たくさんの転職を繰り返した私の奥さんは、ダメな人間でしょうか?
彼女にとって転職は容易でしたが、その先のことを考えていなかったので、失敗したのです。
今日の記事は、転職はゴールではなく、何をすれば転職がうまくいくのかについて、転職したい方に向けてお伝えいたします。
転職は、ゴールではない
転職したいあなた、目的は転職ですか?
ちょっと、質問を変えて、
結婚したいあなた、目的は結婚ですか?
家を欲しいと思っているあなた、目的は家を買うことですか?
であれば、その願いはすべて叶いません。断言します。
理由はみなさんがご存知のはずです。
実現していませんよね。
「富士山に登るぞ!」
そう決めて、いきなりなんの準備もしないで登る人はいないはず。
なぜ、登るのか?
当然、理由があるはずです。
「自分を変えたいから」「ご来光を拝顔したいから」「死ぬまでに一度は登りたいから」そのような目的のために、
「富士山頂」という場所を目指す。
そのために「いつまでに日程を決めて」、「そこを目指して必要な体力作りをして」、「必要な備品を揃えて」、「体調管理を整える」という、ひとつひとつの目標を達成するのです。
いざ、登るとなったとき、あなたの目標は富士山頂ですか?それってあまりに遠すぎる。だから、まず五合目を目標とし、達成できたら6合目、7合目、山小屋という目標を目指す。そして、「ご来光を拝む」という目的を達成するために「富士山頂」という最終目標を目指す。
どうですか?
わかりますか?
転職、結婚、家を買うことは、ゴールではありません。
「自分のやりたい仕事を力いっぱいやりたい」「愛する人と死ぬまで一緒にいたい」「理想の家で家族と団欒するために家が欲しい」その目的のための目標に過ぎないのです。
つまり、
転職は、目的を達成するための過程にすぎない。
本当に目指すべきものは、その先にあるのです。
新しい職場での自分が、どのような目的意識を持って、具体的にどのような仕事をしていて、どのような成果を上げているか、それが、自分にどのような素晴らしい状態をもたらしているか。その結果、自分はどのように登りつめているか。
ではないですか?
結婚はゴールではありません。夫婦生活のスタートです。家を買ったらゴールではありません。その先に初めてその家での生活が始まります。
転職して初めて、やりたいことが始まるのです。
あなたの目的は、転職した会社でやりたい仕事をして、自分の理想となる姿に近づくことです。
やりたい仕事が思い浮かばない人は、つなぎでアルバイトをやりなさい!
「やりたい仕事なんて別にない。どこでもいいから、とにかく就職したい」
新卒のときに、そういう想いで就職活動をしていたから、苦労したんじゃありませんか。
わたしは、やりたいことや、やりたい仕事が具体的に浮かばないという人が転職できる可能性は、万に一つもないと思います。
わたしたちの若い時代にはできました。昔は景気が良かった。だから、企業側も余剰人員が一人や二人いてもどうってことはなかった。余裕も人情もあった。
IT産業という言葉もなかった。IT革命が起きて、職種もものすごい勢いで増えていきました。といっても、専門知識が必要な職種だけ。その結果、いろんなことが便利になりました。便利になったぶん、多くの人材が必要不可欠ではなくなった。だから、本当にスキルのある人、やる気のある人だけしか受からなくなってきた。
でも、それが当たり前。それが正常なんです。いまは、時代がそうなってきている。
真実だけが認められ、本物だけが受け入れられる時代になってきました。
「ただ、会社に入ることだけが目的」
と、いう程度の意欲は簡単に見透かされてしまいます。そういう人は、就職、転職できません。
でも、ここは日本です。食べていくだけのお金を稼ぐことはできます。
アルバイト、契約、派遣。選ばなければ仕事はいくらでもあります。そこに、成功へのヒントが隠されている場合も少なくありません。
それなのに、
「転職できない」
と、嘆いているあなたは、なぜ、そこまで、転職にこだわるのですか?
そこを、考えたことがありますか?
あなたには、あなたの持つプライドと同等の価値がありますか?
わたしの友人が会社を辞めました。大企業の人事部で管理職まで勤めた男ですが、大量リストラを断行する責任者となり、育ててきたたくさんの若手にリストラをすべて言い渡したあと、「自分だけが残るわけにはいかない」と、会社を辞めました。
実に、カッコイイ男です。
しかし、カッコイイだけでは食べてはいけません。
彼は「サラリーマンがいやになった」と、転職せずに、起業します。1年間、頑張りましたが思うようにいかない。仕事の発注がこないので、毎日が暇で暇で仕方なかった。
生活のために空いた時間と貯めてあった預貯金を利用して、株のデイトレを始めました。1日1万円以上。一ヶ月30万円という目標を立てました。
彼は、その目標をなんなくクリア。生活には何一つ困ることはありませんでした。
そんな中、彼と飲んだ時、酔っ払った彼は、自らのことをこう評したのです。
「風、おれは最低の男だよ。周りの同期は管理職になったり、会社員としてそれなりに偉くなっているのに、おれなんか、デイトレで食いつないでいるんだよ。デイトレなんて、あぶく銭を持っているようなやつの遊びだ。それでなんとか食いつないでいる自分が情けない」
そう言って、クダを巻くのです。わたしは相手が友人ということもあって、怒りが抑えられなくなり、こう反論しました。
「最低なのは、デイトレで稼いでいることではなくて、おまえのそのプライドだ。そんなにおまえは偉いのか?リストラされた社員と共に辞めたおまえは、そんなに偉いのか? 偉いからデイトレで食っている人間が最低なのか?」
「おれの職業は、ライターだよ。本当は作家と言いたい。でも、才能がないから、好きなことだけを書いて食べていくことはできない。だから、やりたくもない取材をして、書きたくもないことを書いて、他人から批判されて、恨まれて、それがわかっていても書かなくちゃならない。だから、名もなきライターなんだよ」
「仕事だから、本当に書きたいことを書き続けるために、嫌な仕事もやらなくてはならない。なぜか? それで食ってるから。本当にやりたいことに少しでも近づくために、経験できることはなんでもやる。依頼された仕事はどんな仕事でも断らない。20代の若い編集者に頭を下げて、地を這いずり廻って仕事を取ってくる。フリーだから。それは当たり前のことだよ。書きたいことだけを書いて稼げなくても、デイトレで稼げるんなら、おれだってそうやって生きたい」
「フリーの世界で生きてきたおれに言わせれば、デイトレもライターもまったく同じ、立派な職業なんだ。会社を辞めてこれからフリーで生きていこうとしているおまえから、そんな言葉を聞かされるとは思わなかったよ。それが無性に腹が立つし、悲しい」
「おまえのそのプライドは、いったいなんの役に立ってるんだ? そのプライドは、これから生きるために、どう、おまえの役に立ってくれるんだ?」
彼は、いま、ある資格を取得するために猛勉強をしています。
それが、再就職するためなのか、起業するためなのか、わかりません。わたしから彼には、何も聞いていません。いずれ、彼が教えてくれるでしょう。
ただ、ある目的を達成するために、資格を取るという明確な目標ができたことだけは確かなようです。
職業に貴賎はない
お笑い芸人や売れない役者が食べていけない時は、居酒屋やパチンコ屋でアルバイトをして、そういった下積みが芸の肥やしとなって、後々の成功の素になっているという話をよく聞きます。
彼らだって、好きで、やりたくてアルバイトをしているわけではありません。
やりたいことがはっきりしていて、それを貫くためにやりたくない仕事をしているのです。
でも、
仕事に無駄は何一つありません。必ず、その後の人生に役に立つ。仕方なく生きるためにやっている仕事でも、やりたい仕事に、必ず道はつながっているのです。
職業に貴賎はない
と、いうのは、そういうことです。
転職したからといって、そこから新しい人生が始まるわけではありません。人生がリセットされるわけではありません。
職場が変わる。職場環境が変わる。仕事のパートナーが変わる。それだけです。
あなた自身が変わるわけでもなんでもないんです。
人生は点ではありません。線です。
人生は生まれた時から死ぬまでずっと続いている。
人生に貴賎がありますか?
真面目に真剣に本気で生きている限り、それがどういう人生になろうと、
貴賎はありません。
それと同じ。
職業にも貴賎はないんです。
それを決めているのは、あなたのプライドだけです。
そのプライドは必要ですか?
妻は、なぜ、転職に失敗を繰り返したか?
茜さんは、なんなく転職できます。面接にも受かります。彼女が転職に困るという姿を見たことは一度もありません。
社員と社員の時期の間にアルバイトや契約社員、派遣社員を挟んでも、また、社員として採用されます。
なぜか?
わかりましたよね。
茜さんにとって、大切なことは、ずっと一貫していました。
それは、「転職」ではなく、「やりたいことをやる」という、すごくシンプルな想いでした。
それは、漠然と「美術の仕事」だったり、「とりあえず受かる」職場だったり、「妊娠できる精神状態にするため」だったり、「育児休暇、育児手当がもらえる職場」だったり。
その結果、彼女の願ったことはすべて、思い通りに叶えられました。
しかし、「具体的な会社の性質」だったり、「職場のイメージ」だったり、「自分の理想とする職場環境」だったり、「その仕事をしている自分の理想の姿」を明確にイメージすることがなかったから、まったく、自分とはソリの合わない会社ばかりを選んでしまいました。
茜さんは、会社勤めに向いてないとわたしはずっと主張していましたが、彼女はまったく聞く耳を持ちませんでした。
「人の意見に左右されたくない」
と、言う彼女のプライドが遮断していたのだと思います。
だからと言って、彼女の数々の失敗は、決して無駄ではなかったのです。
どんなに失敗を繰り返しても、彼女なりにリセットしたつもりでも、彼女は彼女です。彼女の人生は一本の線でつながっています。
「結局、自分は何を求めて転職を繰り返してきたのだろう?何を探してずっと生きてきたんだろう?」
そう考えた時、ふと、ある答えが見えたのです。
だから、彼女はそこで初めて、
「空が青い」
ということに気づきました。体調を崩して仕事を辞めなくてはならなくなったのに、初めて、清々しい気持ちになったのです。
「わたしは、”わたしを含めた女性たちがもっと楽に生きられるようになるには、どうすればいいんだろう?”
そのためになることをこれからやるために、いろんな職業を経験させられていたのかもしれない…。だって、わたしが望んでいたことは、ずっと、そういうことばかりだった。
”女性が働きやすい職場”。”生きやすい環境”を手にいれるためにはどうすればよいのか?」
そのことに気がついた。
ずいぶん遠回りしましたが、
彼女は、この歳になって、ようやく、自分が一番やりたかったことに気がついたのです。
そうなると、これからの人生は、ものすごくシンプルです。
目的と、そこに到達するための目標が明確になるからです。
あとは、そこに向かって突き進めばいい。
”人のために”は、”自分のため”
だから、
あなたが転職するためにまず最初にやることは、
次の職場を探すことではありません。
やりたい仕事をやっている自分の姿を具体的に思い浮かべるだけです。そして、その仕事で具体的にいくらの給料をもらって、どのようなマンションに住んで、週に何回飲みに行って、そして、5年後、10年後にはどういう自分になっているのか、イメージするだけなのです。
そのためには、どんな目標を立てる必要があるでしょうか?まずは、ネットで調べるでしょう。そのために必要な資格があれば取得するという目標ができます。だから、一歩前へ歩き出すことができるのです。あなたが目標へ向かって一歩前へ歩き出すから、あなたにあった会社に近づけるのです。
気がつけば、勝手にあなたのイメージにあった会社があなたの目の前に現れています。
あんなに遠かった会社が、
「自分の力では無理だ…」と、諦めていた会社が、すぐ近くに門を開けて、すぐそこにあることに、あなたは気づく。
そのことに、驚きもしません。だって、そこにあるのは当然で、その会社で働くことがあなたにとって、自然のことだから。
きっとそうなっています。
断言します。
それと、もう一つ。わたしが常々思っていることを、最後にお伝えします。
「理想の仕事や、それに伴うお金や、富。つまり、願いは、その願いが叶うことによって、社会に多大な貢献をするという結果につながる人のところに集まってくる」
そもそも仕事というのは、
「それが欲しい」「それがあると助かる」と、思っている人がいて、その人の想いに応えるのが仕事です。その対価としてお金がもらえるのです。
でも、一人の人間だけでやっていても、どんなに馬車馬のように働いても役に立てる人の数は限られますよね。だから人は、会社を作って、より多くの人の力で、より多くの人の役に立てるようにするのです。
そう考えると、
人は、他人を幸せにするために働くのです。
人は、他人を幸せにするために生きているのです。
そのご褒美として、富が与えられるのです。それが給料であり、ボーナスです。
だから、より、人様のために自分が何をすればお役に立てるのか?何をすればみんなが幸せになれるのか?その想いの強い人に、より富を与える仕組みになっています。
そういう意識の強い人は簡単に就職できて、転職できます。
わたしは、その仕組みに気がついてから、
「どうやったら、人の役に立てるだろう?」
「どうやったら、自分の一人の力でどれだけの人を救えるだろう?」
そういうことばかり考えるようになりました。
そうすると、その道筋が見えてきます。
自分が、どのようにこれからの人生を進めばよいのか、わかってくるのです。あとは、示された道をただ歩くだけです。
ですから、転職に悩む皆さんも、考えてみてください。
自分は、何をやったら社会の役に立てるのだろう?
自分が、この仕事をやると、これだけの人を救うことができる。これだけ多くの人の望みを叶えることができる。
そういう意識をひとつ持つだけで、
霧のかかっていた視界が一気に広がるはずです。
なんだ、転職するのって、こんなに簡単だったんだね。
きっと気がつくはずです。
(執筆者:心の冷えとりコーチ 風宏)
風 宏(Kaze Hiroshi)
心の冷えとりコーチ
冷えとり歴13年目。靴下6枚ばき、半身浴20分。最近お酒がやめられるように変化した2015年2月4日より、女性のための問題を解決するブログを開始。2016年9月GCS認定プロフェショナルコーチ資格取得。女性のための心の冷えとりコーチング講座も開催。