女性である、若いというだけで不正を行われてしまう。まさに不動産の契約がその一つでもあります。
なぜならば、不動産の決まりを知らないからです。今やネットでいろいろ検索できるようになったので、すぐに知識を得られることができますから、ぜひ契約の際にはきちんと調べて契約をすることです。(なぜか契約書はわかりにくい言葉で文字が小さく書かれていますが、きちんと読みましょう。)
今日の記事は、私の若い女性の友人が不動産トラブルに巻き込まれたことをお伝えしています。
前回のお話はこちらをご覧くださいませ。
修繕に30万かかると言われた物件がなくなっていた!
目が点…
とは、まさにこのことでした。Fさんは、オーナーが言っていたことと、今目の前に広がる光景がまったくリンクしません。
オーナーは、
「外壁の傷と掃除代で300,000円は返納できない」
そう言ったのです。それなのに、目の前には、外壁の傷を直し、掃除をしたはずの肝心の“家”がない。
ここは、やはりオーナーに聞くしかありません。Fさんが、家を見に行ったことを伝えたうえで、説明を求めました。オーナーの説明はこうです。
「家のクリーニングをして外壁の修理をした直後、息子夫婦から家を買いたいので資金を出してほしいと言われた。それで、急遽、家を売ることにした。買い手がすぐについたのだが、更地で売ってほしいと言われたので家を取り壊した。と、いっても、外壁の修理とクリーニングは確かにしたので、300,000円は返せない」
そう言うのです。
なんとも都合の良すぎる話ではありませんか。300,000円をしっかり使い果たした直後に息子の要請で家を売ることを決め、都合よく買い手が現れたが、更地にしてほしいと言われたのですぐに家を取り壊して売った。わずか1ヶ月の間にです。
よくまあそんな下手なウソがつけたもんだ。同じウソをつくならもっとまともなウソをつけよ。
第3者が聞くと、そう思います。しかし、当事者のFさんはそうは思いませんでした。
(なるほど…。いかにも都合の良い話だけど、理にかなっている。そもそも、オーナーさんがわたしたちをダマすはずがないし…。わたしの思い過ごしか)
そう感じてしまったFさんは、納得してそのまま引き下がったのでした。
えっ、なんで?
と、普通は思いますが、
Fさんがオーナーの話を盲信してしまうにはそれなりの伏線、理由がありました。
その2年前、前回の更新の時でした。
契約書には、
『更新時には、家賃1ヶ月分を貸主に支払う』
と、ありました。つまり、一ヶ月分の家賃250,000円とは別に、更新料250,000円をオーナーさんに支払うという契約になっていました。ところが、その前月になって、物件を仲介した大手不動産チェーンからFさんに連絡がきて、
「更新料を払ってください」
と、いう請求がきたのです。
「更新料はオーナーさんに払いました。そちらに払うなんて契約書にも書いてないし、払う理由がありません」
Fさんが、そう言って突っぱねると、不動産業者は、
「契約書に書いてなくても、そういう決まりなんです。まあ、慣習のようなものです。知らなかったんですか?賃貸契約では仲介業者にも払う決まりになっているんです」
そう言ってきたのです。Fさんはそんな慣習など知りませんからオーナーさんに相談しました。オーナーさんは、
「そんな決まりなんてないよ。そんなの払う必要はない」
そう言って、その不動産チェーンとの仲介契約を解除し、この更新の時からオーナーさん本人との契約を結びなおしたのでした。前回も書きましたが、オーナーさん自身も不動産業の資格を持っています。
Fさんにしてみれば、250,000円が浮いたわけですから、オーナーさんにそれはそれは感謝したものでした。
ここで、注目しなければならないのは、オーナーの口添えがなければ、Fさんは、不動産チェーンにまんまと250,000円騙し取られていたということです。チェーン展開している会社でも、こういうことを平気でやってくる。そういう実態があるということをしっかり覚えておいてください。バレなければOK。そんな世界なのです。バレても、警察に訴え出られてもこれは、民事事件です。警察は“民事不介入”です。ただ、警察も事情は聞いてくれます。でも、それだけです。不動産業者も、
「あ、間違えました」
と、言えば、被害者が刑事告訴しない限りは、なんのお咎めもありません。被害者はそんなことでは刑事告訴しません。トラブルはみんな嫌いです。だから、平気でだます業者が後を絶たない。もちろん、そんな悪徳業者はほんの一部です。ただ、そういう業者もいるということです。
そんなことがかつてあったものだから、Fさんはオーナーを信じきっていました。オーナーにとっては、Fさんをダマすのに、そのことが良い伏線になっていたのかもしれません。
しかし、Fさんは、そのときは納得してしまったものの、やはり、なんかしっくりこない気持ちでいました。
- 不動産の取引が、そんな急展開するのだろうか?
- 家を取り壊したりするためには、いろいろと手続きがあると思うけれど、そんなに急に取り壊せるものなのだろうか?
- そもそも、築50年のあの家の外壁の補修とクリーニングに300,000円もかかるのだろうか?
疑問が次々と浮かんできます。
不動産知識がなければセカンドオピニオンを!
疑問は浮かんできますが、だからといってFさんには、なにをどうすればよいのかわかりません。
3人の元同居人に相談しましたが、3人とも、
「オーナーさんが補修してクリーニングしたって言うんだし、それをくつがえせる証拠がないんだから仕方がないんじゃない。仮にダマされているとしても、まあ、敷金が返ってこないのは普通だし」
そう言います。
(3人がそう言うんだったら …自分一人でがんばっても仕方ないか…)
Fさんもほとんど諦めの気持ちになりました。
そんな時でした。Fさんの元に思いがけない情報が入ってきたのです。
オーナーが、早期退居をFさんたちにお願いした際、早く新しい部屋を探せるようにと不動産屋さんを紹介してくれました。Fさんはその不動産屋さんが紹介してくれた物件に決めたのですが、契約の件で、不動産屋さんからFさんに電話がかかってきたのです。その時のなんとなく交わした会話が、思いがけない展開を生むのです。
不動産屋「Fさんの住んでいた家、もう買い手が見つかったらしいですね」
F「そうなんですよ。せっかく補修してクリーニングしたのに…。なんか、ムカつくんですよね」
不動産屋「えっ?補修?クリーニング?なんですかそれ?」
F「あの家ですよ。取り壊す前に補修・クリーニングをしたから契約の時に払った300,000円が返ってこなかったんですよ。もっと早く家を売ることがわかっていたら無駄なことしなくて済んだし、お金も返ってきたのに…」
不動産屋「それおかしいな〜。補修もクリーニングもしてないはずだけどな〜」
F「えっ?してないんですか?なんで知ってるんですか?」
不動産屋「あの家を売る仲介をしたのは私ですから。Fさんに退去をお願いする前に、仲介を頼まれていましたし、取り壊しは決まっていましたから補修やクリーニングをするわけないんですよ。それに、わたしも取り壊し前に家を見ましたが、そもそも壁の傷も、あれは故意的につけられたものじゃないですよ。明らかに老朽化による経年劣化ですから、Fさんたちが支払うべき性質のものではありません。Fさん、ダマされましたね」
F「じゃあ、300,000円は請求すれば返ってくるんですか?」
不動産屋「オーナーさんがそう言ってウソついてるんだったら難しいかもしれませんね。わたしのほうからも言ってあげますよ」
たまたま、という形で、Fさんはオーナーのウソを知ってしまったわけです。
今回は、たまたまでしたが、やはり、不動産の契約も、なにか、どこか、おかしいな?と思ったら、近くの別の不動産屋さんに聞いてみるというのも、大事なことだなと、改めて思ったしだいでした。
医療でセカンドオピニオンという言葉はよく聞きますが、こういう、
素人が不利になる場面では、必ず、セカンドオピニオンを活用しよう!
そう感じたのです。
若く、女性であると不動産契約でだまされやすいかも?
これで、全貌が見えてきました。
つまり、こういうことじゃないでしょうか?
オーナーの元に、突然、更地であれば土地を購入したいという人が現れた。しかし、その家にはFさんを含む4人の入居人がいて、契約終了を待っていたのでは、売れなくなるかもしれない。一か八かで、契約違反にもかかわらず、前倒しで「出て行ってほしい」と頼んだら、4人とも快く承諾してくれた。
(こいつらチョロいな〜。だったら、クリーニング代300,000円も返さなくてすむ方法はないかな?じゃあ、補修クリーニングをして解体したことにすればいいか。ウソにかなり無理あるけど、こいつらだったら簡単にダマせそうだぞ…。なにしろ、おれのこと、すっかり信じきってるしな。)
(こいつらチョロいな〜)
この瞬間に、オーナーの心に悪が巣くったのかもしれませんね。
女性が男性の間違えをただすとき、突然態度を変えて怒鳴ったりするのは、威圧して嘘を誤魔化そうとしている
Fさんは、オーナーに電話をしました。不動産屋さんの話をそのままオーナーに伝えました。
「本当はクリーニングしてないんですよね。だったら300,000円返していただけますか?」
すると、かつてFさんの知っていた温厚なオーナーさんは、突然、豹変したのです。電話口の彼は、激昂(げきこう)していました。
「なんで、わたしとあなたの契約の話に関係のない不動産屋が口を出すんだ!そんな話はうそに決まっているじゃないか!わたしが補修をして掃除をしたと言っている。しかも、補修代は取らない。掃除代だけでいいとまで言っているのに、言いがかりをつけるのは許せない。冗談じゃない。疑うならこっちは出るところに出てもいいんですよ!とにかく、家賃8日分の日割り分は返しますから、早く取りに来てください。もう、あなたとはさっさと契約を終わらせたい」
「家賃の日割り分だけ、先に振り込んでもらうことはできますか?300,000円の話とそれは全然別の話ですから」
「契約終了の確認書にサインと捺印が欲しいので、一度、早急に来ていただけますか」
「でも、それにサインしたら300,000円は返していただけなくなりますよね」
「だから〜、補修とクリーニングで使ったんだから返せませんよ。契約書に書いてあったでしょう」
「でも、不動産屋さんは…」
「なんでそこで不動産屋の話が出てくるかな〜!これはあなたとわたしの契約の話であって不動産屋は関係ないでしょう!」
ものすごい威圧感で、Fさんはそのあと、まったく口がきけなかったそうです。
恐怖感を感じたFさんが不動産屋に電話をかけて事の経緯を話すと、不動産屋にもオーナーから電話が来て、オーナーは怒り散らしたそうです。
「あのときは、そう話したかもしれないが、実際は補修も掃除もして壊したんだ!おまえは関係ないじゃないか。これ以上、口を出したらこっちも黙ってないぞ」
と、言ったそうです。そして、不動産屋はFさんにこう言いました。
「ああなると、もうウソをつき通さないといけないから、弁護士さんに相談するなり裁判をするなりしないと難しいでしょうね」
Fさんは、完全に戦意を喪失してしましました。あの優しかったはずのオーナーの態度が一変したのですから。
ちょうど、そんなときでした。わたしとFさんは別の用事で会う機会がありました。そして、Fさんがわたしにこう切り出したのです。
「そういえば、風さんて、昔、不動産の仕事をしていたんですよね?」
「昔と言っても大昔だよ。20年以上も前」
「いま、わたしトラブルを抱えているんですけど、聞いてもらえます?」
そして、今まで話した事のすべてをここで初めてわたしは聞くことになるのです。
「それは、完全にウソだね」
「じゃあ、どうすればいいですか?」
「わたしがオーナーに電話をしてみよう」
元不動産の仕事をしていた私が関与することとなった
「Fさんは、最終的にどうなりたいの?」
「絶対にお金を取り戻したい。だって、そのお金はわたしだけのお金じゃないですから。みんなのお金だから」
「ウソをついているやつから取り戻すのだから、大変だよ。長引くかもしれないし、精神的にかなり追い詰められるかもしれないよ。それでもいい?途中で怖くなっても、相手が本気で牙をむいてくるかもしれないよ。それでもいい?」
「はい。絶対に泣き寝入りだけはしたくないです」
「わかった。じゃあ、わたしがオーナーに電話をしてあげる。部分部分で忠告やアドバイスはしてあげられるけど、戦うのはFさん自身だよ。Fさん自身が頭を使って戦わないと何の意味もないよ。大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「よし。じゃあ、オーナーをやっつけよう」
戦いの火蓋が、ついに切って落とされたのです。
続きは、一人暮らしの女性を襲う不動産トラブル3敷金を取り戻すまでにやるべきことをご覧くださいませ。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
※掲載されています写真は全てイメージです。本文とはまったく関係ありません。
風宏の心の冷えとりコーチングはこちらもご覧くださいませ。
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。