私は30代前半に聴神経腫瘍で死を覚悟することがありました。その時はまだ家族が奥さんしかいなかったのですが、遺せるものは何かと考えたことがあります。
人間は死を意識すると、人生観が大きく変わります。
死ぬ気になって頑張るということもできます。
死は終わるものですが、生きていれば何度でもトライできるということが身を以てわかった大きな出来事になりました。
今日の記事は、脳腫瘍で死を意識した私が、家族に遺せるものは何かと考え、行動したことについてお伝えするものです。
生まれ変わるとは?
生まれ変わるとは?
文字どおり、「新しい人生を始める」「生き直す」「新しい土地で、新しい仕事をゼロから始める」
そういうことを言うのでしょう。
簡単なことではありません。
でも、
そこまで大げさに考えなくても、実は人生をもっと簡単に変えることはできるのです。
それまでの人生を全て捨てて、新しく生まれ変わることは簡単ではありませんが、「自分の欠点を無くしたい」「明るくなりたい」「ブロックを外したい」。
自分の中のほんの一部だけでもいいのです。
ちょっと変えること(修正すること)ができさえすれば、人生は、今までとは全く違ったものになります。
言い換えれば、
ほんの一部を変えるだけで、人生はガラッと180度、全く違うものになるのです。
そのカラクリを理解している人にとって、人生を変えることはとても簡単なことです。
例えば、今まで朝7時に起きていた人が、「30分だけ早く起きる」と、決心したとしましょう。
1日24時間のうちのたったの30分です。たったそれだけのことで人生が大きく好転することを前もって知っていたら、あなたならどうしますか?
当然、早く起きますよね。辛かろうが、寝不足だろうが、頑張って早起きするでしょう。
でも、それは、必ず好転すると、確約があればの話です。
しかし、その確約を得られなければ、たったの30分でもすぐに挫折してしまうでしょう。人間の意志なんて、所詮、そんなものです。
人間は、
「必ず好転するという確約が欲しい」
のです。
では、その確約を得るためにはどうすればいいのでしょうか?
一番、手取り早い方法は、
「これを実践すると人生が変わる」
「この方法を真似ればお金持ちになる」
と、書かれた本を買い、読む。
過去の偉人や成功者の書いた本を読み、その方法を頭に記憶する。実践する。
その結果、どうなりましたか?
あなたは変わりましたか?
「自分を変えたい」「変わりたい」と、切に願っている方のうち、一体何人の方がこの方法を実践され、この方法で成功したでしょう?
本によって、確かに、変わるきっかけがなんであるかに気づかされます。
「あ!そうか。そんな簡単なことで自分を変えられるのか。目からウロコだ!よし、今日から早速実践だ」
例えば、
「1日の最後、寝る前に必ず、今日起きた素晴らしいことを日記に書いてください。寝る前に良い気であなた自身を包んで寝てください。そうすれば、あなたの人生は必ず好転します」
そう書かれていて、ただ、今日起きた良いことを書けばいいわけですから、ちょー簡単なはずです。
寝る前に、
「子供の笑顔に癒された」
「たまたま入った定食屋さんの料理がとても美味しかった」
二つなら二つだけ書けばいい。時間にして30秒。たったこれだけのことで、人生が変わる。
簡単。簡単すぎる。簡単すぎて忘れてしまいそう。
ほんとに変わるの?
たったこれだけで?
ほんとに?
変わるの?
うそでしょ?
一ヶ月後には何人の人が挫折してるでしょうか?大半の人が挫折してるでしょうね、きっと。
なぜ、続かないか?
人生が絶対に好転するという確約が得られないからです。
これをスポーツに当てはめてみましょう。
体脂肪が50パーセントの人が、痩せたいと願い、痩せたいと決心する。
その場合、やることは決まってます。
食事制限から始まり、毎日決まった距離のウォーキング。ある程度、体が軽くなったら軽いジョギング。そして、ウェイトトレーニング。
それができると100パーセント痩せます。
その事実を疑う人は誰もいないでしょう。目に見えますからね。つまり、
「目に見える。データも沢山ある。その結果、100パーセント痩せるという確約が得られている」
だから、頑張れる。
頑張った結果、痩せられる。その結果、生まれ変わることができました。
結果として、たくさんの努力を必要としたかもしれませんが、最初は、食事制限から始まっているのです。
毎日食べていたアイスクリームを一日置きにしたのかもしれません。
「アイスを1日置きにしただけで本当に痩せられるの?」
最初は、そう思ったかもしれません。でも、それを始めて、継続した結果、大きな成果を得られるようになったのではありませんか?
継続は力なり!
だからと言って、誰だって継続できるわけではありません。持続力は誰にも備わっているわけではありません。
100パーセントの確約を得られても、それを持続する、継続する力や意志がなければ、続けられないのです。
簡単そうで難しい。
でも、その問題を簡単にクリアできる方法があります。
スポーツクラブに行って、トレーナーに指導して貰えばいいのです。
適切なアドバイスをいただき、それに従う。
それだけです。
「トレーナーの言われるとおりにすればいいんだからできるよ」
そうお思いになりますか?
確かにそうですけど、それだけではありません。
トレーナーをつける。コーチをつけることの一番の成果は、
”約束をする”
と、いうことです。
人とのパートナーシップを結んだことによって、あなたの決意は、あなただけのものではなくなってしまったのです。
トレーナーに、
「では、明日から毎日、5キロのウォーキング、デザートは和菓子を1日一つ。必ず約束してください。わたしはあなたができると信じていますよ」
そう言われたら、そう約束をしたら、あなたはそう簡単には約束を破れなくなります。
人との約束は、それだけ大事なものだと、あなたが気づいているからです。
自分との約束を破れても、人との約束は破れない。
人との約束は、それほど大切なものだと、誰もが気づいているからです。
一人で本を買って本に書かれていることを実践するよりも、スポーツクラブに行った方が効果があがります。そこで、パーソナルトレーナーをつければ、さらに効果は確実にあがります。
実際に私は、スポーツジムでパーソナルトレーナーをつけて半年間だけ体を鍛えたことがあります。
私は元来、虚弱体質でガリガリ。肉体に男らしい要素が全くありませんでした。それがコンプレックスでもありました。
「人生、一度きり。一度でいいからマッチョを経験してみたい」
そう思ったら、すぐに行動に移します。スポーツクラブに入会して週一でパーソナルコーチについていただきました。
その結果、
半年間で、体重は10キロ増え、胸囲は10センチ以上増え、特に胸筋部と上腕部は、セーターを着てても筋肉の盛り上がりがわかるほど、マッチョマッチョしました。
しかし、わずか半年間での変身は、本人だけでなく、周囲にも違和感を抱かせるだけで、誰も、
「カッコイイ!」
とは、言ってくれない。茜さんは一言。
「気持ち悪い。だってアスリートでもなんでもないじゃん。人工的で気持ち悪いよ」
そう言われ、自分でも、だんだんそういう気持ちになってきて、
「目標達成したからや〜めた」
やめると、わずかひと月ほどで元に戻りました。
じゃあ、あの努力は無駄だったのか?
いいえ。
脳が、身体が、あの時の刺激を覚えています。食事を憶えています。体の鍛え方、使い方を覚えています。
一度、猛烈に刷り込まれた習慣は、完全に自分の一部になっていました。
あれ以来、私は、就寝前の柔軟、腹筋100回。腕立て伏せ50回を欠かせません。それをやらないと気持ち悪いのです。
マッチョになるような鍛え方はやめましたが、健康を維持するための運動は欠かさなくなりました。
腹筋にも、腕立てにも、正しいやり方と間違ったやり方があります。(そういうこともトレーナーに習うまでは知りませんでした)
間違ったやり方をどれだけ続けても、効果はありません。
正しいやり方を学んだからこそ、効果的に成果を生むことができるようになったのです。
最初の一歩の大切さ
自分を変えるためには、最初の一歩がとても大事です。
「最初の一歩で大きな成果をあげることができれば、それだけで、好転するという確約を得られるのです」
それさえできれば、あなたは簡単に痩せられる。簡単に目標を達成できる。
人生を変えるためには、どこかで大きな負荷を自分にかけなくてはいけません。
そのような瞬間は、必ず訪れます。
必ずです。
それをどの段階で迎えるか?
最初に迎えることができれば、それほど楽なことはありません。
「新しいことをやるのに年齢は関係ない」
よく言われる言葉です。確かにその通りですが、早いに越したことはない。なんでもそうです。
お稽古事でも、受験でも、就職活動でも、早いが勝ちです。
「いつやるの?今でしょう!」
あの言葉は、素晴らしい言葉です。
自分を変えるには、
「今すぐ、最も効果的な方法で一番最初に大きな負荷がかかるように始めるのです。ただ、自分一人で始めてたら、それなりのリスクも伴います。だから、専門家にお願いするのです。そして、パートナーとの約束を果たしていくことの積み重ねで、継続力、持続力をつけていく」
でも、それができない。
なぜでしょう?
お金です。
効率的に、そして短い時間で成果を上げるためには、
投資をしなければなりません。
時間と労力、そして、お金です。
「痩せる」ということだけに限定しても、明らかです。
痩せるための本を買うよりも、スポーツジムに通った方がいい。そして、トレーナーを雇った方がさらにいい。こればかりは間違いありません。
かなり高価な投資です。
成果は10倍以上でしょうが、かかるお金も10倍以上。
ちなみに私は、毎月2万8千円払っていました(スポーツジムの月会費4千円パーソナルトレーナー週1回1時間6千円)
とっても高い。でもあの時の投資のおかげで今の体型と健康があるのだと思っています。トレーナーの受け売りですが、正しい筋肉のつけ方を人に教えてあげることだってできます。
人生も同じです。
私のようなコーチと、パートナーシップを結ぶことによって、それくらい大きな成果を生むことができるし、その成果を実感することができるのです。
しかし、そのためには、お金がかかります。
はっきり言って高い。
でも、これが本当に高いのか?
さて、長い目で見れば果たしてどうなのでしょう?
今まで、痩せるために投資してきた金額と、「トレーナーを雇って痩せたまでの金額を比較してみてください」
どちらの方が安いのでしょうか?
お金の価値とは、そういうのものです。
人生が好転するという確信が持てない段階で、お金を出すことはなかなか難しいものです。
だから、その一歩を踏み出すことができない。
とても、悲しいことです。
私たちコーチにとっても(笑)。
「100パーセント成果が得られます」
いくらそのように主張しても、
「お金を払う前にその確証を与えてください。100パーセント成果を得られるという証拠を見せてください」
それは無理な話です。
馬が出走する前にどの馬が勝つなんて誰にもわからないのですから。
それ以前に、
「やりたいと思うことがあっても、肝心のお金がない」
「欲しいと思うものがあっても、お金が足りない」
「だから、できない」
これほど悲しいことはありません。
お金がないと、人間、とても惨めな思いになるものです。
惨めな思いが強くなればなるほど、人間の行動は、あらゆる面で消極的になっていきます。
そうなると、人生を好転させることは、なおさら難しくなってしまうでしょう。
そうならないために、そのために、
お金とは、常に能動的に付き合う習慣をつけることが大切なのです。
本当に本当に、大切なことなのです。
脳腫瘍の術後のわたしとお金
さて、わたしとお金遍歴のエピソードに戻ります。
脳腫瘍の発見からひと月後には摘出手術を受けることになり、術後1年間の休養とリハビリが必要であり、休養後も復職できる可能性はほとんどないと言われてしまったわたしですが、死ぬことは全然怖くはありませんでした。
なぜなら、死はとてもシンプルだからです。
もし、死を宣告されてしまったら、どうしますか?
わたしだったら、甘んじて受け入れたくないと感じたら、とことん生きる方法を考えます。ただそれだけを。受け入れざるをえない状況までステージが進んでいたら、残りをどう生きて、死んだ後、さて人間はどうなるのだろうか?と、思いを巡らすでしょう。恐怖心はすぐに消えて無くなるでしょうね。
今あるこの世界も、茜さんも両親も友人も、わたし自身も全てが無くなってしまうだけですから。
しかし、わたしの場合は、複雑でした。
「生きながらえても、好きな仕事ができなくなる」
そのように宣言されてしまったのですから、これは、死ぬよりも恐怖です。
だからと言って、いくら恐怖を思う存分味わっても、何の解決にもなりません。
結果がどうなるのか、手術をしてみなければわからないのです。
だから、何も考えない。思わない。ただその日が来るのを待ちました。
そして、15時間の手術の後、目が覚めた時、わたしは、字を読むことも書くこともできていました。左耳の聴力や平衡感覚は失いましたが、頭は極めてクリア。耳鳴りと頭痛に悩まされる人生を歩むことになりましたが、わたしは奇跡的に健常者の方とほとんど変わらない生活が送れるまでに回復したのです。
お医者さんからは、
「奇跡的回復力」
と、言われました。
「やっぱり俺は持ってるな〜。つまりは生かされたってことだから、生きてるってことは絶対に、何かを成し遂げろってことだよな〜」
そう思ってしまいます。そう思った方が、ハンディをハンディと感じなくなりますし、そのハンディを楽しむこともできます。
とはいえ、仕事復帰には、やはり時間がかかりました。
わたしは会社員ではないので、その間の収入は一切、途絶えてしまいました。
この時、茜さんも仕事を辞めていたので、完全に無収入です。
入院治療費用は保険でカバー出来ましたが、毎月の家賃20万円。そして生活費を合わせると30万円近くのお金が確実に出て行きます。
茜さんは、この後に及んでも全く焦ってません。
「貯金があるんだからいいじゃん。あなたが一人で歩けるようになったら、わたし働くし。今の日本で若い二人が生きていけなくなるなんてことはないんだから」
ん〜。この人の強さは一体何なんだろう?
こういう時、「何でそんなに平気なの?」
わたしはいつも同じ質問をします。そして、必ず同じ答えが返ってくる。
「人生はなるようにしかならないんだから。だからと言って、何ともならないと思っていたら、何ともならないからね。何とかなるって思ってたら何とかなるもんだよ。まあ、男は弱くて女は強い生き物だからさ」
退院してから数日経ち、リハビリもひと段落したあたりで、わたしはある夢をみました。
祖母の夢です。
祖父(九州男児だった、じいちゃんの ”結婚指輪”)が夢に出てくることは頻繁にありましたが、祖母が夢に出てきたのはこの時が初めてでした。
こんな話です。
日本茶の小売店を営んでいた祖父母。遊びに行くと、祖母が商品ケースの並び替えをしています。高価なお茶を並べていたのです。値段を見ると、一缶100万円とか、150万円とか。びっくりした子供のわたしは祖母に言います。
「これむちゃくちゃやん。こんな値段つけて誰も買わんよ」
「ヒロシ、世の中には相場ってものがあって、これでも安いと思う人には安い。この値段でも買いたいって人がおったら、それが正しい値段じゃ。値段というのは売りたいと思う金額やないぞ。買いたいと思う金額。それを上手につけられる人間が儲けられる。世の中はそういう仕組みになっとる」
「ふ〜ん」
「お前も勉強せえ!」
たったこれだけ。
「どういう意味なんだろうね?」
茜さんに話すと、
「ライターだけでは食べていけなくなるかもしれないもんね。少しは経済のことでも勉強しなさいってことじゃない?財テクとか」
「財テクね〜。……例えば、株とか?」
「株ね〜。面白いかもね。宏の性格に向いてると思うけど」
「やりたいとは思ってたけど、やったらハマってしまいそうで怖いんだよね」
「いいじゃん。ハマっちゃえば。時間はいくらでもあるんだから」
とりあえず、茜さんに本屋さんに行ってもらい、適当に株の入門書を5冊ほど買ってきてもらいました。
それが、株にとりつかれた数年の始まりでした。
続きは、「病気で働けない素人が始めた株式投資失敗談」心の冷えとりコーチング6をご覧くださいませ。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。