私は子供が生まれた時に千住さんの家の子育て方法を知り、実践することに決めました。千住家は三人兄弟で長兄が画家、次兄が作曲家、一番下の妹がヴァイオリニストです。憧れの芸術一家はどのようにして子供を教育したのかに興味を持ちました。
その結果、創造力を養うためには暇力を作ることが大切だとわかり実践することにしたのです。
今日の記事は、私が子育てで実行した暇力、好きなものをやらせる、規則正しい生活、たくさんの睡眠の結果、子供はアートとダンスが好きな子になり、身長も高く成長したことをお伝えするものです。
暇力が個性を育む
子育てにあたり、私は子供におもちゃを買い与えませんでした。
おもちゃを買い与えなかった理由はただ一つ。
暇力を養うためです。
奥さんは常々こう言っていました。
「子供には暇を与えることが大切だよ。なんでも親がお膳立てをしたら、自分で考えない子供に育ってしまう。おもちゃがなければ、自分でおもちゃを考えるし、1日暇でやることがなかったら自分で暇つぶしを考える。子供は暇をつぶす天才だし、創造力は暇なときこそ生まれるもの。その能力を親が潰さないようにしないと」
「なるほど…」
「だから、おもちゃ買ってあげないでよ!」
「う…うん…」(本当はたくさん買ってあげたかった…。でも、ママに怒られるから、ごめんよ音ちゃん)
わたしは子供のころ、おもちゃを買ってもらった記憶がありません。唯一、ひとつだけ買ってくれたのが、『生き残りゲーム』でした。
突然、なんの前触れもなく父が買ってきたのです。「どうや、うれしいやろ!」とか言って、ニコニコして。正直、わたしはちっともうれしくなかった。だって、これ、人気なかったですもん。友達の家でやったことがあったし。これ買ってくれるんだったら、
「『沈没ゲーム』のほうがよかったな〜」
そう言うと、
「おまえ沈没したいんか?生き残りたいやろ?」
そう言われて…。そりゃそうだけど…。(その後、『沈没ゲーム』は名前が良くないということで『沈没作戦ゲーム』に変更。どっちもどっちだと思うけど…)
だから、わたしは祖父母の家に入り浸っていました。そこに行けば、貸本代40円もらって、いくらでも漫画が読めたから。
結果、わたしは創造力がない。機転が利いて応用力はあるけれど、創造力はいかんせん、皆無。
奥さんは、子供のころ、おもちゃを買ってもらったことはないけれど、活字の本はいくらでも買ってもらえるという家でした。だから、奥さんにとっては本の中の物語の世界が全てだったと言います。
と、いうことで、音にとっては、小さいころに知人からもらったいくつかのお人形だけが唯一のおもちゃでした。そのお人形を使って、おもちゃの世界をつくって、ひたすら、一人でず〜っと独り言を言いながら遊んでいました。
たいていは、女の子のおもちゃが悪いおもちゃに襲われて、正義の味方のおもちゃが戦って、最後は二人が結婚するというストーリーでした。
それに飽きると、お絵かきです。色鉛筆だけは、奥さんがプロのイラストレーター用のものを買い揃えていました。赤だけで30色くらいあるやつ。
それで、音は、黙っていれば、延々と絵を描き続けていました。
ちなみに、わたしにも奥さんにも絵心はまったくありません。親戚にもそんなアートな人物は一人もいません。
好きこそものの上手なれ
ですよね。
駅のホームで写真を見て、やりたいと決めたバレエを習う
3歳のとき、わたしと二人で駅のホームで電車を待っているときでした。
「パパ、あれなに?」
音が指したのが、大きな広告写真。たくさんのバレリーナが『白鳥の湖』を踊っている写真でした。
「あれはバレエだよ。白鳥の衣装を着て踊ってるんだよ」
「きれいだな〜。音ちゃんあれやる!」
「バレエやりたいの?」
「うん。やる」
それから、バレエ教室をいくつも見学に行きました。
自宅から歩いて数分のところには大きなバレエ教室があるのに、
「やだ。ここやだ」
「なんで?」
「先生が優しくない」
「優しそうだったよ」
「ううん。あの先生は全然優しくない。子供が好きじゃないと思う」
そう言って、頑なに拒否。そして、4つ目か5つ目に見学に行った、自宅から駅3つ離れたバレエ教室での出来事でした。
先生がものすごいスパルタで、小さい子供でも私語をすると「もうおまえらは来なくていい!帰れ!」なんて、親のわたしでも、ドン引きするような雰囲気の体育会系バレエ教室。先生の口癖は、
「お受験のためとか、習い事の感覚で来られては迷惑だ。プロを目指す子しか来なくていい!」
でした。
わたし「音ちゃん、ここ怖いね。帰ろ」
音「音ちゃん、ここに決めた」
わたし「え〜〜〜っ!?なんで〜〜〜〜!?」
音「だってあの先生ものすごく優しいから〜」
わたし「怖くないの?」
音「怖いよ。でも、あの先生、子供のこと大好きだよ。大好きだから怒ってくれるんだよ」
わたし「絶対ここじゃなきゃダメ?」
音「ダメ。ここに決めた!」
3歳のころ、同級生は30名ほどいましたが、11歳になって残っている子は5名もいません。(そして、中学受験で3人になりました。)みんな、稽古のキツさに耐えられなくなって辞めていきました。音は、相変わらず下手ですけど、先生から罵倒され、行くたびに泣いてますが、辞めてません。むしろ、
「やっとバレエの面白さがわかってきた。もっと早く気付けばよかった」
と、楽しくて仕方がないようです。
彼女の頭の中にあるのは、
本を読むこと(愛読書は小学館ジュニア文庫シリーズの『いじめ』)、絵を描くこと、バレエでした。
今、彼女の頭にあること。
「やりたいことを何でもできる人になりたいから、入りたい中学校がある」
だから、いま、彼女にはゲームをする暇、テレビを観る暇はまったくありません。
*そして、受験とともにバレエを辞めて、現在は部活で新体操に励んでいます。
ちなみに、わたしは彼女の勉強について、何か言ったことは一度もありません。
寝る子は育つ
寝る子は育ちます。間違いなく!
これを、我が家風に言い換えると、
規則正しい生活は、子供を安心させます。次に何が起こるのかがわかると子供は安心できますから、たくさん寝てくれます。だから、
大きく育ちます!
です。
音は1歳を過ぎた頃から、まったく夜泣きをしなくなりました。夜、9時前に布団に入ると、朝5時まで、絶対に起きないのです。
オムツが取れると、その後、一度もオネショをしませんでした。ただの1度もです。
だから、オシッコで布団を汚されたことは1度もありません。
それは、
規則正しい生活を徹底したからです。
保育園では、必ず、お昼寝があります。
お昼ご飯を食べたあとの13時から15時までの2時間。月曜日から金曜日までずっと。
我が家では土日もそれを徹底しました。土日もお昼寝をするのです。だから、お出かけは午前だけ。もしくは、午後のお昼寝のあと。どこかに旅行に行っても、お昼寝の時間は必ずとる。
それを、
「もうお昼寝したくない」
と、本人が言い出す5歳くらいまで続けました。
夜は、例外なく9時までに就寝です。土日も旅行中も同じです。例外はありません。
安心が熟睡を生む
なぜ、そこまでして規則正しい生活を徹底させているのか?
それは、規則正しい生活は、心の安定を生みます。心の安定が保たれると、ゆっくり熟睡できるのです。眠りが深ければ深いほど成長ホルモンは促進され、身体はグングン大きくなります。脳の成長もそれとまったく同じなのです。
わかりやすく言うと、赤ちゃんは、おっぱいやミルクをもらうリズムが一定していないと、いつミルクが飲めるのかわかりません。わからないから不安になります。だから、お腹が空くたびに泣くのです。泣くというのは要求ですが、最後の手段でもあるのです。お腹が空いて、不安で仕方がないから泣くのです。
泣く前に必ず、赤ちゃんは何かしらのサインを送っています。
手を伸ばす。おっぱいを掴む。アバアバ激しく手足を動かす。
それに親が気がついて、そのパターンや、要求してくる時間帯がわかってくると、そのパターンに沿ってしまえばあとは案外簡単なのですが、相手は、赤ちゃんです。
言葉で言うほど、やさしくはありません。
だから、親が、パターンを決めてしまうのです。
つまり、
赤ん坊に合わせるのではなく、親が規則正しい生活をつくるのです。
我が家の場合は、ミルクをあげる時間を決め、本人が目をギラギラさせていても、午後1時から3時までは必ず昼寝をさせ、夜は、9時前に就寝。
このパターンを家族全員に刷り込ませました。
その結果、音は、1歳になってからは一度も夜泣きせず、一度もオネショをしませんでした。親戚の家に泊まっても旅行先でも一度もです。
犬や猫と比較して恐縮ですが、ペットを飼ったことがある方ならわかると思います。
動物は、とっても規則正しい生き物です。決まった時間にご飯を食べ、決まった時間に必ず寝ます。そのパターンや環境が少しでも変わると、とたんに体をかきむしったり、下痢をしたり、ストレスで体調を崩します。
赤ちゃんもそれと同じなのです。
ただ、赤ちゃんには、訴える方法が犬や猫ほど多くありません。
「泣くという手段しかありませんからね」
と、思っておられるお母さん。勘違いしないでくださいね。
赤ちゃんには泣く以外にも訴える方法はあります。
笑ったり、手足をバタバタさせたり、眉をしかめたり。泣くという手段は、あくまで最終手段です。泣かないと気づいてくれないから泣くのであって、その前に気づいてくれたら、泣かなくなります。
規則正しい生活が大事
でも、すべてのサインに気づくのは難しい。
だから、規則正しい生活を心がけるのです。
すると、赤ちゃんは、仮にいつもの時間よりも早めにお腹が空いたとしても、不安な気持ちにはなりません。
パターンを体で覚えているので、その時間まで待ってくれます。
勘違いしていただきたくないのは、
予測して、前もってなんでもやってしまう、と、いうこととは違います。
なんでもお膳立てしておくことと、規則正しい生活を送ることは、まったく違います。
夜9時に寝せるためにその前に無理やり遊ばせるとか、お腹いっぱい食べさせるとか、そういうお膳立てをするのは、かえって体にも心にもよくありません。
眠くなくても、夜9時に寝せる。
それが、規則正しい生活です。
現在、中学生になっても、音は夜10時までに寝ています。
「勉強が終わらない」
と、言っても、奥さんは、
「10時までにやらなければならないことを終わらせないのが悪い。やらなくていいから寝なさい」
「明日先生に怒られる」
「できない音が悪いんだから怒られなさい」
そう言って、勉強をやらせません。
学年が上がるに従って勉強の量が増えて、バレエの時間も延びて、夜、勉強をする時間が少なくなったのです。
でも、だからといって、寝る時間を遅くすれば、その分、たくさん勉強をするようになるかというと、そうではありません。
その分、時間をダラダラと過ごしてしまうだけなのです。
夜9時半に寝るというのは、我が家のルールです。決まっています。だから、音は、もっと勉強のスピードをあげる工夫をしなければならないのです。そのことに本人が気づかなければなんの意味もありません。
でも、やはり、10時までに寝ると宿題が終わらないのです。
そこで、彼女は考えました。
「そうだ!朝早く起きればいいじゃん!」
そこで、彼女は、朝1時間早く起きることを思いつきました。
そして、実行してみると、
「夜勉強やるよりも全然早くできる。朝の方が問題も簡単に感じる。なんでだろう?」
そう言って、勉強は朝、やるようになりました。
だから、夜は、ご飯のあと、大好きな本を読んでゆっくりとリラックスして過ごしています。
10時になると、布団に入り、30分もしないうちに必ず寝息を立てています。
こうしたリズムのほうが自分には向いているということを、自分で気がついたのです。
そこで、また、彼女には一つ自信が生まれました。
音は、小さいころ、牛乳アレルギーがあったので、いまだに給食以外はいっさい牛乳を飲みません。でも、身長はクラスで後ろから2番目です。ちなみにわたしの身長は169センチ。低いです。
でも、わたしは確信しているのです。
音がわたしの身長をこえてしまうことを。なんせ、彼女はたくさん寝ていますから。
寝る子は育ちますから。
現在、160cmに届く勢いで身長が伸び続けています。
子育ての続きは、約束を守る、嘘はつかない、自慢しないル|心の冷えとりコーチ子育て論5をご覧ください。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
風宏の心の冷えとりコーチングはこちらもご覧くださいませ。
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。