住居・ご近所問題

一人暮らしの女性を襲う”不動産トラブル”1

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民放改正でもう安心…なんてことは絶対にない!

 

2015年3月31日。政府は民法の一部改正案を閣議決定しました。不動産の賃貸借契約の「敷金」に関する条項です。

「不動産の借り手が支払う「敷金」については、定義や返還の時期・範囲を定める。時間の経過で壁紙などが自然に劣化したとしても、借り主には退去時に元に戻す義務がないことも明確にする」(毎日新聞参照)

と、したのです。でもこれ、逆に、

「今までそうじゃなかったんだ?」

と、感じられた方は、運が良かったのかもしれませんね。わたしもそういう大家さん、不動産屋さんばかりでした。

しかし、それは、わたしが男性だったからかもしれないのです。

独身女性の一人暮らしの場合、どうでしょうか?

「えっ、敷金って戻ってくるんですか?」

「畳を変える代金とクリーニング代として引かれたから少ししか戻って来なかった」

そう言う女性が多いです。

「契約書にそう書いてあった?」

「えっ、見てないからわからないけど」

「それ、不動産屋さんから言われたの?」

「ううん。大家さんから」

 あなた、ダマされていますよ!

 

法律は今度から、「借主に責任がない場合は敷金を返しなさい」

と、言っています。これが、きちんと契約書に明文化されれば、今までのようなトラブルは多少は減るかもしれません。不動産屋さんも契約時にきちんと声を出して契約書になんて書かれているか読んでくれるでしょう。

「じゃあ、もう安心じゃないですか」

そんなことはありません。それを抜ける方法なんていくらでもあるんですから。

まさに、このタイミングでわたしの知人に起きた不動産トラブルについて、今回はお話しします。

お金のない若者の一人暮らし。それなりのリスクは当然ですが…。

 

春は、

別れと出会いの季節です。

地方から東京に初めて出てきた、なんのツテもない若者は、まずその足で、不動産めぐりをします。

わたしが東京に出てきた1986年春。最初の半年だけ、練馬に住む兄の6畳一間のアパートに厄介になり、半年間のバイトで貯めたお金で渋谷区の笹塚に引っ越しました。一軒家を無理やりアパートに改築したような造りで、1階に1世帯、2階に2世帯。わたしの部屋は2階の6畳の和室と1畳のキッチン。家賃¥27000。隣の部屋にはミュージシャンを目指す同じ年の女の子が住んでいて、トイレはその子と共同。壁によりかかるだけでそのまま向こうに倒れそうなくらいもろくて、「厚紙でできてんのかな?」と思ったくらい。1階にはヒッピーの夫婦が住んでいて、電気ガスは止められたままで、日がな1日家にいて、軒先でいつもサイケ柄のTシャツを着て、タバコだか◯◯ファナだかを燻らせている。夜になると、ろうそくをたいて似たような友人を呼んで、ドアーズとかキングクリムゾンを大音量で流し、ドタバタとどんちゃん騒ぎ。

あまりにうるさくて不動産屋に注意してくれと頼んでも、

「ちゃんと家賃払ってくれてるからね〜」

と、取り合ってもくれない。そのうち、下の夫婦が餌をあげていた野良猫がわたしの部屋に住み着くようになって、気がつくと5匹くらいの猫と暮らしていた。

それも、いまとなっては、よき思い出…。って、ちがうちがう!全然よき思い出じゃない!

こんなところに住んでいたら、そのうち頭がおかしくなると思って、もっと時給の高いバイトに変えて、わずか1年で高円寺に引っ越した。家賃¥30000。6畳和室と3畳のキッチン風呂なし。その晩、寝ていたら、知らない男が窓から侵入してきた。わたしは包丁を片手に家から飛び出て、裸足で男を追っかけた。まあ、その男の逃げ足の速かったこと。わたしはそのまま交番へ駆け込んだ。翌朝、大家さんに事情を話すと、わたしの前に住んでいたのは女性で、ストーカー男(当時はまだストーカーという言葉はなく、『つきまとい男』と言ってました)から逃れるために引っ越したとのことで、おそらくその男ではないかということでした。そんなこと一言も聞いてない。

「だってあなたは男だから」

なんだその理由!

その夜、今度は隣の部屋から子供の泣く声。隣人はわたしより若い母親と3歳くらいの男の子のふたり暮らし。母親が怒鳴り子供が泣く声が聞こえて来る。それからほぼ毎晩、怒鳴り声と泣く声。週に1度や2度は、壁越しにある風呂場(隣の部屋にお風呂がありました)で男といちゃつく声が響く。

気がつくと、わたしは聞き耳を立てていた…。ははは…。

まったくついてない。

だから、わたしは、田舎で暮らしていた時は、

困った時は、隣人に頼みなさい。

が、当たり前の世界で生活していたので、よくお醤油やお米を借りに行っていたけれど、東京に出てきてわずか数年で、

隣人を信用するな

を、痛感した。

、てのは、ちょっと言い過ぎですが、人一倍、住まいには気を配り、人一倍、用心深く生きてます。

そんな学生時代。それくらいの苦労は当たり前。それが当たり前の時代でした。

男の私ですらそうなんですから、

東京に一人で出てくる女性は、それなりの覚悟とリスク、トラブルに遭遇したときの対処法を考えておかなければなりません。

 

 

下手すりゃ今はもっとひどい

 

あれから20数年。時代はどう変わったでしょう。

お金のない多くの若者は、いま、シェアハウスで共同生活を送っています。一軒家を借りて、5〜10人の男女で借りて一緒に住むのです。もちろん、みんな知らない者同士。部屋はそれぞれありますが、トイレ風呂は共同。ご飯は各自の部屋か共同リビングで。都心だと、家賃はそれでも5万円以上とられます。

 

たとえば、築30年3階建て80平米4LDKの普通の建売住宅1軒家をシェアハウスとして貸し出した場合、4人の若者でシェアできます。家賃一人6万円だとすると、4人で24万円となります。これを、仮に1家族に貸し出したなら、家賃はおそらく18万円くらい。オーナーさんにとっては6万円も得したことになります。明らかにボッてますが、借主の事情を考えるとそうでもない。6畳一間の部屋があって風呂つきリビングつき。普通のアパートを同じ条件で都心で借りようと思ったら軽く10万円以上かかります。こちらも一人につき4万円のお得。

つまり、年間にして、264万円もの経済効果を生んでいる。

すごいことです。

まさに、長いデフレ時代の産物暗い時代が生み出した良き例だと言えますが、やはり、“副作用”は、つきものです。

今回の“副作用”とは?

 “オーナーとの契約トラブル”

です。

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男女4人で始まった築50年1軒家でのシェアハウス

 

独身女性Fさん28歳。彼女が社会人なったのを機に東京に出てきたのは今から6年前。給料は18万円。希望は新宿区内のシェアハウス。

なぜ、新宿区内なのかというと、

「高層ビルがすぐ近くにあるところに住みたかったから」

なんてかわいらしい理由でしょう。わたしも、東京駅に初めて着いて、兄の住む練馬区上石神井駅にまっすぐ向かうために高田馬場駅で降りるはずが、新宿駅から見える高層ビルに圧倒されて、まるで月に向かうかぐや姫のようにもうろうとしたままそのまま新宿駅で降りて、高層ビルを目指して歩き、再び新宿駅に戻ろうにも目印の高い物がなくて(田舎だといつでも山を中心に方向を目指していたから)、2時間も電気街をさまよい歩いたな〜。

話を戻します。

彼女は、大手チェーンの不動産屋から、4人暮らし限定の築50年の一軒家を紹介してもらいました。オーナーさんは、今まで、この家に住んでいましたが、子供が独立し、夫婦二人だけになったので、この家を貸して、その賃料収入で近くのマンションに引っ越すことにしたというのです。オーナーさん自身も不動産業の資格を持っているが、初めての不動産賃貸借契約なので、大手の仲介業者に依頼をしたということでした。

Fさんはオーナーさんの面接を受け、お互い好印象を持ち、契約の運びとなりました。他の3人は男性二人と女性一人。皆この春に上京した人ばかり。そして、オーナーさんの提案により、

「4人の中で、契約の更新や家賃の改定時に交渉する代表の人を決めてもらいたいのだが、Fさんにやってほしい」

との、要望がありました。Fさんは快く受けました。他の3人はFさんへの委任状を書き、オーナーさんに提出。

 

『家賃は250,000円。敷金はなし。ただし、“特約事項”として契約時に退出時の室内清掃費として、300,000円支払うものとする』

という内容でした。家賃は一人当たり62,500円室内清掃費は一人当たり75,000円ですから、清掃費の300,000円は、決して法外な金額ではありません。

 

また、清掃費の使い道として、

『退去時の畳替え及び室内清掃費は借主負担。煙草や汚れによるクロス等内装仕上げ材の交換、クリーニング費用は借主負担とする』

と、ありました。

契約内容としては、何の問題もありません。というか、かなり良心的。

シェアハウス生活は、極めて快適で、とても楽しく過ごすことができたそうです。

それから、4年後。4人のシェアはまだ続いていました。今から2年前のことです。

 

契約更新の月になったとき、突然、オーナーさんから申し出がありました。

「来年の春に、貸すことを止めて、また自分たちで住みたいと思っている。大変、申し訳ないが、1年後の4月末日をもって契約を終了したい」

との、話です。

Fさん含め4人の若者たちは、

「仕方ないね。じゃあ、来年の4月末日までに住むところ探さないと…」

1年以上前の貸主側からの退去の通達なので、これもなんの問題もありません。

それから、10ヶ月後の2月末、また突然、オーナーさんから連絡が来ます。

 

「大変申し訳ないのだが、自分たちがいま住んでいるマンションを3月末までに出なくてはならなくなったので、あなたたちも3月末までに退去してほしい」

 

契約期間を1ヶ月前倒ししてほしいと言ってきたのです。

明らかな契約違反です。

本来なら、原則として、貸主は、借主に対して、契約期間満了前に契約解除を申し渡す場合は、6ヶ月以上の期間をおいて行わなければなりません。

それが、退去までの猶予はあと1ヶ月だと言ってきたのです。

.しかし、すでに新居が決まっていた男性二人は、別にかまわないということでした。

Fさんともう一人の女性はまだ新居が決まっていませんでしたし、まったく探していなかったので、不満はありましたが、オーナーさんの申し出なので、仕方がないということで慌てて物件を探し始めたのです。

契約違反なので、意義を申し立てれば4月末まで居残ることはできましたが、Fさんももう一人の女性もそんなことはわかりませんから慌てて物件を探し始めました。Fさんはなんとか、物件を探すことはできましたが、もう一人の女性はどうしても条件に合う物件が見つからないということで、しばらくの間、Fさんの新居で同居することになりました。

そして、二人は契約満了の8日前に、部屋の明け渡しを完了したのです。

 

その際、オーナーさんは、

8日分の家賃は銀行振り込みで返納します。クリーニング代については、実費を300000円から引いた残金を銀行振り込みします」

と、約束をしたのです。

 

ここまでは、金銭的にはなんの問題もありません。契約違反だということを知っていれば、違約金を請求することもできたのですが…。

そして、それから1ヶ月後のことです。Fさん宛にオーナーさんから次のような連絡があったのです。

 

「家の外壁に、明らかに故意に物をぶつけたことにできた瑕疵(かし・修理が必要な傷、凹み)がある。現状回復のために本来なら修理代をいただくところだが、長く住んでくれたので請求しません。その代わり、掃除代として預かっている300,000円で修理、室内のクリーニングをするので返納できません。それで了承してください」

 

とのことでした。

 

一見、良い話のように聞こえますが、Fさんには、“故意に外壁に傷をつけた覚えがありません”。

一応、その場では話だけ聞いておいて、同居の女性に確認しました。同居の女性もわからないと言います。男性二人にも聞いてみました。二人ともまったく記憶がないと言います。

 

そもそも、築50年の一軒家。住み始めたときから、吹き付けの外壁は傷だらけでした。ところどころ補修したあともありました。仮に、そこに再び傷が入ったとしても、それは、定年劣化(ていねんれっか・故意に傷をつけるなど外敵要因ではなく、自然と朽ちていくこと)の範囲内です。

 

なんか話がおかしい…。

 

Fさんは、とりあえず、傷を確認しようと家を見に行きました。すると、

 

なんと、そこにあるはずの家はすでに無く、更地になっていたのでした。

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※掲載写真の家、土地はすべてイメージです。本文とは一切関係ありません。

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