こんにちは。
冷えとりコーディネーターの風茜(instagram kazeakane)です。
湊かなえさんはミステリーで、人間の心の闇にグイグイと入り込んでくる作品が多く、本が出版されると楽しみな作家の一人です。
子供が中学受験の時にあまりに国語の成績が上がらなかったので、湊さんの『告白』を読ませたら、それ以来全ての本を読むようになり、『未来』の発売も楽しみにしていました。
が、今回の話は重すぎる…。
今日の記事は、ママである私と子供の湊かなえさんの『未来』の感想をお伝えしたいと思います。
(*ネタバレ注意です!)
湊かなえの『未来』あらすじ
『未来』は、4人の少女(章子、亜里沙、真唯子、真珠(文乃))のエピソードから構成されます。4人の少女は決して幸せな家庭環境にいなくて、大人の餌食になりながらも、必死でもがいています。
- 章子は大好きだった父親が死に、残された心が壊れている母を守るために必死で奮闘し、
- 亜里沙は大好きだった母親が死に、DVの父に耐え、父の恐ろしい暴力から弟は自殺し、悲しみに耐え、暴力から逃れようと抵抗し、
- 真唯子は父と母に捨てられ、祖母に育てられ、祖母の夢を叶えるために教師になることを夢見ながら貧困と闘うために、ずる賢い大人の餌食になり、
- 真珠(文乃)は母親の自殺と父親からの性的暴力や兄からの酷い仕打ちから心を壊され
ているというストリー展開です。
これでもかという感じだものね
私も子供も引き込まれるように読んでしまいました。
湊さんの本にはそういう人の心の根幹にあるものを揺さぶる力があります。そして、物語に出てくる人は少しづつ繋がっています。最後まで読み進めると、その繋がりが圧巻です。
『未来』は湊さんのデビュー10周年を記念した書き下ろし長編ミステリー。
湊さんの作品では、映画化された『告白』が有名ですが、私は『贖罪』が好きです。その巧みなトリックを一度読み、わかった後にもう一度トリックを知りながら確認の意味を込めて読み直すと別の感情が生まれるという点で、今回の『未来』も読み返しました。
私は『告白』が好き。
今回も読後は圧巻でぼうっと本の内容をずっと考えてしまいました。
自分だったらどうする?
ママの私が湊かなえの『未来』を読んで思ったこと
湊かなえさんはイヤミスの女王(読み終わった後に残るイヤな感じのするミステリーを書く人という意味)と言われる作家ですが、私はイヤな感じがあまりしませんでした。
逆にとても考えさせられました。
- ダメな親が世の中にはたくさんいるということ。
- 子供は守られるべき存在であるはずなのに虐待されている子が多いということ。
- そして、そういうことに苦しむ子供は多いということ。
- 虐待のレベルは違うけれど、多くの子供がつらい経験があるということ。
苦しんでいる子は苦しんでいることを知られたくないので必死に隠しています。そのため苦しみのループに、はまっていく結果になるのです。
『未来』では、最終章で章子と亜里沙が外に向かって助けを求めるのです。
湊さんも子供にそれを望んでいるのかな?
この物語では、4人の少女のうち3人が自分や自分の大切な人を守るために殺人を犯します。殺人は悪いことですが、その裏にある意図を知ると胸が締め付けられる思いです。その思いが私の心を強く揺さぶりました。
子供が壮絶な湊かなえの『未来』を読んで大丈夫なのか
うちの子供は中学受験の頃に湊かなえさんの本に、はまって、全てを読破しています。今回の『未来』もとても楽しみにしていました。
でも、『未来』は性的描写が多く、しかも父親が娘を犯すというショッキングな内容が多いものでした。
子供が読んだ後に私が読んだので、後でこの事実を知って驚愕!
私もそうでしたが、性的なことは漫画や物語で知るのだから、もう中学生だし、いいとしましょう。
ちょうどこの物語を読み終わった頃に、今までお風呂上がりに裸でリビングに来ていたのをやめるようになりました。もしかしたら、子供なりに考えるところもあったのかもしれません。
私も夫もそのことを何回も注意しましたが、一向に直さなかったので少し心配していました。本を読むことで子供なりに大人を警戒しようという気持ちが出てくれば幸いです。
最後に子供に『未来』の感想を聞いてみました。
湊さんの本はびっくりする展開があるから好き。でもこの本はちょっと...
内容のことには触れませんでした。だんだん秘密が増えていく年頃でもあるのですね。
私はこの本で好きなところは2つありました。
心が壊されている章子のお母さんがマドレーヌを焼くところや、未来から自分宛の手紙が来て、そのおかげで少女たちは頑張れると思えたところ...(実はマドレーヌと手紙には、心を潤ませる秘密があり、それをあとで知ることになります。)
亜里沙にも病気のお母さんと食べたマスカットの思い出が書かれていましたが、子供の時に親と共有できる楽しくて温かい思い出はいつまでも心に残るもので、私にもあります。そういう思い出を私も自分の子供に作ってあげたいなと改めて思いました。
最後に、この本を読んで、子供のことをしっかり観察して、悩みがないかどうかを注意していきたいと思いました。
もちろん、子供のお友達のことも監視して、一人でも子供が笑って過ごせるように、今の私のできることは自分の世界に関わる子供に関心を払うことだと思いました。
(執筆者:冷えとりコーディネーター 風茜)
瀬戸内寂聴さんや村木厚子さん(元厚生労働事務次官)が呼びかけ人の若草プロジェクトがあります。
もしこのブログをお読みいただいた方でどこに相談したら良いのかわからないというお悩みのある方は、こんなところから声を上げていくのも一つの方法です。
記事中でご紹介した本はこちらです。