女性週刊誌で女性の悩み相談で最近急激に増えてきているのが、
「もしかしたら、自分の子供がいじめっ子かもしれない。どうやったら調べられるでしょうか?」
「自分の子供がいじめっ子のようだが、どうやっていじめを止めさせたらいいのでしょうか?」
です。
今日の記事は、自分の子供がいじめている側かもしれないと心配な親御さんに向けて、どのような対応をとったらいいのかを体験をもとにお伝えするものです。
ママの悩みは自分の子がいじめをしていないかどうか
女性週刊誌には、女性のお悩みを相談するページがたくさんあります。
わたしの友人に女性誌ライターがいて、先日、彼がこのようなことを言ってました。
「風さん。最近、うちの雑誌に寄せられる相談の中で、一番多い悩み、なんだと思います?」
「ママ友とか、子供のいじめじゃないの?」
「確かに、一番は子供のいじめなんですけど、最近はその性質が変わってきているというか」
「どういうこと?」
そこに寄せられるお悩みの中で、一番多いのが、
「子供のいじめ」
の問題。で、二番目は、
「ママ友から仲間外れにされる」
やはり、というべきか、仕方がないと言うべきか…。
しかも、その中で、最近急激に増えているのが、
「もしかしたら、自分の子供がいじめっ子かもしれない。どうやったら調べられるでしょうか?」
「自分の子供がいじめっ子のようだが、どうやっていじめを止めさせたらいいのでしょうか?」
なのだそうです。
相談を寄せるママの大半は、
「いじめ」に関しては、男の子のママで、
「ママ友」に関しては、女の子のママからだそうです。
なんか、わかりやすいですね。わかりやすいだけに生々しいというか…。
わたし、いじめっ子の親かも?という不安
まずは、
「”息子がいじめっ子かもしれない”と悩むとのママ」について考えたいと思います。
子供がいじめにあっているママに言わせれば、
「はぁ〜?!なにそれ?ふざけたこと言ってんじゃないわよ!」
ですし、
「そんなもん、人に相談するようなことか!しっかり監視しとけ!」
って、話です。
しかし、冷静に考えてみると、これはこれで、とても難しい問題だと思いました。盲点だったというか、正直、そう言われた時のわたしの一声は、
「ああ〜…。そっち?」
だったのですから。
確かに、
いじめられっ子がいるということは、いじめっ子がいるということだし、立場がまったく逆とはいえ、いじめっ子の母親も「いじめ問題の当事者」であることには違いはないのです。
………。う〜ん。
しかし、どうでしょう?
「自分の子供がいじめっ子かもしれない」
と、悩むお母さんには、どう答えてあげるのが正解なのでしょう?
わたしは友人に聞いてみました。
「で、君の雑誌ではそういう質問に対しては、どう答えてあげているの?」
「それで困っているんです。どう答えてあげたらいいものやら。僕なんて、そんなの放っといたらいいじゃないかって本音は思ってますからね。いじめられてるわけじゃないんだから。でも、無視するわけにもいかないし。風さんだったら、なんて言います?」
「そういうことを悩んでいる時点で、あなたの息子さんは、いじめっ子ではありませんね。大丈夫。将来的にもいじめっ子になることはありませんよ。かな?」
「なんで、そう言い切れるんですか?」
「親が気にしている時点で、しっかり観察しているってことでしょう?おそらく、このママたちは子供に関心がないわけじゃないんだよ。でも、子供とゆっくり過ごす時間がないんだね。だから、最近、急激に乱暴になった息子に違和感を感じていて、子供の成長についていけてないだけだと思うんだよ。で、神経質になってしまっている。でも、おかしいと、感じているんだから、ちゃんと子供のことを見ようとしているんだよ。だから、大丈夫だと思うよ」
「でも、最近の親って、そんなことに悩んでいるのかと思うと、なんだか悲しいですね。「いじめ」に絡むのが当たり前だと思ってるわけでしょう?いじめられてないんだったら、いじめる側なのかも?って。ちょっと病的ですよね」
「そうだね〜。正直、そこの部分に焦点を当てたことはなかったからね。そこまで来ると、「いじめ恐怖症」だね。乱暴=いじめ。これだけになってしまっている可能性はあるよね。なぜ、乱暴になったのか?そこを考えることの方が大事だからね」
「まあ、確かにいじめられっ子の数以上に、いじめっ子のほうがたくさんいるんですもんね」
「そうだね。いじめられっ子の親より、いじめっ子の親のほうが断然多いんだもんね。実際に、いじめっ子といじめられっ子が目の前にいたら、いじめられっ子を救うことが先だしね。いじめっ子に関しては、自分で気づくしかない部分が大きいしね。大人が止めろと言っても、素直に止めるような子だったら最初からいじめはやらないよね。しかも、その親か〜。でも、親が、子供のそういった”心の毒”を早期に摘み取ることができるのであれば、いじめっ子の数はもしかしたら今よりは減るのかもしれないね」
いじめる側はいじめを知ってもほぼ対応しない現実
今回のテーマを考えるきっかけになったのが、このやりとりでした。
「いじめっ子の親とは、こういうタイプです」
なんてことは、一概には言えません。
いじめにもいろんなタイプがあるし、子供の性格も千差万別。家庭環境もまったく違えば、親も全然違う。
ただ、わたしたちの娘、音ちゃんが何度かいじめに遭ったとき、その親が学校の先生や奥さんから、
「おたくの子供がいじめをしている」
と、指摘されても、親が何か対策を取るという姿はほとんど見てとれなかった気がします。それどころか、反省すらしない。いじめをしていた子も、ターゲットを娘から他の子に変えただけでなにも変わらなかった。
それが、正直な感想です。
はっきり言うと、
「子も子なら親も親だな」
そのたびに思いました。
まあ、いじめられている自分の子供の心のケアに一生懸命で、いじめている側の親の態度なんてどうでもよかったと言えばそれまでなのですが。
「いじめ」という言葉を聞いたとき、親がまず最初に心配するのは、「自分の子供がいじめられてはいないだろうか?」です。それに対し、「もし、いじめていたら?」。そう聞かれて最初に感じることは、さきほどのわたしの友人の言葉に尽きるのではないでしょうか?
「放っといたらいいじゃないか。いじめられてるわけじゃないんだから。いつかやめるよ」
そこで、安心してしまうのが、親の本音ではないでしょうか。
つまり、
仮にいじめていても、いじめられる側じゃなければいい。
いじめられるくらいだったら、いじめる側にいたほうがいいに決まっている。
本心はそう思っている親がたくさんいるように思います。
もちろん、そんなこと、誰も口に出して言うはずありませんよね。そんなことを言ったら大バッシング大炎上です。でも、本心はそうなんじゃありませんか?
だって、想像してみてください。「いじめっ子」の親の中に、子供のしつけに熱心な親御さんがどれくらいいると思いますか?
しつけの基本中の基本は、
「他人を傷つけないこと」
です。その基本中の基本ができていないのです。その親が子供のことをしっかり見守っているとは思えない。
親が、そのレベルの想像力だけで子供の生活を見て、想像しているから、親も子も、いじめられている子供の気持ち、親の気持ちがわからない。
もちろん、それだけが原因ではありませんよ。一要因としてです。
「いじめっ子」の向こうには、常に「いじめられっ子」がいる。
そこまで想像が及ばない。完全に、想像力の欠如です。
「いじめっ子」も「いじめられっ子」も、「いじめ」の当事者であるという事実を、「いじめっ子」側の親は、子供が直面している現実問題として捉えていないのです。
いじめっ子の父親はほぼいじめを問題視してない現実
子供がいじめられたら、父親が、学校や相手の親の元に出向く話はよく聞きますが、いじめっ子の父親がしっかり出向いて子供に謝らせる。子供と一緒に詫びを入れるといった話を聞いたことはほとんどありません。
これは10年ほど前の、わたしの友人の話です。
友人は強面で巨漢です。若い頃には空手をやっていました。性格はとても穏やかで、喧嘩をしたことはないそうです。自分の身体が凶器になってしまうということをしっかり理解しているということでしょう。だから、相手を威圧するような態度は決してとりません。かえって物腰が柔らかすぎて、「本気で怒ったら怖えだろうな〜」と、感じることはありますが。
そんな彼には息子が一人。
やはり、父親に似て同級生の中では幼稚園の時から身体一つ分、他の子より大きい。生まれながらに腕っ節も強いので、小さい子同士、おもちゃの取り合いなんかになると、どうしても、勝ってしまう。絶対に、負けない。結果、相手の子を泣かしてしまうそうです。
友人の奥さんは、そのことを大変心配していました。
「このままだと、いじめっ子になってしまうかもしれない…」
その心配はわかります。でも、
{力が強い=喧嘩が強い}
ですが、
{喧嘩が強い = いじめっ子になる確率が高い} ではない!
親の決めつけが一番危険ですからね。
冷静に考えれば、こんなのいじめでもなんでもないんです。喧嘩になると、力の強い子が勝つ。当たり前のことなんです。そういう経験を繰り返すこともわたしは必要悪だと思います。
成長の早い段階で、その必要悪を経験することによって、
「力で相手をねじふせるのはいけないことだ」
とか、
「手を出すのは卑怯だ」
と、いうことを、自分で学んでいくんです。その過程で親がしっかり、
「あなたは他の子より身体が大きくて力が強いんだから、いじめられている子がいたら、助けてあげてね。弱い子を助けられる人が一番かっこいいんだよ」
そういう言葉をかけてあげる。
それが、教育なんです。
当然、友人もそのように考えていました。
「うちの奥さん、ちょっと神経質すぎるんだよね。母親が息子に干渉しすぎると、ろくなことないよ」
「確かにね。心配する気持ちはわかるけど、干渉しすぎはよくないね。いじめかどうか?その境界が難しいのも事実だけど、小さいうちは、しっかり見極めないとね。小さいうちに、子供のそういった変化に対応できる感覚を身につけないとね」
結局、奥さんは、息子さんを「穏やかな優しい子に育って欲しい」と、彼の反対を押し切って有名私立幼稚園に入れました。
「そんなところに入れたって変わらないと思うんだよ。周りがそういう子だったら、なおさら調子に乗って、お山の大将みたいになるんじゃないかな〜」
友人の杞憂は、現実となりました。乱暴者とは言わないまでも、絶対的なリーダー格に。だからといって手を出すわけではないので、幼稚園から呼び出されることはありません。「お友達を叩いたりしてない?」と、聞くと、「叩いてないよ」と、息子は答える。奥さんは、「よかった、よかった」と大満足。
しかし、彼は、
「叩かなくても、十分、威圧できるからね。手を出してないだけで、いじめに近いんだよね、実際は。でも、女性はわからないんじゃないかな。男の子のあの微妙な感じ。ああいうタイプは、本当は、もっと普通の保育園でグチャグチャに揉まれたほうがいいんだけどな〜」
友人の杞憂は、やっぱり現実となりました。
幼稚園卒業後、小学校は夫婦で相談して、地元の公立小学校へ入ることになりました。奥さんは私立に入れたかったのですが、
「地元の普通の小学校で過ごさせたほうが絶対にいいよ。喧嘩だってしたほうがいいし、いろんな子がいる普通の学校が一番いいって」
そう言って、なんとか説得して。ちなみに、彼の奥さんは小学校からお受験をしてずっと私立の女子小学校からエスカレートで高校まで行きました。
彼は、ずっと大阪の公立で、二人は、東京の大学で知り合ったのです。
「俺のようにお金をかけてなくても、奥さんのようにお金をかけて育っても結局、ゴールは一緒。お金をかけるだけ馬鹿らしい。子供は勝手に育っていく」
息子も私立の幼稚園で穏やかな子に育ってくれたことだし、公立でも大丈夫かな?
一抹の不安はありましたが、奥さんも納得してくれました。
学級崩壊、そして、いじめっ子の親と知った例
彼の息子が小学1年生になって数ヶ月経ったころ、わたしは何気なく学校のことを聞きました。
「子供、小学校にあがってどう?うちの娘もいずれは小学校に行くわけだし、今の小学校ってどんな感じなのかな?」
彼が住んでいるのは別の市町村です。公立小学校の現状について聞いてみたかったのです。
「先日、授業参観に行ったんだよ。学級崩壊がいたるところで起きているとは聞いていたんだけどね。すごかったよ!」
「学級崩壊が起きてんの?」
「えっ?風のところは起きてないの?そりゃ、先生優秀だわ!」
「詳しくは知らないけど、起きてないと思うな〜。起きてるのが普通なの?」
「普通だと思うよ」
「で、具体的にどんな感じなの?」
「聞いてよ!」
彼によると、数日前、授業参観に行ったそうです。教室の後ろにはたくさんの親御さんが陣取っています。授業が始まり、先生が話し始めても、子供たちの私語は止まりません。
(授業、もう始まっているのかな?先生、勝手にしゃべってるけど)
そんな感じだったそうです。一人の男の子が突然立ち上がり、何も言わずに廊下に出て行きました。すると、今度は別の男の子が床に寝転がったそうです。先生は何も言いません。さすがにその子の親が、
「なにやってるの!」
と、叱ると、
「疲れた〜」
と、男の子はゴロゴロ転がっていたそうです。
(なんだこれ?)
今度は、自分の息子が立ち上がって、やはり何も言わず、こちらに手を振りながら廊下に出て行ったのです。彼は息子を追いかけ、廊下に出て、
「どこ行くんだ?」
と、聞くと、
「トイレ」
と、返事。そして、戻ってくるとそのまま自分の席には戻らず友達のところに行って話し始めたそうです。その間、先生はそういう生徒をガン無視。親は親で、勝手に子供の席に近づいて、何やら話しかけたりしている。隣のクラスの子がやってきて、廊下から声をかける。それでも先生は何も言わない。
「これが、1年生のクラスで行われているんだよ。もう終わってるよ。今の小学校は。だから、嫁は私立に入れたがったんだなって。しかも、うちの息子が崩壊に積極的に加担してたからね。すげ〜恥ずかしかった。しかも、うちの息子、いじめっ子っぽいし」
「なんでそう思った?」
「だって、トイレから戻ってきたら友達のそばに行って、友達の横の子を睨んだら、その子、席を息子に譲るんだよ。あいつ、私立幼稚園で妙に賢くなっちゃってさ〜。私立幼稚園の先生って厳しいじゃん。だから、見つからないように手を出さなくても声を上げなくても威圧する術だけは覚えちゃったみたいでさ。あれ、完全にイジメてるな。あ、やっぱりそうなるか〜って」
「それ、ダメじゃん」
「もちろん、家に帰ってど突きましたよ。おまえふざけんなって。でも、あれ、学校が悪いよ。家でどんなに叱っても、学校でやりたい放題だから」
「でも、いじめは親がしっかり言ってあげないとね」
「もちろん、言いますけど、まあ、いじめられてるわけじゃないし」
「でた!おまえみたいなそういう親がいるから、いじめが減らないんだよ!怪我させたらどうするんだよ。責任取れるのか?」
「たしかにそうですね。そうだそうだ。ちゃんと言わないとダメですね」
自分の子供がいじめの加害者とは認めたくない親
これ、友人との10年前の会話です。
自分は父親としてきちんとしている。そう思っていても、
「いじめられているわけじゃない」
そこで、ひとつの懸案事項が解決し、安心してしまって、
「いじめをしている」
と、いうことを知っても、
「時間が経てば、やめますから」
でも、その間、いじめられている子供はたまったものじゃない。
そこに、きちんと気づけないようだったら、ダメな父親なんです。
最近では学級崩壊という言葉をあまり聞かなくなったので、あの当時に比べればずいぶん減ったのだと思いますが、わたしの娘が通っている公立小学校の隣の小学校では、今でも学級崩壊は起きているそうです。
学級崩壊というレベルの話になると、親と学校の連携だけでなく、行政をしっかり動かしていかなくてはなりませんから、一概にこうするべきだということは言えません。個別にしっかり聞き取り調査をして、根本的に考え直さなくてはならない問題です。
わたしが、ここで申し上げたいことは、
子供がただ乱暴なだけなのか、いじめっ子なのか、親がしっかり見極めなくてはならないということです。
男の子は、乱暴な生き物なんです。
身体の大きな子や、力の強い子は、成長の過程で自分の力を試したくなります。周りの子に試して、自分がどれだけ強いのか知りたくなるのです。
力が弱くても、口の達者な子も同じです。周りの子に対して、口で喧嘩をふっかけて、言い負かそうとします。そして、自分の話術で相手を負かすことができるのか、どれだけ、強いのか知りたくなるのです。
安心してください。
それは、いじめでもなんでもありません。
成長の過程に過ぎないのです。
でも、
「自分の子供が乱暴者に…。どうしよう?」
「他の子どもをいじめてるかもしれない。どうしよう?」
母親の悩みは尽きません。どうしましょう?
話の続きは、いじめっ子の親にならないために【ママ友と子供のいじめ2】をご覧くださいませ。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
心の冷えとりコーチングにご興味の方はこちらもご覧くださいませ。
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。