ず、お付き合いをしますよね。付き合っているうちに男性でも女性でもメッキが剥がれます。中身が空っぽな相手に、それ以上の魅力を感じることはできません。
それこそ、付き合ったことのない人は、メッキを剥がされた経験がない。
経験がなければ、そこを補うこともできない。
それこそ、恋愛を結婚に結びつけることは難しいと思います。
たとえば、健康的な体の人と、不健康な人、病気がちの人、どちらが魅力的か?言わずもがなです。
同じ怪我をした場合、健康的な人のほうが治癒が早い。当然のことです。免疫力が強く、自己治癒力が強いからです。
中身が空っぽの人と、中身がいっぱい詰まっている人のどちらが魅力的か?
中身がいっぱい詰まっている人のほうが魅力的です。引き出しが多いからです。そういう人とは、ずーっと話をしているだけでも楽しいですよね。
中身がいっぱい詰まっていると、果物でもそうですが、パンパンに膨れ上がって表面の輝きが全然違います。それは、中から美味しい果実が溢れ出てきているからです。
美しい宝石の価値は、透明度にあります。表面をいくら磨いても、中身が美しくないとキレイな光を通しません。
宝石は、中身を磨けませんが、人間は、いくらでも、何歳になっても、経験を重ねれば、いくらでも磨くことができます。
本当の美しさというのは、経験を重ねて、中身をいかに磨くか。
そこに、人は惹かれるのです。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
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