小児科の7ヶ月検診のときに、湿疹だといわれて処方された謎の薬をネットで調べていると、どうやらアトピーのときに処方されるものではないかという疑いがでてきました。
そして、私たちは不安になりいろいろな病院をめぐるようになりました。
今日の記事は、アトピーの子供を持つ親の方に向けて、ドクターショッピングをし続けた私たち親の行動を書いています。ドクターショッピングは、今から思えば、子供のためではなく、私たちのためだったのです。
調べる・行動する
初めて診察した医者が処方してくれた亜鉛華軟膏(あえんかなんこう)をネットで調べました。
ステロイドではないようですが、消炎剤でアトピー専用の薬のようです。
予想はしてましたが、こうもアトピーの証拠を突きつけられるとショックです。わたしには、自分が子供のころ、アトピーの子供がいじめられていた記憶が鮮明に残っています。
奥さんは、やはり母親なので、母親なりの責任を感じているようです。
いずれにしろ、音ちゃんはアトピーなのです。困惑している暇はありませんでした。
そうこうしているうちに保育園の入園面接があり、そのときに園の保険師さんに相談したところ、
別の内科医を紹介されました。
そこの内科医は50前くらいの男性医師で小児ぜん息やアレルギーが専門でした。
肌の状態を丁寧に診て、呼吸音を何度も聞いてくれました。その結果、
「ほぼアトピーと思われるが血液検査しないとはっきりとは言えない」
と、教えてくれました。また、こちらの質問にもいやがらずに全部答えてくれます。ぶっきらぼうな方でしたが、誠意は感じられます。
血液検査の結果は、“アトピー”。
アレルギー数値は、ハウスダストやダニはもちろん高いのですが、とりわけ、猫アレルギーと卵の数値がずば抜けて高い。
これは……。タラ〜。わき汗が滴り落ち、腰から下の力が抜けました。
音ちゃんには申し訳ないですが、本音をいうと、わたしは、音ちゃんがアトピーだったという結果よりも、猫アレルギーの数値が高いということに、なによりもショックを受けたのです。
なぜなら、我が家の家族の一員である猫のマウは、わたしと奥さんにとって、ただのペットという存在以上の同志ともの言える男だったからです。
アトピーとは関係ないけど、猫のマウの話
マウが我が家にやってきたのが、音ちゃんが生まれるずっと前。2001年の6月15日のことでした。
初めて出会ったのが4月20日。飼っていたうさぎのウサコが死んで2週間後のことでした。
うさぎのウサコは生れながらの奇形で目が見えず、平衡感覚もなく四肢で立つことすらできないうさぎでした。そのうさぎがわずか2歳半で死んで、そのショックで奥さんがペットロスになって寝込んで立ち直らせるために飼ったのが、このマウだったのです。
マウは6月15日に我が家へやってきて、すぐに奥さんを立ち直らせてくれました。でも、そのつかの間、わたしの脳腫瘍がわかったのが、それから5日後の6月20日。
まさに、マウは私たち夫婦の支えになるためにやってきたような猫でした。
わたしが入院中は奥さんを支え、リハビリ中はわたしを支え、妊娠中は再び奥さんを支え、音ちゃんが産まれてからは、音ちゃんから片時も離れませんでした。本当に、片時もです。
音ちゃんが生まれるまでは、マウが、私たちの子供だったのです。
音ちゃんが生まれてからは、マウが、音ちゃんのお兄ちゃんでした。
新しい家族の形が出来上がったばかりだったのです。
とはいえ、
娘が、アトピーとは知らなかった。
とはいえ、
猫と暮らし、卵を離乳食として食べさせていました。
ショックでした。
考え方が、甘かった。その一言に尽きます。
セカンドオピニオン→サードオピニオン→フォースオピニオン
内科医からは、
「卵は食べさせてください。猫とは部屋を分けて同居すれば大丈夫」
と、言われました。なぜなら、
「完全に除去しようと思ったら、この世では、宇宙服を着て生活しなければなりません。そんなことは不可能です。アレルギーをどんなに完全除去しようと思っても不可能なんです。だったら、あえてアレルギーとなるものを少しづつ取り入れ、そのときはひどくなっても、抵抗力をつけていったほうがいいとわたしは思います」
そういうアドバイスだったのです。その根底には、
「アレルギーは年齢や体質の変化によって移り変わっていくものなので、アナフィラキシー(ショック状態を起こす反応のこと。死に至るケースもある)でない限りは除去しないほうがいいし、除去すると最終的には食べるものがなくなってしまう」
そういう考え方がありました。
そして、そういうアレルギー物質をあえて取り入れながら、ザジデン(抗アレルギー剤)を飲ませるようにと言われ、これをゼロ歳から4歳まで飲ませることになりました。(しかし、これが歯に多大なる影響を与えてしまうことになり、後悔しています。この薬は歯をとても黄色くしていまうのです。乳歯が抜け替わっても生えてきた歯は黄ばんでいました。)
それに加え、ロコイド(ステロイド)とかゆいところの保湿のためのワセリンを処方されました。
この診断でわたしたちが、感じたことは次の二つです。
- ステロイドは使いたくない。なぜならステロイドのイメージがよくない。できれば、ステロイドを使わずに治療していきたい。
- 卵を食べ続けてもよい。猫を飼ったままでもよい。と、いう診断を鵜呑みにはできない。
と、いうことです。なぜなら、
音ちゃんのほおは真っ赤にただれ、マウは部屋を分けたところで音ちゃんに寄ってきます。
音ちゃんがほおをかきむしり、血が出始めたころになると、全てがマウの責任だと思うようになってきます。
そんな状態になっても、マウを飼い続けることが正しいことだとは、到底思えません。
だからといって、マウを手放すことはできない…。
もう、八方塞がりでした。
それを払拭させるために、
私たちはありとあらゆる病院で納得のいく答えをもらおうとすべての専門医のところに行くことに決めました。
そこに、活路を見出そうとしたのです。
アトピー専門の皮膚科
高学歴の冷たい感じの男性医師でしたが、とても専門的で的確な答えをくれました。
内科医でやった血液検査の結果を持って行き、診断を仰ぐと、間髪入れず、
「猫は手放した方がいい」
と、言われました。その理由は、
「アレルギー物質を食べたり近くに置いて、あえて取り入れるという方法ももちろんアリです。ですが、音ちゃんはまだ赤ちゃんです。もし、体が耐えられなくなってアレルギーに負けてしまってから、やっぱり離そうというのでは遅いのです。いまはまだ、ぜん息の症状がそれほど出ていないので、なんとか抑えられるだけ抑えたほうが良いのです。除去できるものは除去したほうが絶対によい」
1(手放すな)対1(手放せ)です。
どっちの答えでも辛いですが、正直、納得できました。(そう言うのが普通だよね)それが正直な感想です。
そして、先生は、私たち夫婦に花粉症やアレルギーがあるかを尋ねてきました。
わたしには花粉症がありますし、甲殻類アレルギーです。奥さんにはハウスダストアレルギーがありました。
先生は奥さんの顔をじっと眺め、
「奥さんがアトピーですね。ほら、この唇の感じ・・・」
「えっ?いえ、わたしアトピーじゃありません」
「いえ、アトピーですね。ご両親の世代には、ご自分がアトピーであることに気づいてない方がたくさんいらっしゃるんです。アトピーは誰もが顔に湿疹が出るわけではないので、気づかないままの方も多い。お母さんは昔、よく、ニキビが出たんじゃないですか?」
「出ました」
「それも、アトピーだったのでしょう。唇の乾いている感じがアトピーの症状に間違いありませんから。両親にこのような症状がある場合、お子さんに100パーセント遺伝します。だから、音ちゃんのアトピーはお母さんからの遺伝ですね」
そして、
「花粉症とアトピーと喘息は兄弟のようなもので、このうちのどれか一つを持っていたら、この3つとも、潜在的に保有しています」
と、いうことも教えられました。
つまり、花粉症であるわたしも、アトピーを潜在的に保有しているということです。
確かに奥さんは咳の風邪をひくと長引き、半年咳が止まらないということが多々ありました。
「気管支炎治らないね〜」
と、いつもほったらかしにしていたのですが、あれはぜん息だったようです。それに肌荒れもずっとひどくて、その原因となっていたニキビは、実は、アトピーだったのです。
「食べ物は食べさせてもいいけれど、猫は手放すべきだ」
と、提案されました。
「食べ物のアレルギーは成長によって変わります。まったく無くなる可能性もある。しかし、スギ花粉やダニ、ホコリ、猫アレルギーは、絶対になくなりません。と、いうか、年齢を重ねるごとに強くなっていきます」
「でも、わたしたち夫婦は大丈夫ですよ。妻がアトピーということは、妻にも猫アレルギーがあるということですよね。でも、猫は大丈夫です。なぜでしょうか?」
「猫アレルギーもおそらくあるでしょう。アレルギーは治りませんが、体が慣れるということはあるのです。ただ、それは大人になって抵抗力がついてからの話です。赤ちゃんにその抵抗力はありません」
ものすごい説得力でした。
そして、ここでもステロイドを処方されました。
その他の処方薬は、顔にキンダベート、体にロコイドでした。
しかし、ステロイドを持ちいると副作用がひどいという先入観はどうしても取れません。
先生は、こう言いました。
「目の前で大火事が起こっていたら、バケツリレーで火を消化できますか?消防車で放水しますよね?今のお子さんの状態は一度放水しなければならない状態です。ですから一度ステロイドを使い、落ち着いたら少しづつやめて行く方向が一番良いと思います。」
この言葉が一番私たちの心に響きました。
”ステロイドを使ってもいいのだと思えたからです。”
だからと言って、この先生を100パーセント信用することは、どうしてもできません。
次は、耳鼻咽喉科です。
そして、その次は、自然療法医。
わたしたちのドクターショッピングは、止まらなくなりました。
続きは、子供がアトピーになった!闘うアトピーvol3ホメオパシーという自然療法をご覧くださいませ。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)