こんにちは。
冷えとりコーディネーターの風茜(instagram kazeakane)です。
芸術の秋ですが、上野の森にはたくさん良い展覧会がやってきています。
でも、どれも激混み!ところが、東京国立博物館でこんなに面白い切り口なのに、そんなに混み合っていない展覧会がありました。
というのは、東博は日本古美術というイメージがあり、今回のように現代アートとのコラボ展をしていても、お隣の「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」展に人が流れていくからです。
東博なのに現代アート?
そうは言っても、さすが東博。日本美術と比較した切り口で、楽茶碗や写楽、俵屋宗達、本阿弥光悦の蒔絵という素晴らしい作品がゆったりとか鑑賞できたんです。
今日の記事は、美術好きな人、展覧会は好きだけど混んでいるところは嫌いでそれでもいいものをゆったりと鑑賞したい人に向けて、元学芸員だった私の切り口で展覧会をご紹介いたします。
マルセル・デュシャンって??
現代アートでは有名なデュシャン(1887-1968)。何が有名かって言ったら、レディメイド(既存の)をアートとして世の中に発表し、大批判を浴びた人です。
レディメイドは、ある機能をもった物品を本来の日常的な用途から切り離し、「作る」という概念に相対するものとして、「芸術作品」として「意味づける」ことでした。(東博のHPより)
今回は会場で写真を撮ってもいいんです!(*一部禁止されている場所もあります。)
最近の展覧会はSNS拡散を期待して、撮影オーケーのところが多くなりました。
以前は著作権保護法の問題があったり、作品保存の観点から写真撮影は禁止されることが多かったのですが、現代美術など今に近い作品はオーケーになってきました。著作権も作者の死後50年(国によっては80年)は守られます。映像関係の著作権は複雑なので、映像の場所の撮影は禁止されていることが多いのです。
作品と一緒に写真が撮れるというのも、新しい美術鑑賞の醍醐味になってきました!
展覧会構成
展覧会構成は1部と2部に分けられていて、2部は東博所蔵の素晴らしい作品とデュシャンの概念を比較して、展示されています。
1部 デュシャン 人と作品
第1章 画家としてのデュシャン
デュシャンといえばレディメイドの作品で、あまり初期の作品を見たことがなかったのですが、今回はデュシャンの初期の作品がありました。
*初期の作品は緑あふれる風景画でした。←写真を撮るのを忘れました(゚o゚;;
第2章 「芸術」でないような作品を作ることができようか
このセクションでは、普通の絵画制作をやめて、アート展開していくことになったデュシャンの足跡を見ることができます。例えば、絵画の中に時間を表すことにチャレンジした作品が面白いです。
何よりもあの<大ガラス>(通称)「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも 東京版」(東京大学駒場博物館蔵)が観れるとは!
それに、酷評されたあの「泉」も観ることができたのです!
第3章 ローズ・セラヴィ
ローズ・セラヴィとはデュシャンが扮するもう一人のデュシャン。第二次世界大戦の頃、デュシャンはNYへ亡命し、ローズ・セラヴィという女性人格のもとで、言葉遊びや映像作品に取り組んだのです。この頃、ダダという反芸術運動が盛んで芸術や芸術家とは何かということにデュシャンは取り組むようになり、複製を作るということを思いつきます。
映像作品も面白いです。
複製をテーマに作られた作品もたくさん観ることができました。
ここでは、あの有名な「マルセル・デュシャンあるいはローズ・セラヴィの、または、による(トランクの箱の中身)」を観ることができます。
第4章《遺作》欲望の女
最後のセクションでは、一躍、時の人になったデュシャンの最後の20年の軌跡を見ることができます。《与えられたとせよ 1. 落ちる水 2. 照明用ガス》 (通称《遺作》)は、映像で見ることができます。
このセクションでは、デュシャンのメモや制作状況の写真や映像を見ることができるので、とても興味深いセクションでした。
2部 デュシャンの向こうに日本が見える
さあ、ここからが東博の真骨頂と言えるべき展示でした。日本だって、こんなにすごいよという切り口で作品を観せています。
第1章 400年前のレディメイド
このセクションは東博ならではのお宝日本美術が満喫できました。竹やお茶碗など日常使いができるものに芸術性を見出したということが、デュシャンのレディメイドという切り口と同じというテーマで展示された作品です。
利休のあの花入れがこんなところで観れるとは!驚きです。
一代限りの釉薬しか使わないという楽茶碗もありました。
*暗い会場で撮影したため、真っ黒にしか撮影できず、絵葉書の写真をアップしました。
第2章 日本のリアリズム
日本絵画は記号化されたものを描くのが伝統でしたが、浮世絵技師が歌舞伎役者を見たままに描こうとリアリズムを取り入れ、莫大な人気となりました。
第3章 日本の時間の進み方
*写真撮り忘れました(゚o゚;;
第4章 オリジナルとコピー
第5章 書という「芸術」
書はアートよりも格上でしたが、工芸品や絵画と深く結びついた芸術でした。
誰でも知るあの教科書に出ている蒔絵がここで見ることができました。
子供と楽しもう!博物館のもう一つの楽しみ方
この展覧会では、デュシャンは見るのではない、考えるものがアートと言っていますが、アートは切り口によっていろいろな見方ができる楽しいものだということがわかる展覧会でした。
他に良かったことは、
- フィラデルフィア美術館のコレクションがまとめて見ることができた
- デュシャンの作品と日本美術を比較して見ることができた
- 改めて日本人としての誇りに気がつかされました
ミュージアムショップもお楽しみの一つ
帰りにミュージアムショップでハガキを買って帰りました。
これは私の展覧会の密かな楽しみで、絵葉書はしばらく飾って、お友達にお手紙を出すときに使います。お店でハガキを買うと1枚250円くらいしますが、東博のミュージアムショップはおしゃれで可愛いものがたくさんありますし、なんとハガキは1枚108円なんです。
ミュージアムレストランも狙いどころ
東博は平成館にはレストランはないのですが、お休みどころがあります。なんとここにある売店で、あのたん熊のお弁当が594円から購入できるんです!←即売り切れのことが多いです。
アート鑑賞の後にお休みどころとして利用するのも楽しいですし、東博の本館の正面階段はよくドラマのロケで使われているので、その場所を見るという楽しみ方もありますよ。
お子さんと出かけて、あれこれ言いながら観るのも楽しいものです。
ぜひ出かけてみてくださいね。
(執筆者:冷えとりコーディネーター 風茜)
東博情報はこちらです。お子さんのいる方は義務教育期間は無料です。中学生以上は学生証を持っていくとスムースに入館できます。(最近のお子さんは成長が早いので、高校生と思われると入館料がかかるので学生証を持っていると便利です。)
無料のうちに、お子さんに日本美術をたくさん観せてあげてくださいね!