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「病気で働けない素人が始めた株式投資失敗談」心の冷えとりコーチング6

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30代前半で脳腫瘍になり、外科手術をした私は予後の回復まで3ヶ月働けない状態になりました。会社員と違って、フリーにはなんの保証もありません。その時私はお金が入ってこない恐怖もありましたが、別のことでお金を稼いでやろうと思いついたのです。

それが株式投資でした。最初はみるみるうちにお金をすってしまうという体験もしましたが、次第に法則を掴み、自分に4つのルールを課しました。

今日の記事は、全くの素人が株式投資を始めて失敗してしまった体験をおはなしします。

9.11後の大暴落で株をすることを思いつく

手術後、わたしは毎日、リハビリの日々を送っていました。

平衡感覚がなくなり、めまいと頭痛がひどく、左耳の聴力を失ったことにより、生活音がどの方向から聞こえてきているのか、全くわからなくなりました。

そのため、昼間はただ目を開けて起きているだけでも刺激が強すぎて辛く、ただ歩くということすらできませんでした。

できることと言ったら、茜さんに買ってきてもらった株の本を2時間くらい読み、疲れたら寝る。目が覚めたらお笑い番組や映画を観て心穏やかに過ごす。

夕食後、人通りの少ない住宅街を選んでゆっくりと2時間くらいかけて歩きながら外の世界に徐々に慣らしていく。

そういう生活でした。

そんな時、あの日がやってきたのです。

今でも忘れない9.11。

アメリカ同時多発テロ。

散歩から帰り、テレビをつけてみると、ニューヨーク貿易センタービルから煙が上がっていました。学生時代、初めて行った海外旅行で展望台に登ったあのビル。

「なんだこれ?火事?」

その直後、飛行機が飛んできてもう一つのビルに激突。

「戦争だ!」

茜さんに向かってそう叫んだのを覚えています。

と、同時に、当時の私は株の勉強ばかりしていたので、不謹慎にも、こうも思ってしまいました。

「ダウが大暴落するな〜。円高に振れるな〜。てことは、底値で買えば儲かるってことだな〜」

予想通り、ダウは大暴落。1ドル121円台で推移していた為替相場は116円台まで上がりました。

しかし、ひと月後にはダウも為替相場もテロ前の水準にまで回復します。予想通りでした。

「相場って、こういうことなのか」

この出来事がきっかけとなり、株を始める決心がついたのです。

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株式投資は欲張りとの闘い

茜さんにお願いして、50万円を引き出してもらい、株式投資の実践を始めてみることにしました。

四季報や雑誌やネットの掲示板やチャートを見て、目をつけていた2銘柄に絞り、いざ株式投資開始。

結果は、わずか1ヶ月で50万円が15万円になってしまいました。

あっという間。なす術なし。

価格が上がるとつられて買い、下がり始めると慌てて売る。その繰り返しで、後手後手の売買で結果は明らかでした。

「シミュレーションでは予想はすべて的中したのに、実践だと全然上手くいかない。なんで?」

なぜ、そうなってしまったのでしょう?

答えは、非常に簡単でした。

感情に大きく左右されてしまったからです。

その感情とは?

欲張り

でした。

シミュレーションでは損も得もしません。数字は金額ですが、投資しない限りはただの数字。小さい数字で買い、大きな数字で売ってその差額を競うゲームに過ぎません。

負けても別に悔しくない。だって、損しませんから。

でも、自分の投資した泣けなしのお金が動くとなると、状況はまったく違いました。

数字が大きくなれば、その尻馬に乗ろうと慌てて買い足しました。欲張りです。買えば、どういうわけかその瞬間から金額が下がり始めるのです。またたく間にマイナスになります。

次こそは、同じ失敗を繰り返さないようにと注意してもやっぱり同じように買って損をする。

私のような素人の買うタイミングを見計らって売り始めるベテランさんに簡単に食われてしまっていたのです。

「底値で買えばいいんだ。あとは上がるばかりなんだから」

頭でわかっていても、下げ続けている株を買うには勇気がいります。結局、下げている局面では買えない。下げ止まり、上がり始めたなというところで欲が張って手を出して、結局、また下げが始まる。

「ダメだ〜」

と、思っていても、

「ここで売ってしまったらマイナスが確定してしまう」

と、今度は売る勇気が出てこない。その間も下げは止まりません。欲が張って負けを認められないのです。

「ああ、あの時にさっさと売っていればよかった。気づいていたのに…」

結局、たった1ヶ月で35万円もの損失。たった1ヶ月で70パーセントもの損失を出してしまったのです。つまり、毎月30万円ものお金がただただなくなる生活を送っているのに、その月はたった1ヶ月で65万円の出費。

「株って恐ろしい〜」

と、同時に、

「でも、ちゃんと勉強して知識さえあれば、あとは、自分の気持ちのコントロールさえできれば、絶対に勝てるということだよね」

その確信に近づいていました。

つまり、

「私の損失は、株の仕組みや勝ち方をわかっていないからではなく、欲張るからだ

欲張りにも2種類あると思います。

「欲しがるばかりでリスクを負わない、ただの口だけ欲張り」

と、

「欲の皮が突っ張るくらいの張りなのだから、リスクもしっかり負えるほどの、欲張りとしてのプライドのある欲張り」

だったら、後者になれば良いのです。

後者になれないのであれば、欲の皮など突っ張ってちゃダメなんです。

「よし、人生一か八か!とことん、欲張ってやろうじゃないの!」

そういう結論に達したのです。

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病気で稼げないから株式投資に必死になる

ここから、口座に残った15万円を50万円に戻すにはどうすれば良いのか?

そのことだけを、考えることにしました。

「とりあえず、負けない。負けを負けで終わらせない。負けは必ず取り戻す」

株式投資にはいろいろなやり方があります。

本来は、自分が応援したい企業の株を買う。将来が見込める企業の株を買う。株主優待を受けるために株を買う。

それが健全な株式投資だと思いますが、私にはそういうのはまどろっこしくて興味がありませんでした。

一番興味があったのは、デイトレ。

デイトレとは、1日に何度も数種類もの株を売り買いして、トータルでプラスにするという株取引です。

ある意味、確実に利益を出すには最も効率が良い方法です。

しかし、普通に仕事をしていたら、デイトレはやりたくてもできません。

でも、私には時間だけはいくらでもありました。

しかも、わたしの目的は、はっきりしていました。

そもそも、なぜわたしは株をやるのか?

放ったらかしにしたタンス預金を運用するためではありません。

お小遣いを増やすためでもありません。

欲しいものを買うためでもありません。

生活のためです。

日々の暮らしのためでした。

働けないこれからの1年近くの歳月の生活費を稼ぐためです。

家族が食べて行くための唯一の手段が、この株式取引だったのです。

だから、プラスマイナスとんとんだと、意味がないのです。

少なくとも、1ヶ月に30万円は稼がなくてはなりませんでした。

絶対に!絶対に!絶対に!利益を出さなくてはならない!

必死でした。

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考えたことは4つだけです。

まず、一つ目は、

短期間で確実に利益を生むためにはリスクを取らなければならない。

いわゆる安定株に投資をしていたのでは、いくらデイトレをやっても大きな利益を生むことはできません。1日で株価が大きく上下動する銘柄に絞りました。

二つ目は、

情報源を絞る。

情報源が多すぎると、迷う原因にもなります。

会社の業績がいくら良くても、なぜか下がり続ける銘柄。今はずっと上昇を続けているけれど、常に黒い噂が絶えず、掲示板では「暴落」という言葉が連呼されている銘柄。また、意図的にそういう噂を流して株価操作をしている集団もいるという話も聞きます。雑誌では、毎日のように専門家による株価予測がされています。専門家によって予測が全く違うのも株の醍醐味と言えますが、結局、そういう情報を目にすればするほど、わたしのような欲の張った人間は目移りするだけでした。

だから、情報源を一つに絞ることにしたのです。

それが、チャートでした。

チャートとは、グラフの事です。株価の推移を折れ線グラフで表したものです。

わたしはチャートブック(毎週発売)を買い、チャートブックだけを分析して、特徴の分かりやすいチャートを選び出し、そこに投資をすることにしました。

チャートには、企業の業績も業績予想も人の感情も余計な要素は一切含まれていません。

ただの折れ線グラフです。そこにあるのは過去の数字。わたしは折れ線グラフのパターンを読むことだけに集中しました。

そして、三つ目は、

チャートの中で、1日の振れ幅の大きな銘柄に絞る。「値幅」と言いますが、例えば、¥330の銘柄があったとします。その日の取引の値幅制限は¥250〜¥440となります。つまり、この値段の中で取引しなさいと決められるわけです。

もし、¥250で1000株買って、¥440で売ることができれば、¥190000の利益が出ることになります。

そのようなことは、宝くじに当たるくらいの確率でほとんどありえませんが、理論上はそういうことになります。そういう値動きをする株に集中して投資をするようにしたのです。

ただ、こういう株は、いわゆる優良企業の株では起こりえません。企業業績が慢性的に悪かったり、業績に大きな変動がなく、市場からほとんど注目されていなかったりで、デイトレーダーたちの金儲けの場になっていたりします。

やはり、リスクがとても大きいのです。

そして、四つ目。

ここが、一番、肝心なところ。

考えない

とはいえ、もちろん、チャートを分析します。そして、いくつかの候補の中からその日の銘柄を選定します。それまでは目一杯悩み、目一杯考えます。

時計の針が午前9時(市場が開く時間。市場は午前9時〜11時半、午後0時半〜午後3時)を回った瞬間に、考えるのをやめます。

パソコンの画面上に現れた幾つかのチャートを見つめ、当初決めていた価格になったら買い、目標の価格になったら売る。爆上げしていても売る。

一度決めたルールは守る。

買った価格よりも下がって、当初この価格になったら売ると決めていた価格になったら売る。そして、下がり続けている銘柄があって、その価格が予定の価格まで下がってきたら買う。買っても下げが止まらず、決めていた価格になったら損をしても売る。

市場が開く前に決めていたルールに従って、ただただひたすら数字を見つめて、パソコンのキーを打ちまくる。

そこには、人間らしい喜怒哀楽はほとんど介入してきません。

なぜなら、

考えてないのですから。

このルールに従って、再度、株式投資に挑戦した結果、すぐに15万円を50万円まで戻すことができました。

いとも簡単にです。

そこで、わたしは茜さんに、現在我が家の口座にある全ての現金を貸してくれないか?と、お願いしました。

毎月、30万円の利益を出すためには、元金が50万円では不可能です。

「絶対に30万円以上稼ぐし、少なくとも借金を作るような投資は絶対にしない。信用してちょうだい!」

そんなにイキルまでもなく、茜さんは、

「いいよ」

二つ返事で、お金を全て引き出してくれました。

「借金さえ作らなければいいんだから」

「取引は現物取引しかしない。だから、手持ちのお金がなくなったら終わり」

「でも、30万円ずつ増やしてくれるんでしょう?」

「うん。それ以上かも」

「自信あるのね?」

「自信だけはね」

「だったらいいよ。どうせ暇なんだし、頭を使うのはリハビリにいいし」

「片耳が聞こえなくなったおかげで、ものすごく集中力がついたしね」

最初は比較的手堅いところから始めて、徐々に、値幅の大きい銘柄にも手を出すようになりました。

ちなみに私は株式投資を始めた2001年頃の日経平均は、7000円代。まさに日本経済暗黒時代の真っ只中です。1999年にIT革命が起きて、一時的に株価が大きく触れることもありましたが、バブルはすぐに終焉を迎え、2001年にはアメリカ同時多発テロも起き、経済はお先真っ暗で、市場も元気がありませんでした。

とはいえ、ホリエモン経営のベンチャー企業「エッジ(のちのライブドア)」の名前が出てきたり、新興市場が勢いをつけてきた時代でもありました。

素人なりに、

「今が底なんじゃないかな〜」

ボ〜ッとではありましたが、そんな期待感が高まりつつあったと思います。

そういう運に恵まれていたというのもあるのでしょう。

私は、確実に利益を出していきました。

当初、1年間と言われていたリハビリ期間も10ヶ月足らずで復帰が叶い、車の運転もできるようになりました。

この株式投資は、体力や運動神経の回復にも大いに役立ってくれました。

全てが、手術前の状態とほとんど変わりませんでした。それどころか、我が家の資産は、私が仕事に復帰した頃には、普通に働く以上に大幅に増えていたのです。

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慢心が自分の株式投資ルールを破る

ただ、仕事に復帰すると、取材中や原稿の執筆中はデイトレを中断せざるをえませんでした。

その分、当然収入も減るし、ミスも犯します。

面白いもので、仕事での収入が増えると、その分、デイトレでの損失が大きくなる。結局、トータルでの収入はそれほど変わらないという状況がしばらく続きました。

パソコンの前に座ると、今や感情をどこかに置き忘れたロボットのようになっていた私は、さらなる効率を考えるようになります。

例えば、

午前中だけで同じ利益が見込める銘柄はないか?

短期間で、大きな利益を生み出せる銘柄は何か?

その結果、導き出した答えは?

株価の低い一銘柄に全額投資する。

例えば、株価が¥50の銘柄があったとします。そうすると値幅制限は¥20〜¥80となります。10000株買うと、理論上1日で最大50万円の利益を生むことが可能になるのです。つまり、運が良ければ50万円の投資で50万円の利益が得られる。利益率100パーンセト。夢のような銘柄です。

事実、当時は、価格の低い銘柄の場合、値幅はかなり大きいものがたくさんありました。

私は、そういう銘柄に1万株単位で取引をするようになりました。50円の銘柄を一度の取引で10万株購入するのです。500万円分です。

そうなると、もう動かしている数字は、私の中ではお金ではありませんでした。ただの数字です。

考えるのをやめた結果、感じることもなくなっていたのです。

ある日、

ある銘柄の良くない情報がネットに書かれているのをたまたま目にしました。わたしはその銘柄を大量に保有していました。市場が開いてその銘柄をチェックしましたが目立った動きはありませんでした。

わたしは自分のルールに則って、今日はその銘柄を動かさないと決めていました。午前中の市場の終わりに近づいた頃、ものすごい胸騒ぎがしたので、その銘柄を全て売ろうかどうか思案しました。

「売るべきか?このまま保有するべきか?う〜ん。とりあえず、お昼ご飯を食べてから午後の市場が開くまでに結論を出そう」

「考えない」

と、決めていたのに、考えてしまったのです。そして、私の中のもう一つの鉄則、これは株に限ったことではなく、すべてに通じる言葉です。

「もし悩んだら、考えず動け!」

この鉄則にもなぜか逆らってしまったのです。

魔が刺す時というのは、後から思えば、やっぱりルールを破っていたりするんですよね。

そして、株を始めて、ほとんど大きな失敗をしてこなかったという慢心が油断を生んだのかもしれません。

お昼ご飯を食べて午後の市場が開くのを待ちました。

いざ、開いてみると、その銘柄には売りが殺到し、値幅制限最大まで値を下げ、それでも売り圧力は収まる気配を見せず、そこから3日連続でストップ安が続きました。結果、私は、3日間で500万円のお金を失いました。

正確には、あの、

「悩んで動かない」

と決めた瞬間に、500万円を失っていたのです。

「動かない後悔は、動いた後悔よりも何百倍も痛い」

だから、

「悩んだら考えず動け!」

常日頃、そう自分に言い聞かせていたのに。

失って気づいたのですが、もうその頃には、「嬉しい」とか、「悲しい」と言った感情はどこかに行ってしまっていて、そこにいるのは、私というただの箱でした。

ただ、数字が減ったということが単純に悔しい。悔しくて悔しくて、私は、失った500万円を取り戻すということだけに囚われてました。

その当時、私は、茜さん曰く、

「瞬きすら忘れたような血走った目をしていた」

そうです。

お話の続きは、「依存症になりかけた株式投資をやめたお話」心の冷えとりコーチング7をご覧くださいませ。

(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)

心の冷えとりコーチングはこちらをご覧くださいませ。

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風宏(Kaze Hiroshi)
この記事を書いている人

風 宏(Kaze Hiroshi)

 風宏

心の冷えとりコーチ

冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。