職業差別は絶対にあってはならないものです。
しかし、この社会には、職業差別は歴然とあり、その差別をなくすことなど決してできません。なぜなら、世の中は、決して平等ではなく、全ての人が力の強弱を利用して生きているからです。
今日の記事は、パワハラで悩む派遣から社員になった人がますますパワハラの標的にされるのはなぜかについて考えてみたいと思います。
全く違う人種だからこそパワハラが起こる
国力を考えてみましょう。
国同士が、力を競っているのです。
力のある国が力のない国の上に立ち、その国の指導のもと、各国が優先順位を決めています。
あくまで、自分たちの国力を維持できるように、全体のバランスを保つ努力をしているわけです。
”競争”という言葉は聞こえはいいですが、一部の国力のある国が、ない国に対して行ってきた数々の蛮行は、「差別」以外何者でもない。
トランプ大統領は、その差別意識を隠そうともしないし、トップが公言すれば、一部の国民も大手を振って差別を正当化する。
他国もそれに恥ずかしげもなく追随する。
「保守主義」って何?
「差別大いに結構。だって大切なのは、未来じゃない。地球環境なんて言われてもようわからんし。大切なのは自分たちの今の生活なんだ。それを守るために他を排斥する。何が悪い!主義」
って、名称を変えた方がよっぽど正直だ。
それと同じです。
会社員は、派遣社員をいかにうまく使うか。
トラブルを極力回避し、いかに社員と派遣のバランスを保つようにするか。
そこには、
「社員と派遣さんは同等です」
なんて、綺麗事は一切ありません。
勢いがあるときは低賃金の労働力を必要とし、会社の力が弱体化すれば、守るべきは社員とその家族。当然、派遣が一番最初に切られます。
「私の方が社員より仕事ができるのに、出世もしなければ給料も変わらない。社会保障もなければ有給もない。同じ量の仕事をしているのに、給料が社員の半分以下」
当たり前なんです。
派遣は派遣会社からお給料をいただいているのです。
属する組織が違うのです。
派遣は派遣であって、社員ではない。
その溝を埋めることは決してできません。
だから、
「その溝は不公平だ!」
との考え方が間違っているのです。
社員の方が偉いという逆差別意識がパワハラを引き起こしている
例えば、私のようなフリーライターやフリーの編集者の「業界あるある」です。
脱サラしてフリーライター、フリー編集者になったばかりの時期によくある勘違いです。
記者は社員編集者とコンビを組んで仕事をします。そして、同じフリーのカメラマンやデザイナーさんやアンカーさんとも仕事をします。
そのことによって、社員時代の癖が抜けきれず、カメラマンやデザイナーさんに、あたかも社員のような態度で接してドン引きされるというパターンです。
そういうフリーにありがちなのが、
「将来的には社員になりたいので、フリーはそのきっかけなんです」
そういう発言をする人が案外いるんですね。
そういう人の大半に、社員になりたくてもなれなかったのでフリーになったという経緯があります。
そして、
「社員の方がフリーより偉い」
と、いう逆差別意識が本人に根強くあるということもわかるのです。
もちろん、社員時代の経験から、「社員の方が偉い」という偏見が根付いてしまっているのかもしれませんが、その意識がある限り、フリーでは良い結果は得られないでしょう。
事実、過去にそのような意識に囚われたフリーライターを何度も見てきましたが、
「よし、自分はこのままフリーでやっていこう」
そういう決意が明確になった途端に、フリーとして一気に成長するという姿を何人も見てきました。
ちなみに、私の周りでフリーから社員になった人はどれくらいいたか?
同業で、同じ会社でフリーから社員になった人はゼロ。
同業で、フリーで働いていた会社とライバル会社で社員になったのは5人。
ライター業を廃業して会社員になったのは3人。
それほど、派遣で働いていた会社で社員採用されるというのは出版業界では異例なのです。
言い換えれば、社員にならなくてもそれなりに食べていけるということでもあります。
家族を養えるくらいの収入を得ることはそれほど難しいことではないということです。
それでも、
「フリーは取引相手なので社員とフリーは同等です」
なんてのはやっぱり建前で、現実は、
「社員の方がフリーよりも立場が上」
という根強い意識は、社員側にもフリーの側にもあるのです。
若い社員編集者に初めての仕事でいきなりタメ口をきかれたことは何度もあります。
その度に、わたしは、
「その口の聞き方、少し直したほうがいいと思いますよ」
しっかりと伝えます。伝えたことで2度と仕事を依頼してこなくなった編集者もいます。そういう編集者はこちらから願い下げなので、願ったり叶ったりなのですが、
40代のフリーライターが20代の社員編集者に敬語を使うのに、20代の編集者はタメ口なんて光景もよく見ます。言葉は丁寧でも完全に相手を見下した態度を露骨なまでに隠そうともしない。そういう人間はもっとたくさんいます。
もちろんそこには口を出しませんが、正直、悲しくなります。
少なくとも、わたしは人として礼儀がなってない人には注意するし、それでも態度を改めない相手とは仕事をしません。
会社員としての自覚がないとパワハラされることも
佐江照さんは、そのまま同じ職場で派遣から社員になったのです。
前回までのお話はこちらをどうぞ!
社員になった途端、
根田見さんからパワハラを受けていて、その時にずっと味方になって親身に話を聞いてくれていた事務職の先輩である女性社員の氷上(ひがみ)さんの態度も変わってしまいました。
氷上さんは、佐江照さんが根田見さんから数々のパワハラを受けていた時に、
「されたことは派遣にきちんと報告した方がいい」
「何かあったときのために、メモを取っておいたほうがいい」
「根田見さんには私の方からきちんと話しておくからあなたは気にしないでいいのよ。派遣なんだから」
そう言って何度も救ってくれた人でした。
佐江照さんも、
「私の立場、気持ちをわかってくれたのはただ一人、氷上さんだけでした。彼女だけはずっと私の味方だと思ってたのに・・・・」
今では、”一番厄介なおかしな先輩”という相手になっています。
では、具体的にどういうことが起きたのでしょう。
佐江照さんが社員になることが決まると、部長さんからあるプロジェクトを任されることになりました。
会社のこれまでの社史や業績、これからの業務、新規事業などの情報を一度整理をして、ホームページや冊子を新しく編纂する作業の担当者に佐江照さんは選ばれたのです。
佐江照さんは入社1週間前から早速作業に取り掛かりました。
地下資料室に行って資料を調べ、派遣時代は接触が全くなかった各部署へ挨拶がてらその旨を伝えて情報を収集しました。仕事は順調でした。前にも書きましたが、佐江照さんはもともと仕事のできる人なので、テキパキと事を進めて行きます。
それこそ、お昼休みを利用して、食堂で休んでいる社員にも声をかけ淡々と仕事を遂行していました。
そんな時、数人の社員からこんな事を言われたのです。
「氷上さんと一緒なんて大変ね。頑張ってね」
「大丈夫?机が氷上さんの隣なんでしょう?」
「はい。大丈夫ですよ」
確かに、氷上さんは、佐江照さんの派遣時代から次長や部長さんの愚痴など言い出したら止まらないようなところがありました。
佐江照さんの知らない社員のことまでひたすら悪口を言う。
氷上さんが机が隣同士ということもあって、その愚痴の聞き役になっていました。正直、億劫な部分もあったのですが、根田見さんの攻撃の防波堤になってくれていたので、お互い様だと思い我慢して聞いていたのです。
しかし、この一言が、氷上さんの本性を暴いてくれました。
「氷上さんがあなたのことなんて言って回ってるか、知ってる?」
「いえ・・・」
「佐江照さんはすぐにパワハラだとか、コンプライアンスだとかって、先輩や上司を相手に騒ぐ人だからかなりタチが悪いよって。いろんな人に佐江照さんのこと、そう言って回ってるから気をつけてね」
「・・・・・・・そうなんですか?」
「でも、気にしないほうがいいわよ。あの人は誰かを敵にしていないと気が済まない人だから。嵐が過ぎれば終わり。新人は必ずあの人の餌食になるから。最初のうちだけだとは思うけど、結構きついから頑張ってね」
「わたしにはものすごく優しいんですけど・・・・・」
「今までは派遣だったからね。立場が変われば、容赦しないと思うから」
にわかに信じられませんでしたが、事態はすぐに動き出しました。
まるで、佐江照さんが社員になるのを待っていたかのように氷上さんの態度が一変したのです。
入社翌日、挨拶もソコソコにこう言ってきたのです。
「佐江照さん、あなた、部長さんにプロジェクトを任されたのをいいことに会社の中を色々と嗅ぎ回っているようだけど、他部署の人と仲良くなるくらいなら、根田見さんと仲良くしたら? それから、プロジェクト以外のことを聞きまわったり、資料室の中に勝手に入るのはやめなさい。どうせ、そんなプロジェクト、途中で頓挫するんだから。部長の企画なんていつもそうなんだから、やるだけ無駄。あなたは一番下っ端なんだから雑用をやってればいいの。余計なことはやめてください。今度から部長や次長に何かを頼まれても全部わたしを通してください。部長にはわたしから言っておきます」
結構な激昂しながらの物言いで、佐江照さんも恐怖のあまりに凍りついてしまったというくらいの露骨な変貌ぶりでした。
佐江照さんは、部長さんにそのことを報告に行きました。もちろん、「部長の企画は頓挫する」なんて話は伝えずに。
部長さんは、
「う〜ん、氷上さんはこの会社、長いからね〜。あの人を怒らせると面倒臭いんだよ。有る事無い事噂を広めるからね。じゃあ、氷上さんにはバレないようにコソッとやってもらうことはできますか?」
「コソッとですか?」
「そう。コソッと」
「難しいと思います」
「そうですよね。じゃあ、もう少し他の企画を考えてみましょう。みんながウィンウィンになれる方法を」
そして翌日、出社するなり、氷上さんが改まってこんなことを言ってきました。
「佐江照さん、昨日はごめんなさいね。あの後、部長に注意されたわ。わたしね。あなたに嫉妬してたの。私の方がこの会社に長いのに、私の知らなかった資料を探し出すのが嫌だったの。あなたは何でもテキパキ仕事をするし、どんどん進めていくし。わたしなんかより、早く仕事できるからすごく嫌だったのよ」
「はい・・・・」
「でも、仕事ができるからって、何でも自己主張ばかりするっていうのは違うと思うよ」
「わたしは言われたことをやっているだけですけど」
「だったら黙ってやりなさいよ。そして、やるなと言われたら、黙ってやめなさいよ。何でもかんでも上に報告するのってどうなの?」
「どうなの?って・・・。部長に話したことを怒っているんですか?」
「わたしが話すって言ったわよね」
「でも、頼まれたのはわたしなので、やるなと言われたことはちゃんと報告しないと」
「自分の頭で考えられないの?」
「?????どういうことですか?」
「言ってみなさいよ!!!」
「?????すみません。わかりません」
「わたしはあなたがパワハラパワハラって騒ぐたびに、わたしがフォローしてあげてたの。わたしが根田見さんをなだめて、わたしが次長からあなたを守ってあげてたの。あなたが騒ぐから、わたしが問題が大きくならないようにいろんな人にお願いして回ってたの。」
「それには感謝しています」
「わたしはこの会社が大好きなの。とても長く勤めているし、会社の役に立ちたいのよ。あなたは嫌になったら辞めれば済むんでしょうけど」
「・・・」
「わたしは、会社のことを一番に考えているの。あなたみたいに自分が一番なんてそんなわがままなことを考えたことはないです」
「自分のことを一番に考えたらダメなんでしょうか?」
「あなた、この会社で社員になって何をやりたいの?」
「任された仕事を一生懸命にやりたいと思っています」
「それはわたしも同じです。だったら会社も自分もどちらもがウィンウィンになることを考えて、任された仕事をやってください。それが会社員です」
「わたしにはそれができてないと?」
「そう。あなたは今まで一度だって会社がウィンになることなんて考えてこなかったでしょう?だから長く続けられないの」
「そんなことありません。自分が一生懸命に働くことが会社の為になると思ってやっています」
「違うの。会社のために働くことが、結果、自分のためにもなる。それが会社員です」
「じゃあ、わたしはどうするべきなんですか?」
「部長さんや次長、根田見さんに言われたことだけをやっていればいい。わたしに言われたことをやればいいのよ。それぞれから全然違うことを言われたら、まず最初にわたしに報告してほしい。そして、わたしが上に報告します。最終的に上がどうするか判断します。改めてあなたに部長から話があるでしょう。あなたはわたしにそのことを報告する。わたしは次長に報告します。次長がオーケーを出したらわたしからあなたにゴーサインを出します。これがこの会社のルールです」
「確認ですが、いちいちその段階を踏まないといけないということですね。わたしがいちいちその都度、氷上さんに報告すればいいんですね?」
「不満みたいね」
「またこのような状況になるのを避けるための確認です・・・」
「だったら、その”いちいち”ってなに?目上の人に使う言葉じゃないわよ。そこがあなたのダメなところなの。自覚が足りない。あなた、言葉遣いに気をつけたほうがいいわよ。その年になって常識ないところが多いから、この間だって、目上の人に向かって、『了解です』だなんて。私だったからよかったものの」
「すみません・・・」
佐江照さんはなぜいつもパワハラをされてしまうのでしょう?
では、佐江照さんの場合、どうやって克服すればいいのでしょう?
つづきはこちらへ。
風宏の心のコーチングにつきましてはこちらをご覧くださいませ。
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。