悪いことをしたら謝るというのは、小さい頃誰もが教えられること。
でも、男性って謝りません。
悪いことをしても、それをなかったことのようにするのが男性です。
それは自分に悪いことをしたという自覚がないからなのです。
女性は、ひどいことをされても我慢しがちですが、声を上げていかなければ、あなたのように嫌な思いをする女性がいつまでたっても減りません。
今日の記事は、ハラスメントされたらどうするべきかについて、ハラスメントされやすい方に向けて書いたものです。
謝れない男
『また、ハランスメントされました!』のその後です。
NPO法人と都内のある区が企画した子供が自然と触れ合うというイベントに参加するためにオリエンテーリングに参加した茜さんが、担当者の男性からハラスメントを受けた話を書かせていただきました。
男性が作成し、参加者全員に渡した名簿にわたしと茜さんだけ年齢が書き込まれていて、それを回収するようにお願いした茜さんを全員の前で「うるさいおばさん」と言い放った上、さらに主催者の一人の区議会議員が茜さんのところに来て謝罪している時、彼はそばにやって来て謝罪するどころか、
「グチャグチャ言ってるけど、なんなんだ!?」
「やっちゃったもんはしょうがないだろ!謝ったんだからいいだろう!」
「だ・か・ら! 謝ったんだし、やっちゃったことなんだし仕方がないだろう!もう回収したんだし、何が気に入らないんだよ!」
何度も茜さんを恫喝し、その態度に堪えきれなくなって不覚にも涙を流した茜さんの姿を目にして、慌てて逃げた78歳の男性の話です。
イベント当日、集合は朝7時半。区役所に集合して送迎バスで1時間半かけての移動です。
集合場所のバスの前には二人の男性と女性が立っていました。一人は例の男性です。もう一人の男性は区議会議員です。先日、茜さんに謝罪した女性の区議会議員はいませんでした。もう一人の女性は最初に茜さんに謝罪した事務の方です。彼はテンガロンハットを被り、革ジャンに革のパンツを履き、スタイル良く、まっすぐな姿勢でスッと立っています。
「おはよ〜!おはよ〜!」
次から次へとやってくる親子連れに大きな声で挨拶をしています。78歳とは思えない若々しさです。私が描いていた女性を恫喝するような男性のイメージとは全然違っていたので、ちょっと意外な感じでした。
まず、娘の音が彼のところに勢いよく走って行きました。
「おはようございます!」
音がそう言うと、
「おう!おはよー。元気いいな。名前は?」
「風音です!」
「かぜ……、!」
そう言うと、ギョッとした表情になって視線がこちらに向きました。すると、へりくだったような笑顔を見せながら、
「やあやあ、ははははっ」
照れ笑いのような、何かをごまかすような笑い声。
「おはようございます」
私がそう言って挨拶をすると、
「イエーイ!」
そう言いながら両手を頭の高さに掲げてハイタッチしようとするのです。
思わず「はあ?なんだこのおっさん」と、怪訝な表情になったわたしの態度に(ハイタッチしてもらえない)。とっさにそう思ったのでしょうね。そのままわたしの横を素通りし、わたしの後ろにいた茜さんにその掲げた手で肩を叩こうとしたのです。茜さんはそれをスッと避け、彼をキッと睨みました。
すると彼は、
「ああ、こないだは…ねっ!すまなかったね。まあ、そういうことだから。ねっ!」
そう言いながら再び、茜さんの肩に手を伸ばしてきます。茜さんは後ずさってその手を避け、彼を睨みつけたままバスに乗り込みました。
その様子をじっと見ていたわたしに気づいているはずなのに、彼はもうわたしのことを見ようともしませんでした。
参加者の親子が次々とやってくるので、わたしも何も言わずにバスに乗り込みました。
「”すまなかった”ってなに? 謝るなら”申し訳ありませんでした”でしょう!」
わたしの横で茜さんが小さな声で毒づいています。
確かに、『すみません』という言葉には、謝罪の意味も含まれますが、感謝とか依頼の意味も含まれています。そういう意味では、謝罪の言葉ではあるけれど、”誠意のある謝罪”とは、言い難いのかも知れません。
謝罪の気持ちをきちんと伝えたい。そういう思いがあるのなら、せめて、
「先日はあのような態度を取って申し訳なかった」
そう言うべきでした。
しかし、彼の謝罪の言葉には誠意が全く感じられませんでした。
その証拠があの動きです。
彼は、茜さんが避けたので未遂に終わりましたが、茜さんの両肩に両手をポンッと載せようとしたのです。その直前、わたしにはハイタッチしようとした。
茜さんには一応「すまない」という言葉で自分なりの禊を済ませた感を出しましたが、わたしに対する謝罪の気持ちは微塵もなかったということです。
それはどういうことか?
要するに、
彼が謝罪らしき言葉を口にしたのは、茜さんに対する暴言に対してであり、茜さんを泣かせたという結果に対してです。わたしと茜さんの個人情報を漏洩してしまったことではないのです。
個人情報を漏洩させた上に暴言を吐いてから一週間の猶予期間があったにも関わらず、上記のような態度しか取れないとは……。あまりに情けない。
一連のトラブルのそもそもの原因が、「組織としての個人情報の管理の杜撰さ」が、原因です。
そこの部分に全く意識が及んでない。反省が、彼には全くないのです。
併せて、彼の横には区議会議員が立っています。彼も当日の説明会にはいました。しかし、彼から謝罪の言葉は一度もありません。あくまで、他人事を装っています。
そうです。あくまで装っているのです。
「すまなかった」
彼が、そういったとき、議員は横に立っていました。しっかり横でその様子を見ています。どういうことか?もうお分かりですよね。
78歳の男性は、茜さんに暴言を吐いたことについて、
「改めてきちんと謝罪しなさい」
と、議員から忠告を受けたのでしょう。そして、きちんと謝罪するのかどうか、女性議員が監視したところで埒があかないので、男性議員が監視役として隣に立っていた。だから、彼は、イヤイヤ謝らされた。
それが本当のところでしょう。
(俺は謝れと言われたから謝ってやったんだ)
それが彼の本音ではないでしょうか。
わたしの考えすぎでしょうか?
しかし、そう思いたくなくても、そう思わざるをえないような出来事が次から次へと起こります。
姑息な奴は、どこまでも姑息
バスに乗り込み、移動中、そして、現地に着く間、彼はこの日の行程についてや山の中での注意事項などを説明するのですが、説明が下手なのか言っていることがわからない箇所が何度もありました。まあ、要領を得ないわけです。その都度、女性事務員が横から補足という感じで説明するのですが、彼女の説明が終わるたびに、彼は、
「おばさんが横からいろいろうるさくてすみませんね〜。みなさん、今の説明で分かりましたか〜?』
そういうことを必ず言うのです。事務員の女性のことを、わざとらしく、
「このおばさん」「うるさいおばさん」
と、連呼する。
なぜ、”わざとらしく”。そう感じたのか?思い出してください。
「また、ハラスメントされました!」で、彼は茜さんのことを「うるさいおばさん」と言いました。謝罪した女性事務員は、
「彼は、わたしのことを”うるさいおばさん”と、言ったのであって風さんのことではありません」
とっさにそう言い訳をしました。その言い訳をうまくスケープゴードに使ったのでしょう。
「うん。その時の言い訳、使えるじゃん!上手い上手い」
と。
だから、ことあるごとに彼は、女性事務員のことを「おばさん」「うるさいおばさん」と連呼するのです。茜さんに聞こえるように。
「ほら、あなたのことじゃないでしょう?あなた、勘違いしたんですよ」
と。
姑息ですね〜。本当に潔くないし、小さい。「おばさん」というフレーズを何度も何度も聞かされるママ達の気持ちにも思いが全く至っていないということですから、お粗末極まりない。
「みなさん!わたしは女性蔑視主義者です!」
と、声高に叫んでいるようなものなのですから。
周囲のフォローがダメ人間を保存し続けるパターン
つまり、3日間、彼の態度は一貫してこんな感じでなのですから、彼に話しかけられたママ達は失笑するしかない。挨拶もそこそこにボデイタッチは当たり前。子供のことは、すぐに、
「おまえな〜!」「おい、おまえたち!」
と、名前を覚える気すらない。
例えば初日、一人の女の子がアスレチックのアトラクションから落下するという事故が起きました。幸い、怪我には至らなかったのですが、翌日も、その子は落ちてしまったのです。彼は、その場にはいなかったのですが、帰るときに全員が集合した時、彼はその子に向かって、こう言いました。
「おまえ、今日もまた落ちたんだって?バカだなあ。二度も落ちねえぞ〜ふつう」
そう言いながら女の子の頭をポンポン叩いている。女の子は照れ笑いを浮かべていました。
わたしは、(明日、女の子は来るかな?)少し心配になりましたが、来てくれたのでホッとしました。
大人に抵抗できない子供に向かって、あのような無神経な言葉を吐くことが、大人の愛情だとか、大人の余裕だと勘違いしているのでしょう。
そういう無神経な大人が、
「強い子供を育てるために自然に触れ合うことが大事なのだ!」
と、声高に叫ぶから、結局、周りの気がつく大人たちがフォローしなければなりません。そう言った周りのフォローがあるばかりに彼は永遠と自分の愚かさに気づくこともないのでしょうが。
イベントの3日間、その女の子が二度落下した以外は、大きな事故もなく、無事に終わりを迎えました。
結局、彼が娘に声をかけることはあっても、わたしたち夫婦に声をかけてくることは一度もありませんでした。
わたしも彼に苦言を呈することはしませんでした。
わたしは彼という人間をずっと観察していました。彼が茜さんに放ったような爆弾を、いつ、ママ達や子供達に投下するかきちんと監視していました。もし、そのようなことがあったら、その時はもう許さない!そういう気持ちで。
しかし、彼は3日間、終始、ご機嫌でした。自分の行いに注文さえつけられることがなければ、こういうタイプの人間はいい人でいられます。
つまり、おだててさえいれば、問題は起こさないのです。
それが、ひとたび、自分の行動に注文をつける人間がいれば、態度は豹変します。それが、例え自分の落ち度が招いたことであっても、変わりません。
基本的には、自分の非を認める気持ちはないのですから。
彼はそういう人間なのです。
結果、3日間、子供達が楽しい気持ちで過ごせたのだから、このイベントに関しては良かったと思っています。
ただ、彼がこのような活動を続けている限り、今後また茜さんのような犠牲者は生まれるでしょう。それだけが気がかりではありますが。
女性たちに光を灯す役割
「それにしても、どうして、わたしっていつもこういう目に遭うのだろう?もちろん、自分で引き寄せていることもたくさんあるとは思うよ。そういう時は、「わたしが悪いんだ。反省しなくちゃ。」って、思うようにしてる。でも、今回のことって、どう考えてもわたしに非はないでしょう? 名簿の個人情報漏れなんて。なんでよりによって、うちの家族のものだったんだろう? いつも私なんだよね。こういうことってものすごく多いんだよね。なんなんだろう?」
茜さんは、知人に話しました。その知人の答えに茜さんはスッと腑に落ちる思いがしたと言います。
「それは、茜さんは、自分の体験を多くの女性に伝える役割を与えられているからじゃないかしら?」
「役割?」
「そう。人には、それぞれ役割があると思うの。人を癒す役割を与えられている人や楽しませる役割を与えられている人。社会を大きく変える役割の人もいる。そんな感じ。だから、茜さんには自分のつらい体験を通して同じような体験をした人を救う役割が与えられているんじゃない?」
「そうか! だから、わたしはどんなつらい体験をしても乗り越えられるんだ」
「そういうことだと思う」
「なるほど!」
子供の時代からの親の不仲。貧乏。父親の暴力。病気。アトピー。喘息。就職。転職。子育てに悩んだこと。子供のいじめ問題。セクハラ。モラハラ。パワハラ。そして、今回のハラスメント。
確かに、茜さんは、さながらトラブル雑貨店の店長さんのようです。
ある人から、こういうことを言われたこともありました。
「もし、他の女性が茜さんと全て同じ体験をしていたら、何度自殺したかわからないよ。それだけ、茜さんは強い人だから、その分、弱い人を助けてあげなさいと言われているんだよ」
そういう話を踏まえてというわけでは全然なかったのですが、気がつけば、わたしはこういう話をブログで書いています。
不思議だな。面白い展開だな〜っとつくづく思うのです。
と、いうのも、茜さんは、人前に出て話をしたり、多くの人が集まるような場所に出向くことがとても苦手です。
いくらそういう体験をして、彼女が克服してきた過程を多くの女性に伝えたほうがいいと言われても、そういうことが彼女はとても苦手なのです。
それを、気がつけば、わたしが補うようなことをしている。
いや〜、人生って、正直に真面目に一生懸命生きていると、うまく繋がっていくもんだな〜。
そう思うのです。
だから、わたしは書かなくてはならないのです。茜さんに起きた不幸な出来事を。それは、茜さん一人の問題では、すでにないのですから。彼女に起きている出来事はいわば、社会の縮図です。実際に女性の身に起きている社会問題です。
それを一つ一つ紐解いて、熟考し、ようやく見えたものがほんの小さな光でも、その光を多くの女性に渡していかなければならないと思っています。
もしかしたら、その小さな光でも、受け取った方にとっては大きな光となってくれるかもしれません。
その可能性が少しでもあるのなら、そこに全力を注ぎ込むのが、わたしたちの使命だと思っています。
だから、わたしは書くのだ!
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。